口述式試験が終わり、波乱に満ちた令和2年予備試験もついに終わったんですね。

 合格者の方々はおめでとうございます。

 

 

1 予備試験10周年

 

 今回で予備試験は第10回です。時が経つのは早いものです。あと数年経てば、予備試験合格者で大手事務所のパートナーになる人も出てくるのでしょう。

 

 令和2年は出願者が過去最多ながら受験者数が新型コロナで減ったため、論文合格者数も減り、連動して最終合格者数も減りました。このため、最終合格者数の対出願者数比では2.89%と近年では若干低くなっています(平成27年から令和元年までは3%台前半でした)。

 とはいえ、受験者数比では4.17%と、予備試験の制度開始以来、最も受かり易くなっています。次に受かり易かったのは平成29年の4.13%でした。

 

 

2 久々の高校在学中合格者

 

 高校在学中というのは出願時なので、ひょっとしたら今は大学1年生かもしれませんが、これは平成29年以来です。

 

 毎年の合格者平均年齢を比較するに、今年は更に下がりました。

 

 

 

 グラフを見ても分かるように、徐々に合格者は若くなっています。受験人口は全体として増えていますが、若い世代の方が真剣なのでしょうか。

 

 

3 世代別受験率

 

 令和2年の論文合格者数は、おそらく受験者数との兼ね合いで決まっているのでしょう。

 今年は新型コロナの影響で、出願しつつも受験しなかった人がかなりいるのではないかと想像し、受験率(受験者数を出願者数で除したもの)を年代別に比較すると、次のようになりました。

 

 

 高齢者、基礎疾患あり、といった要素が重なれば死亡率が高まるそうですから、令和2年の80代以上の受験率が突出して低いのは止むを得ません。

次に受験率が低いのは働き盛りの30代や40代です。もしも陽性反応が出て、職場に「実は予備試験を受けたんですが…」とバレても良いことがないですし。

 例年最も受験率が当然高いのが20代ですが、20代ですら80%です。若い世代にとっては深刻な病気ではないとの指摘もありますが、それだけ世間からは恐れられているのでしょう。

 

 令和3年予備試験ではどうなるのでしょう。受験率が下がれば、受験者数減少に伴って減った論文合格者の椅子を求めて、結果的に本気度の高い受験生の中から抜きんでないといけません。

 

 

4 学歴別合格率

 

 試験段階毎に学歴別の合格率を比べてみましょう。

 

 

 

 論文と口述で傾向の違いはないので、短答と論文で比較します。

短答は単純な勉強期間が長い方が有利と考えられますので、ロー卒の合格率が相対的に高くなるのは自然なことです。

ところが、論文となると、ロー卒は全体平均よりも劣りますが、これは失権してから論文答案の書き方を改善できないまま時間だけが経っているのでしょうか。これに対し、間もなく司法試験を受験する立場にあるロー生の合格率が高いですね。

 

それにしても、ロー卒の短答合格率が今や3割強とは…。法科大学院修了に至る学習の内実はどのようなものなのでしょうか。以前は司法試験も短答7科目でしたが、最近は3科目へと大幅に楽になりました。予備短答に比べると、司法試験合格には憲民刑以外の短答知識を網羅的に勉強する必要がないために準備不足のまま予備短答を受けてしまったからなのでしょうか。