前に出てきたトランスコンダクタンス型割り算器だが、今回はそれでも値段が高いし6V±6Vでは動かないのでなにがしかの代案を考える必要があった。そこで目をつけたのが電子ボリュームやエレキギターのエフェクタ(コンプレッサー)などで使われていたトランスコンダクタンスアンプ。差動電圧と制御電流の積に比例した出力電流を流すものだが、これにオペアンプを組み合わせて割り算をさせられないか考えたのが、図。

当時はナショナルセミコンダクタ社の LM13600 を使ったと思う。今だったら新日本無線社の NJM13600 ということになる。
LSI の内部ブロック図は以下。

さすがに精度は良いとは云えないようだが、実用範囲。それよりも電源電圧が下がったことによるダイナミックレンジが狭くなったことによる動作範囲が狭くなることが気になったが、対策は用意していた。といっても威張る内容ではない。
光ディスクのサーボ系の信号処理は、簡単にいうと一組の差動信号を得てそれをサーボ信号とするもの。これをそれぞれA,BとしてA-Bがサーボ信号ということだが、割り算による正規化というのは(A-B)/(A+B)を演算するという意味で、記録と再生、あるいはディスク面からの反射光量の変動を除去して物理的な位置情報のみを得たいということである。ところがA,Bともに記録時は再生時に比べて、かなり高い信号が出るのでアンプが飽和しないようにゲイン設定を行うと、再生時のS/Nが悪くなる。そこで非常に簡単な発想だが、記録時にだいたいで良いから、A,Bに対するゲインを下げておく、ということが考えた。で、そのゲイン設定の不正確さを動作点が狭いながらも割り算器で吸収すれば、ダイナミックレンジと精度の問題を一度に解決できるだろう、と考えた。(図)


この工夫のおかげで、非常に廉価で実用的な回路を作ることが出来た。さらに(A-B)/(A+B)を演算した後にオフセットを加えることで、サーボ点の設定も物理的意味に対応した形で与えられるようになった。
部品代は全部で100円以下。バーブラウンの時代からすると、100分の1に下げたことになる。
これら全部ひっくるめて特許出願、会社の戦略特許として登録されました。しかし、実入りはなかったようです。(泣)

当時はナショナルセミコンダクタ社の LM13600 を使ったと思う。今だったら新日本無線社の NJM13600 ということになる。
LSI の内部ブロック図は以下。

さすがに精度は良いとは云えないようだが、実用範囲。それよりも電源電圧が下がったことによるダイナミックレンジが狭くなったことによる動作範囲が狭くなることが気になったが、対策は用意していた。といっても威張る内容ではない。
光ディスクのサーボ系の信号処理は、簡単にいうと一組の差動信号を得てそれをサーボ信号とするもの。これをそれぞれA,BとしてA-Bがサーボ信号ということだが、割り算による正規化というのは(A-B)/(A+B)を演算するという意味で、記録と再生、あるいはディスク面からの反射光量の変動を除去して物理的な位置情報のみを得たいということである。ところがA,Bともに記録時は再生時に比べて、かなり高い信号が出るのでアンプが飽和しないようにゲイン設定を行うと、再生時のS/Nが悪くなる。そこで非常に簡単な発想だが、記録時にだいたいで良いから、A,Bに対するゲインを下げておく、ということが考えた。で、そのゲイン設定の不正確さを動作点が狭いながらも割り算器で吸収すれば、ダイナミックレンジと精度の問題を一度に解決できるだろう、と考えた。(図)


この工夫のおかげで、非常に廉価で実用的な回路を作ることが出来た。さらに(A-B)/(A+B)を演算した後にオフセットを加えることで、サーボ点の設定も物理的意味に対応した形で与えられるようになった。
部品代は全部で100円以下。バーブラウンの時代からすると、100分の1に下げたことになる。
これら全部ひっくるめて特許出願、会社の戦略特許として登録されました。しかし、実入りはなかったようです。(泣)