最近の主要メディアの論調を見ると、英国のEU離脱は一様に困ったことであるというものばかり目にする。

その主旨を大別すると、第1は、EU離脱で円高が進み、日本経済に悪影響があるというものである。第2は、主権国家を超える共同体が折角できつつあったのに、英国のせいで台無しになったというものである。


私が特に興味があるのは第2の方である。産経新聞でさえ、グローバル化を善いものだという考え方が根底にあるように読み取れるのだが、そんな産経新聞で、古森義久氏が米国における、ある論考を載せていたのが印象深い。


この点についてはワシントンでいま注視される若手の国際政治学者アーロン・マクレーン氏がもっと踏み込んだ指摘をしていた。同氏は英国のオックスフォード大学にも学び、ワシントンの超党派シンクタンク「新米国安保研究センター」から今年、「次世代の研究者賞」を受けた。「ブレグジットは破局ではなく好機である」と題する論文で次のように書いていた。

「今回の英国の国民投票は欧米のいわゆるエリートにとって超国家による統治を未来の不可避な出来事だとする『夢』の排除だった。この『夢』は一般人の愛国心の誇りや国民国家への愛着を非合理で自己破壊だと断じてきた。この『夢』は死んでいないがいま阻まれた。だからエリートたちはがっかりして感情に走り、英国民の判断をたたくのだろう」

日本での議論にとっても刺激となる分析だろう。


http://www.sankei.com/world/news/160702/wor1607020021-n2.html


我が国においても、主権国家の上位に位置づけられる地域共同体や地球規模の政府のようなものを志向する人々は少なからずおり、特にインテリとしての自覚がある人に見られるように思う。

私は日本国民が皇統と共に独立と繁栄を享受できることを願う者なので、日本がEUのような国家を超える共同体に属して主権を制限されることは容認できない。だから上記のアーロン・マクレーンの上記の指摘に全く賛同するところである。

自国の独立と繁栄に貢献すべきインテリが、無意識的であるにせよ、自国の主権を制限することに抵抗のない世の中になっていれば、極めて恐ろしいことである。