前回は、「神経症」とは何かでした。
そのキーワードは
①=はからい
②=とらわれ
③=自己内省
の三項目でした。
きょうは「神経症」種類と要因
について書きます。
森田先生が、博士号取得の頃に比して、
年々、森田療法が拡大・普及されて、
多くの支持・賛同者が増えました。
それは、実証的で、役立つ、解りやすい
の内容によると思います。
神経症には、以下の三種類がある。
(森田先生も、三つのタイプに分類した)
① =普通神経症(普通神経質)
内科的な異常が認められないのににも
拘らず、身体症状に悩まされる。
(体調が常に気になる)
② =不安神経症(発作性神経症とも)
不安発作と、それに対する、
「予期恐怖」がおもな症状。
(私は、これの経験者です)
③ =強迫神経症(強迫観念症)
「ある感覚・感情」を排除しようとして、
起こってくる、葛藤状態。
対人恐怖・赤面恐怖もこれに含まれる。
不完全恐怖(鍵を閉めたか確認を繰り返す)
不潔恐怖(手に汚れがついたか、気になり、何時も手を洗う)
以上の三種類は、症状の共通項から抽出したもので、
便宜的に分類したものです。
「症状が起ってくる【からくり】は同じです」。
ですので、この三種類を併せ持っている人もいる。
いわゆる「症状」は、各人によって千差万別であります。
症状にとらわれている本人が、何に気を揉んでいるか?
の違いによります。
極端に言うと、『人の数』ほどあって、数えきれません。
しかし、そのメカニズムは同じなのです。
例えば、『対人恐怖』は、人間社会からの脱落を、
恐れていると云ってよいでしょう。
不潔恐怖、不安神経症は生命の危険性ともいえます。
これを、ぜんぶ「ひっくるめて」【死の恐怖】と
云ってよいでしょう。
【生の欲望】 ⇔ 【死の恐怖】
これは、同一物の【表と裏】【盾の両面】
とも言えます。
欲望が強い人ほど、死の恐怖も強いと
森田先生はいいます。
では、死の恐怖に悩まさるなら、
欲望を小さくすれば・・・
と考える人もいます。
それでは、人間否定になってしまいます。
自分に生まれながら備わっている能力、
これを、精いっぱい、社会生活の中で、
発揮することに、森田療法の価値があるのです。
今日の【キーワード】は、
① はからい
② 症状を異物視する
③ 死の恐怖と生命欲は表裏一体
これを、よく理解しておくことが大事です。
徐々に理解が深まって、納得する時が来ます。
【悟り】は、遠くのあるものでなく、
身近、【自分の足元】にあるのかもしれません。
【はからごとは】無駄な抵抗だと、経験者は識ります。
疑ってもよいと、森田療法は教えます。
しかし、教えを否定するのではなく、
疑いながらも教えを受け入れていく。
これが、最も大事なことでしょう。
では、また。