予備試験の口述式試験が終わったら、とりあえず翌日から選択科目の勉強を始めましょう。

 

1.労働法を選ぶ

 選択科目として何を選ぶべきかについては、迷わず労働法を選ぶべきです。受験人口が多く、それだけに問題集やテキストが充実しているからです。

 

2.インプット

(1)内容を概観

 そんな労働法の勉強として、リーガルクエスト「労働法」を一読してどんな科目であるか把握します。詰め込みすぎて消化不良になっても仕方がないし、しかも「口述式試験に万が一、落ちていたら」と不安な時期なので、せいぜい、1日1章のペースで読めば、11月半ばには読み終わります。

 ただ、リークエは司法試験に特化して書かれた教科書ではないので、LECの選択科目総整理講座を受講して「C-Book労働法」のうち司法試験に必要な箇所を意識的にインプットしていくのが効率的です。

 

(2)試験を意識した実戦的インプット

 労働法においても、勿論、典型論点を覚えて、出題に応じて適切に論点吐き出しをし、当てはめのため事実を拾いまくることになります。

 典型論点を覚えるには、辰巳の「1冊だけで労働法」が最適です。覚えるべき論点は、この1冊に載っているものを覚えれば必要十分です。ただし、使いにくい又は覚えにくい論点があれば、「C-Book労働法」に載っているものを参考に、余白部分に訂正したものを書き込んでおきましょう。

 とにかくこれの趣旨・規範本パートの論証を丸覚えすれば大丈夫です。

 

(3)判例百選をどう使うか

 典型論点をある程度理解したら、それが具体的にどんな場面で使われたかを知るために判例百選を通読しましょう。事実の当てはめの好例が多く載っているので自分で答案を書く前にイメージできるようするために有効です。

 

 

3.アウトプット

(1)論文答練

 辰巳の選択科目集中答練全8回、LECの論文パーフェクト答練全2回を必ず受講しましょう。これらをこなし、できなかった問題があれば、論点の覚え直し、答案の書き写しで答案のイメージを固めましょう。

 

(2)演習書

 水町勇一郎「事例演習労働法 第2版」を何回も読みましょう。

 司法試験にも通じる事例問題が豊富に掲載されており、参考答案を兼ねた解説が充実しています。典型問題の宝庫ともいえます。

 最初は解こうとしてもスラスラ解けないでしょうから、いっそのこと書き写して覚えてしまいましょう。3回ほど読んでいると、何を論じるべきか、どういう事実の当てはめかが分かります。

 

(3)過去問演習

 労働法に限らず、選択科目は各科目の受験人口が少ないため、出回っている再現答案の絶対数が少ないです。

 不思議なことに、全年の過去問・答案集も見た限りないので、過去問を解いても解きっぱなしになるおそれもあります。自分が入手した再現答案や参考答案がマトモな年の過去問のみ、自分の手を動かして書くとよいと思います。

 

(4)模試

 上記のアウトプットができていれば、模試で足を引っ張らない程度に戦えます。

 学習のペースメーカーとして、LECが年末年始に実施する全国公開模試セミファイナル編を挙げることができます。家で解く答練と違い、分からない時に解説を見ることはできないので、初の真剣勝負です。

 ここで良い答案が書ければ、自分の勉強法に自信を持てて本番までの勉強に弾みがつきますし、プレッシャーも少しは和らぐことでしょう。

 

4.私の成績

 論文式試験で、71.18点でした。順位だと23~29位です。

 勝因は、偏に典型論点を完璧に覚えたことに尽きます。

本番の手応えとしては、第1問の〔設問1〕の解答筋を迷いましたが、皆が書きそうな労働契約法第16条を使って書きました。他の問題は典型論点しか出ていなかったので、簡単でした。事実をこまめに拾って評価していけば、高得点は容易だと思いました(予測は当たりました)。

法科大学院で勉強した人に負けるのではないかと不安な方は多いと思いますが、模試や本試験での出来具合を見るに、殆どの人が必修7科目対策に手いっぱいでそんなに選択科目に手が回らないのが実態です。予備試験を突破した自分なら選択科目もやれると信じてやり抜きましょう。