光ディスクドライブの開発回想録の続きである。

私にとって最初のドライブ開発は以下、延々と苦労の連続であった。それはあまり教訓がなさそうだが、一つだけ後で後悔した内容がある。
トラッキングが一度シークに失敗すると、発振して収拾がつかなくなると云う現象があった。結局ファームウェアでリトライでしのいでもらうのだが、波形を見てみるとある増幅器を通った後に入力にはない信号歪みが現れることが発見された。
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この歪みの原因が当時は分からなかった。結論は使ったオペアンプがボロだったというオチである。東芝のTA75902(TA358)であり、負荷を重くすると出力段の設計が悪く歪みが出るというものである。
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従って、周辺抵抗を2桁ぐらい上げるか、アンプを高性能なものに変えるか、出力をプルダウンするかすれば簡単に解決するのだが、もはや生産に流れてしまっていて変更は出来なかった。もう少し早く気がついていれば...。
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ちなみにこのシリーズのオペアンプがこういった特性を持っていることはトランジスタ技術でも触れられていた。
こんなことを公に云われるようなICは作らないでいただきたい。アプリケーションノートにも載っていないし。とにかく大損害だった。
今このアンプがあるのかどうかわからないが、数年後に改善した、というアナウンスがあったような気がした。が、手遅れ。