前回の続き。


ニワトリの飼育で一番かかるコストはえさ代です。

会社によってはコストの7割を超える場合もあります。


でこのエサをいかに有効に使っているのか計るのが飼料要求率で

エサ使用量÷卵生産量(卵1㎏生産するのにエサを何㎏使ったか?)

つまり、この数字が少なければ少ないほど

少ないエサでたくさんの卵を作ったと言うことになります。

ということは安く卵を生産したということになります。


ただし、ヘンディーと同じで

この要求率ばかりに目を向けると

エサは少ないが、総生産量も少ないということになり

結果売り上げを下げてしまうということになります。


またエサにはいくつも種類があり

当然、カロリーが低い、タンパクの低いエサは安いですから

高いエサを少量に使い生産をするのか

安いエサを大量に使い生産をするのかで要求率の意味も変わります。


ですから最終的には

卵1キロあたりいくらかかったか?通称「製造原価」を出すことになります。

ただし、ここは経営者のレベルの話になりますので

この話を経営者に話せば、嫌がる経営者も出てくるでしょう。

自分の経営を否定されかねませんので。

でも本当にそういう社員がいれば私はうれしいですが。


またコストには当然人件費も入ります。

卵を集めるのも、清掃をするのも、エサをあげるのもすべてコストがかかります。

ですから、心いくまで仕事がしたいけど中途半端であきらめざるをえない。

これは仕方のないことで、それ以上手をかけると

コストがかかってしまう(手をかけた分卵が高く売れるわけではない)。


この曖昧で微妙なラインを覚えてほしい。

経営者もどこまでやるのが正しいのかを分かっているわけではありませんから。

(分かっている経営者はほんとに一部でしょう)


逆に人件費を下げる努力も必要です。

給与を下げるわけにはいきませんから(ボランティアではない)

1時間あたりの仕事量を増やし、時間単価(時給)をあげるのです。

だから8時間かかる仕事を6時間に短縮する、

5人で行う作業を4人でする。

何でもいいから短縮できるものは短縮させる。


結果、別の作業が出来ますし

付加価値をつけるための作業が出来るかもしれません。

そうすれば卵が高く売れるかもしれませんし

生産量を増やすことが出来るかもしれません。


忙しい、人が足りないと言っている人、部署は人の動きが緩慢です。

はっきり言えばぬるい。

てきぱき作業をする習慣をつけることです。


他にはコストとして、薬品代、修繕費などがありますので

薬品を効果的に使うとか、ものを大事に使うとかあります。


また薬品に関しては

その薬品の効き目、何のために使っているのかを理解せねばなりません。

薬品の効き目は血液を採取し、解析を行えば抗体価測定で効き具合がわかります。

そうすると薬品は効いているのか、そもそも必要があるのか等が分かり

必要な薬品を必要な分だけ使うことが出来ます。


それからこれは弊社だけの活動ですが

様々なコスト削減はエコであるという考えのもと

削減できるものを削減する活動を行っております。


無駄なエサを削減すればエネルギーの無駄をなくすのと一緒ですし

無駄な薬品をなくせば、薬品に関わるCO2を減らしたのと一緒です。

人件費もガソリン代も、電気代もすべて無駄をなくせばエコです。

そしてエコの結果利益が上がり、給与が増えます。

すばらしい活動だと自負しております。


それから採卵鶏の究極はウィンドレス鶏舎での飼育だと思っています。

ウィンドレス鶏舎ではエサ、産卵率、平均卵重は当たり前で

光のコントロールと室内の温度コントロールでニワトリの動きを制限し

余計なカロリーを使わないことでエサの無駄を省くと同時に

卵の大きさが大きくなりすぎないようにコントロールする。

また室内のアンモニア濃度も低くすることで

鶏舎内環境も改善を計ります。

当然外部からの空気の進入口も制限しますから

病気の発生リスクも極端に減らすのです。


ま、採卵鶏の飼育と言うより、卵製造マシンといったほうが正しいのかもしれませんが

私は昔ながらの庭先で放し飼いにしているより

現在のウィンドレスでの飼育方法の方が衛生的でニワトリにも快適だと信じています。


野菜の栽培の路地栽培→ビニールハウス→工場生産野菜に発展しているのと一緒です。

そして工場生産野菜は栄養素、色、形すべて消費者の思うように生産が出来る。


おそらく、消費者は庭先で出来た卵がほしいのでしょうが

そのニワトリは外で飼育しているので病気にかかりやすいです。

でもそれに対する理解は示さないでしょう。

掃除をするにしても建物の中で飼育している分は建物の中だけ清掃すればいいのですが

外はどこまで清掃していいやら分かりませんし

ニワトリのエサを狙って、野鳥がいくらでも飛んできます。

そこからくる病気の驚異を防ぐのは不可能です。

でも消費者は病気のニワトリの卵は嫌だといいます。


だから生産者は自分の作りたいものを作るのではなく

消費者のほしがるものを作る。このことを忘れてはいけないでしょう。


そして本当に作りたいものを作りたければ

その思いを消費者に理解してもらうための努力をしなければならないでしょう。

ここに「たまニコP」 の存在意義があるのです。