前回は差動増幅器まで5つの法則を使って説明してみました。
今回は例題を考えてみます。ちょっとした設計、というところです。

次のような信号処理を行いたい場合、どうすればいいか考えてみます。

入力:0Vを中心に±1Vの信号。
出力:5Vを中心に±4Vの信号。出力は入力を同相。

仕様を整理してみると、
・同相増幅器である。
・中心電位は、0Vから5Vに移動させる。
・振幅増幅率は、4倍。

差動増幅器を使って実現させてみます。
まず同相出力を得たいのですから、信号源は(+)端子側の抵抗に与えることになります。
次に入力信号の中心電位は、0V なので信号源と 0V、すなわちグランド電位とを比較することになります。従って、(-)側端子はグランド電位を与えます。
出力信号としては、5V中心にしたいのですから、差動増幅器における(+)端子からグランドに接続されていた抵抗をグランドではなくて、5V電位に接続します。
増幅率は 4倍ですので差動増幅器の R0と R1の比を 4:1 にします。

回路図はこれです。
イメージ 1
4:1の抵抗値として、40K と 10K をここでは選んでいます。回路の他の要求特性によって変える必要がありますので、単なる例として見ておいて下さい。

本当にそうか?ということで別トピックではじめました LTspice を使って確認してみましょう。
回路図はこのようになります。
イメージ 2
波形はこのようになりました。
イメージ 3

どうでしょうか。要求仕様通りの結果が得られているかと思います。
もちろん、増幅器に対する要求仕様はこんな簡単には済まないのですが、まずは基本機能を出してから、さらに細かい仕様をチェックしていく方がわかりやすいので、最小限の仕様指定にとどめています。

参考になれば幸いです。