昨日は光ディスクのカッティングマシーンでの奮闘記でしたが、今回も引き続きカッティングマシンの問題です。

モータの制御回路を設計した。といってもほとんど先輩の設計だが。
それでカッティングマシンのモータに接続して、回したところいきなり暴走。ターンテーブルはエアーサスペンションなのか、そのわずかな空隙をガリってしまい、使えなくなる。そんなこといったって...。
構成を簡単に説明すると、モータから位置検出信号FGが出ており、それに対してクロックを同期させるというPLL回路となっている。PLL回路は位相制御と速度制御の二つを持っており、その出力を加算してモータユニットにあるモータドライバに供給する。
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一見何でもなさそうだが、モータユニットの方に落とし穴があった。モータユニットのモータドライバは単に制御信号を受け取ってモータを駆動するのではなく、FG信号から生成した速度信号と入力された信号を比較してモータを駆動するという仕組みになっていた(下図、赤い点線で囲ったところ。いわゆる昔のFGサーボってやつ)。そのためその速度参照信号としてPLLの出力(位相情報も速度情報も含んでいる)をつなげば、分けの分からないことが起きても不思議はない。冷静に伝達関数を書けば分かると思うが。
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で、解決策としてはモータユニット内のFGサーボを外すことであり(上図で「FVコンバータ「から「モータユニット」につながっている線を切る)、やってみたら簡単に解決。高い機器を壊したという代償付きで。

設備をいじるというのは本当にプレッシャーです。失敗するとすごいお金が吹っ飛びます。それを新人の私にやらせていたんですから、ずいぶん無茶な会社です。
ですが、自分にとっては結構自信になりました。「オレって天才かも」などと根拠のないことを思ったりして...。そして後で天罰が下るのです。

少し、前回の用語を解説しておきます。
光ディスクのカッティングマシーンというのは、ガラス原盤の上にあるレジスト膜にレーザ光を照射してディスクに書き込むべきデータまたはガイドトラックを形成します。
EO変調器というのは、高出力のレーザ光(ヘリウムネオンレーザだったか)がガラス原盤に伝わるまでの間に挿入されていて、レーザ光を弱めたり、カットしたりして所望の光波形を作る働きをします。
一般の CD-R や DVD-R などでは、半導体レーザを駆動する電流を直接変調しますが、さすがに高出力のガスレーザをそういうことをするわけにはいかず、こういった変調器を光のルートに入れています。今はどうなっているかは知りません。