前回、cueファイルを作成するための一案として、画像から曲名や時間を読み取って整形する方法を紹介しました。  
この方法は手軽ではあるが、実際にやってみると誤認識や表記揺れが多く、演奏時間の補正や曲順の確認など、手修正がかなり必要になることが分かりました。

cueファイルは音楽再生の精度に直結するため、こうした修正作業は避けて通れません。  
そこで今回は、これらの作業を効率よく進めるために、Python を使った環境整備の方法を紹介します。  
今後作成する環境を使えば、cueファイルの編集だけでなく、より高度な処理も可能になります。まずはその準備として、開発環境の構築と確認までをまとめておきます。

Python とその関連モジュールが使えれば、各々なんでもよいのだが、私は以下の環境を作ってやっているので、参考にしていただきたいと思います。

手順としては以下のようになります:

1. Anaconda の導入  
2. Spyder でコード作成 ~ 実行するための環境整備


*** 環境整備手順 ***


## 開発環境の目的

- cueファイルの作成~編集を Python で扱えるようにする  
- 曲時間の累積計算や整形処理を自動化する  
- foobar2000 などのプレイヤーで正確な再生制御を行うための基盤を整える

## 前提条件

- Windows 10 / 11  
- インターネット接続(AnacondaSpyder の導入に必要)

## Anacondaのインストール

まずは Python環境を簡単に管理できる Anaconda を導入する。  
公式サイト(https://www.anaconda.com/download)からインストーラーを取得し、インストール時には「Just Me」と「Add to PATH」にチェックを入れることを推奨する。

インストールが完了すると、GUI で操作できる「Anaconda Navigator」が使えるようになる。

## 仮想環境の作成(Python 3.10.8)

Anaconda Navigatorを起動し、以下の手順で cue用の仮想環境を作成する:

1. 左メニューから「Environments」を選択  
2. 下部の「Create」ボタンを押す  
3. 環境名を任意に入力(例:`cue_env`)  
4. Python のバージョンに  **3.10.8**  を指定  
5. 「Create」で環境構築を開始

## 必要パッケージのインストール

Anaconda Navigator にある「Anaconda Prompt」を起動し、以下を順に実行する:

conda activate cue_env
pip install numpy pandas soundfile matplotlib

*** Spyder の起動と環境接続の確認 ***
 

ここまで進めたら、実際に Spyder を起動して、cue_env が正しく接続されているか確認します。

・Anaconda Navigator の「Home」タブで cue_env を選択
・Spyder のアイコン内にある「Launch」をクリック
・Spyder が立ち上がったら、右下のコンソール画面に以下を入力して実行:


import sys
print(sys.executable)

・・・\anaconda3\envs\cue_env\python.exe

と表示されたら出来ています。是非やってみてください。
 

※ 上記の確認で `cue_env` が表示されない場合は、Spyder の「ツール」→「設定」→「Python interpreter」から、  
「以下のインタープリターを使用」にチェックを入れ、`...\anaconda3\envs\cue_env\python.exe` を指定してください。

次回予告
次回は、実際にcueファイルを生成するPythonスクリプトを紹介する予定。

 

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