令和2年司法試験の論文式試験刑事系第1問の問題文の事例を読んでいて、第6段落で、

 

甲がAに対して、「これまでのことをきちんと謝罪したい。」と言い、

 

とあります。〔設問2〕の検討をしながらこれを目にした瞬間、もう一度問題文を最初から読み直しました。

 

 甲はAから500万円もの貸金の取立を依頼されるくらいに信頼されているのに、Aに対してどんな不義理を働いていたのだろうか、と疑問に思ったからです。

 

 読み返しても、甲がBに対して暴力団の存在を仄めかして取立をし、更に500万円の借金を600万円だと主張して600万円を取り立て、しかもそれを自分の借金返済に使うという結構なクズだということが確認できたのですが、それ以外に甲がAに不義理を働いてはいないようです。勝手に借金返済に600万円を使ったことは、第3段落に書かれ、第4段落ではそのことを知ったAが甲にキレるのですが、〔設問2〕では第3段落も第4段落もないものとして検討することが指示されています。

 そうなると、甲はAに何をやらかしたのか、と気になってしまうわけです。

 

 そんなことに気を取られていると答案構成の時間を無駄にしてしまうのですが、これって何か意味があったのか?、と思ってしまいます。司法試験の論文式試験の問題文に意味のないことが書かれていることはそうないので。