最近、予備試験受験生の方と話す機会があったのですが、短答式試験の勉強方法について質問されたので、備忘録として書いてみます。

 

 

1 短答式試験で何点を目指すべきか

 

 最終合格したいなら、法律7科目だけで、210点中168点を得点する必要があります。要は8割です。一般教養が壊滅的でも合格できる水準に達すれば、短答の点数という意味で、必要十分だからです。

 経験上、8割を超えると、更に点数を伸ばす労力が過大になるように思いますので、8割を目標とすれば足ります。

 

 短答式試験の出題範囲では、論文式試験にも出る内容(理由付けと規範をちゃんと書けないといけない、いわゆる論点)と短答プロパーに大別されますが、前者を網羅でき、短答プロパーにも手を出しつつあれば、7割程の点が取れるでしょう。

 7割程取れていれば、論文式試験対策にも手を出せばよいと思います。

 

 

2 短答式試験でのチェックポイント

 

 短答式試験の点数で習熟度をある程度推認できることはできるのですが、最終合格を見据えると、点数以外の学習深度は、以下のように分類できるのではないでしょうか。

 

 まず、短答式試験で苦労している方は、おそらく、肢の正誤の判断を適切にするだけで手一杯だと思います。結論だけでなく理由付けも覚えるようにしているとは思いますが、それでも正誤の判断で一杯々々でしょう(レベル1)。

 

 次に、短答式試験にはとりあえず合格したものの、論文式試験でD評価以下が大半という方は、正誤の判断は概ねできていて、理由付けがある程度乃至概ねできていると思われます。ただ、そこで止まっているのではないでしょうか(レベル2)。

 

 更に、短答式試験で落ちることはあり得ないが、論文式試験に受かりそうで受かっていない方々は、正誤の判断は殆ど(難問を除いて)でき、理由付けがほぼ分かっていて、その詳細である問題の所在、必要な条文のおおよその位置、規範とその理由付けができつつある(レベル3)

 

 最期に、短答式試験は当然に合格し、論文式試験に受かる可能性が高い方々は、正誤の判断も理由付けも隙がなく、その詳細である問題の所在、必要な条文のおおよその位置、規範とその理由付けを諳んじることができる(レベル4)。

 

 一見すると、いわゆる論点と短答プロパーに大別しておきながら、最終合格のために(特に論文対策の場面で)後者についてまで網羅するというのは矛盾しているように見えるかもしれません。

 しかし、短答プロパーであっても、特に会社法、法律実務基礎両科目については細かい条文を探せるだけで点数につながる場合が多々あります。こういうところで貪欲に点数を拾うことが大切なのです。

 

 程度の差はあれども、4月や5月は短答対策に注力せざるを得ないわけです。論文対策も気になりますが、短答対策をするときは、上記のいずれのレベルに自分がいるかを意識して、より上のレベルに近付けるようにしてみてはいかがでしょう。