前の記事でハイレゾ対応ポータブルプレーヤーとはいかがなものか?と云った内容を書いたが、色々考えてみると有用な方向性も見えてきた。お節介とは思うが、ちょっと書いてみようと思う。

 

ところで、前回の記事では mp3 はハイレゾではない!と強調したが、改めて考えると、ハイレゾ対応の機器で再生すれば圧縮音源でも補間処理の精度が高まり、一定の恩恵はある。ここで補足しておこう。

 

こんなユーザを想定してみる。

1. すでに PC オーディオを楽しんでいる。
2. ポータブル再生中心だが、家でも同じコンテンツを楽しんでいる。

 

結論から言うと外がメインで聴く人でも将来の機材アップに備えてハイレゾが「ある」だけで安心ということだ。使うかは別問題でもいいだろう。

 

技術的背景は後述する。

まずは大まかな比較をしてみる。

要するに、形式の違いよりもエフェクト使用の有無の方が電池に効く。便利はだいたい電力を食う。

 

実測データを見てみよう。

デバイスのバッテリー容量の違いがあるから、デバイス間での比較はできないが、デバイス内でのフォーマット比較は可能である。

 

要点: WAVは長持ち、EQ は電池を削る。ハイレゾは悪くないが、電池に優しいとは言い難い。

ちなみにリバーブは EQ などよりもっと電池に厳しいはず。
 

個人の感想によるざっくり評価
・原音忠実度: ハイレゾ > CD スペック >>> MP3
・ファイルサイズ(小さいほど有利): MP3 >> CD スペック > ハイレゾ
・消費電力(大きいほど不利): MP3 > ハイレゾ > CD スペック ※エフェクト使用でさらに悪化。便利はコストだ。
・コンテンツ費用(安いほど有利): MP3 > CD スペック >> ハイレゾ

 

背景(補足資料):
・ハイレゾ再生: コンテンツは限定的。演算は軽いがDACクロックが上がるぶん電力は中程度に増える。
・ファイルサイズ: ハイレゾは大きい。内部メモリは足りないので microSD 前提。今度価格は下がり続ける。
・MP3 再生: 軽そうに見えてデコード演算が常時走る。軽量は必ずしも省電力ではない。
・エフェクト使用: 追加演算が常時走る。電池は確実に減る。音作りは楽しいが、電池をいじめてはいけない。

CD リッパーは、だいたい MP3 か WAV である。可逆圧縮の FLAC ならばファイルサイズは半分ぐらいである。

 

結び:

CD スペックは音質・サイズ・電池のバランスが良く、積み上げた資産を活かせる点でも合理的と思われる。 ファイルサイズの問題は microSD がいずれ解決してくれる。ハイレゾはコンテンツ費用や容量の問題があるが、「持っているだけで安心」という心理的効用もある。再生環境をアップグレードしたら、したなりの楽しみが増える。

 

何かの参考になれば幸いである。

 

イメージ 1 ← にほんブログ村「科学」-「技術・工学」へ
 ↑ クリックをお願いします