監督・脚本 ジョン・カサヴェテス
主演 ジーナ・ローランズ
1980年 アメリカ
ニューヨーク。マフィアの秘密を守ろうとして惨殺された家族の中から1人生き残った少年を、かくまった隣人の女性グロリア。子供嫌いなグロリアは生意気なフィルを好きになれずに見捨てようとするが、一緒にいる内にすこしずつ母性本能が芽生えはじめる。
命を狙われ必死になってニューヨークを逃げまわるが……。
リュックベッソンの「レオン」の原型ともいわれている名作。
ジョン・カサヴェテスの映画は心にしみる。そしてジーナ・ローランズがかっこいい。年をとるほど味がでる女性だと思う。憧れです・・・。
落書きだらけの地下鉄。道端で買い物袋をひっくり返した時の周囲の冷たい目線。信用できない仲間たち・・・・。N.Yの冷ややかな隠れた部分が容赦なく出てくる。
「42street 」 かつてミュージカルが栄えた夜も眠らない街。ミュージカル好きには夢のような響きだが、この映画では華やかなイメージなど全くなく、普通のそこらの2丁目、3丁目のようにセリフに登場している。
ハリウッド!メジャーリーグ!20年代のミュージカル!とは正反対のアメリカを感じた。
この気持ちは、大好きなジャズが生まれた街、ニューオリンズの被災地のすさまじい光景をTVで見たときに感じたのとなんだか似てる。
ギャング映画なんだけど銃の撃ち合いが見せ場ではない。それはおまけにすぎないのだ。
「子供をかくまう元ギャング。」 よくある設定だが、何かが違う。
グロリアは何度も自分のしていることが正しいのか自問自答した。逃げ出そうともした。自分の中でも整理がつかず、素直にもなれず、子供に選択を与えたりもした。 このグロリアの気持ちがとってもリアルで、痛いほど共感できるのだ。ここがカサヴェテス映画のすごさ・・・!
グロリアが「情が移った」という言葉に強く否定したのが印象的だった。 「情が移る」 そんな簡単なことでがない。それに、認めたくもないのだと思う。 人間の心はもっともっと複雑だ。
ぐっときたのは少年の「あんたは僕のママで、パパで、ファミリーだ。そしてガールフレンドでもある。」というセリフ。なにもかもひとつにまとめなくても、いろんなかたちの愛情、気持ちがあっていいと思う。
この映画、99年にシャロンストーンでリメイクされたらしいけど、どうも評判がよくないらしい。多分観ないと思う・・・。(><)
余談…。
カサヴェテスとジーナは夫婦です。カサヴェテスは1989年、59歳で他界してしまったけれど、妻であるジーナを主人公に他にもいくつか撮りました。他の映画もだいすきです。
ふたりの子供、ニック・カサヴェテスも監督で、今年、「君に読む物語」という映画が上映されました。(結構ヒットした。私は期待しすぎちゃってちょっと物足りなかったけど…。)それに母であるジーナを登場させているところがすごくうれしかった。愛を感じた。他にもジーナを主役に映画を撮ったり、父の書き残したシナリオを映画化させたりもしている。
エゴラッピンのアルバムに「カサヴェテス」という曲がある。カサヴェテスの映画を見た後にきくとなんがかしっくりきて心地いい。贅沢な気分になります。