「オーディオデータを作る ~ 管理する」シリーズ、ここに開幕。
本シリーズでは、録音から再生、分割、タグ付け、そして自動化まで──音源管理の全工程を戦略的に解き明かしていきます。
第1章:録音と保存(SoundEngineFree)
第2章:再生環境の構築(foobar2000)
第3章:cueファイルの作成と活用
第4章:分割・変換・タグ付け
第5章:自動化への道(Pythonによる曲間検出)
今回は「WAVファイルの作成」と「foobar2000での再生」までを扱います。 具体的には以下の3ステップです:
🎙️ 録音:カセットやMDからWAVを作る
🗂️ 保存:フォルダ構造とファイル命名の戦略
🎧 再生:foobar2000でアルバム単位の再生
🎧 カセットやMDからWAVを作って、foobar2000で再生するまで
「再生できるけど、曲単位では聴けない」──そんな状態のWAVファイルが手元にある。 これはこれで悪くない。アルバム全体を通して聴くにはむしろ都合がいい。 でも、やっぱり曲ごとに頭出しできた方が便利だ。
ところで foobar2000 にはその WAVファイルに対する cue ファイルがあると、ファイルを非破壊でインデックスを挿入できることをご存知だろうか。 つまりインデックスを上手く作ると曲単位でも再生出来るということなのだ。
なんと!さらに凄いことに曲単位で分割もできるのである。そこまで出来てしまえば CD 化も可能である。
そこで当面の目標として、WAVファイルに対するインデックスが書いてある cue ファイルを作成することを掲げる。 cueファイルを作る前に、まずはその素材となるWAVファイルをどう作るか、そして再生環境をどう整えるか。今回はその話。
🎙️ カセットテープやMDから録音する
手元にあるのは、昔録ったカセットテープやMD。 これをPCに取り込むには、SoundEngineFreeが手軽で良い。無料だし、操作も直感的。
録音時の設定:
録音デバイス:PC に接続されている ADC やデジタル入力できるミキサー
サンプリングレート:44.1KHz
ビット深度:24bit(録音時) → 16bit(保存時)
録音後、素材によっては以下の処理を施す:
録音時にビット深度を 24bit にしたのはこれらの処理を行う前提である。行わないなら 16bit録音でも構わない。ファイルサイズを気にするかどうかで決めて良いと思う。
ノーマライズ:音量のばらつきを整える
イコライザ:低域がこもっている場合などに補正
保存形式は WAV。ビット深度は 16bit に下げても良い。ファイル名はアルバム名にしておくと後々扱いやすい。
保存場所は、以下のような構造がおすすめ:
base_folder/
├── ジャンル/
│ ├── アーティスト名/
│ │ └── アルバム名.wav
このようにフォルダを整えておくと、後の cue ファイル生成や再生環境の構築がスムーズになる。
フォルダ構造はコードの作成の都合上、このレイヤーでやって欲しい。かつて「音楽にジャズもロックもない。あるのは良い音楽と悪い音楽だけだ」とのたまわった御仁がいますが、その信者であってもジャンル階層をはずさないでください。フォルダ名を「良い音楽」「悪い音楽」と分けても構いません(!?)。「洋楽」「邦楽」「韓流」と分けてもらっても構いません。要するにアーティストのフォルダ置き場を作ってくれれば良いのです。一つだけ作ってその中にすべのアーティストをいれても大丈夫です。
🎧 foobar2000 で再生する
録音した WAV ファイルを foobar2000 で再生してみよう。 まずは foobar2000 をインストールし、以下の手順で再生フォルダを登録する:
- File → Preferences → Media Library → Add を選択
- base_folder を指定して追加
- Library タブからアルバムを選び、再生してみる
この時点では曲単位の頭出しはできないが、アルバム全体は問題なく再生できるはず。 foobar2000 の画面はシンプルだが、cue ファイルによる分割再生にも対応している。
🧭 次回予告
次回、第2章では cue ファイル作成に向けた準備──Python環境の整備から始めます。 foobar2000 での再生を通じて曲情報を記録し、クレジット.csv を生成。そこから cue ファイルへと展開していく流れを追っていきます。
作業として不明なことがあれば、コメントに書いてください。今は適当に検索してもなんとかなるとは思いますが、それでもというのがありましたら遠慮なくどうぞ。