●コアスタビリティ・エクササイズ(体幹トレーニング)は
腰痛などの痛みに特別な効果はない、という説があります
今回はその説の紹介です(小分けにして1,2ヶ月かける予定です)
●運動自体は腰痛に良いと言われています
●健康のための運動は
ウォーキングなどの全身運動>コアスタビリティや筋トレなど体の一部を鍛える運動>運動不足、
だと個人的に思っています
追記2023/12
◎1日8000歩のウォーキングを推奨しています
うちでは何年も前から中之条の奇跡の研究を元に推奨していましたが
最近アメリカで似たデータが出て
やっと日本の厚生労働省も似たようなことを言い出したようです
…実践してみて下さい
●コアスタビリティは腰痛に効果があるというエビデンスもあります
●運動は継続が大切です
好きで体幹トレーニングなどのトレーニングを好きでしている場合は
体調に問題がなければ、継続すれば良いと思います
●逆に、トレーニングで痛みが出たり、
健康のために行っている、という人は、
ウォーキングなど経済的かつ確実に効果があるとされる運動に切り替えるか、
コーチを変更するか、方法を変えるなど、何らかの対策を行いましょう
The myth of core stability
(体幹トレーニングの神話)
著者 Eyal Lederman DO PhD
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S136085920900093X
■先述したように、コアスタビリティエクササイズには問題があり、
他のエクササイズより有効とは言えません。
重要なことに、過去10年間で腰痛の病因の理解が劇的に変化しました。(これは2007年の論文です)
心理的および社会的要因は、
急性腰痛の発症・急性から慢性の移行において、重要なリスク・予後因子となっています。
遺伝的要因や行動/「身体の使用」も、腰痛の要因です。
■脊柱の部分的でちょっとしたアンバランスは、
腰痛の原因として最近は重要視されていません。
明らかな心理的要因があれば、
脊柱の安定性の向上などの生体力学的要因は腰痛の軽減にほとんど効果がありません。
また、脊椎痛の行動/生体力学的発想でも、
コアスタビリティが腰痛予防や治療として良い効果があるとは考えにくいです。
これは、腰痛の原因を二つの大きなカテゴリに分類することではっきりします。
↑ここ大事なところです
腰痛の原因として
最近は心理面や社会性など
精神的な内容が重視されてきています
ちょっとした骨の歪みや変形は
痛みの原因になる可能性は低いです
こういうのも数字ではっきり出てきてますが
「間違っているけど、わかりやすくて、一般常識化してしまった専門知識」というのは変化しません
ではつづきです
腰痛を2つに分類して
体幹トレーニングが腰痛の予防や治療にはならないであろう、という内容です↓
○行動群:腰に過度の負荷をかける、
例えばモノを持ち上げるために腰を曲げたり、
スポーツによる繰り返しの動作をするグループ。
△バッドラック(不幸)群:転倒や外傷など、
突然の不運による腰の怪我をしたグループ。
○行動群では、腰を曲げたり持ち上げたりすると腹筋活動が低下し、
さらに脊柱の圧迫を引き起こしたり、
慢性腰痛患者では、持ち上げる動作で脊柱への負荷が高くなったりします。
腹筋を緊張させると、脊柱は圧迫されますが
腰椎の安全な範囲を超えない限り、
これらのわずかな違いは問題にはならないと考えられています。
したがって、コアスタビリティが腰椎を保護するかは、考えづらいかもしれません。
■コアスタビリティのトレーナーは、
よく、患者に座っている間もコアマッスルを緊張させて
腰痛を軽減または予防するようアドバイスします。
座ることは腰痛の要因にはならないと考えられていますが、
一部の腰痛患者は、座っていると腰痛が緩和される場合があります。
ただし、座っていることは(立っている場合と比較して)
腹筋の活動の増加、および腰椎椎間板へのストレスは増加します。
前屈位では腹筋と背筋の共同収縮活動をさらに増加させても、
椎間板の狭小化/病態に対する保護効果がさらに向上するわけではありませんし、
むしろ脊柱の圧迫が増大する可能性があります。
■また、コアの緊張によって不安定な分節の運動を押さえ込めるかどうか不明です。
健康な人でも、座っている間に脊柱の構造にクリープ変形が発生することがわかっています。
(クリープ変形→持続的な力がかかり変形すること)
腰部筋のさらなる共同収縮によってクリープ反応が増加する可能性があります。
ここでは
腹筋や背筋に力を入れると
外部からの力からは守ることにはなりますが
体の内部では圧力が高まり、圧迫される、ということが書かれています
当然過負荷は痛みの原因になります
筋肉痛が治っていないのに、さらに同じ筋トレを続けると
オーバーワークで筋肉が縮むのと同じことです
それだけ悪い負担、過労状態になります
△バッドラック群では、コアスタビリティは突然の予期せぬ外傷の結果にほとんど影響を与えません。
怪我はほんの一瞬で発生し、
神経系が背中を保護するために自己組織化する前に起こることが多いです。
怪我は、疲労や過度のトレーニングによって起こることが多いです。
これらの要因が急激かつ予期せぬ高速運動と組み合わさると、
しばしば怪我の原因となります。
急激な外傷では、強力な腹筋の収縮を継続することが、
けが予防にはあまり利益がないと考えられます。
以上の理由から、コアスタビリティエクササイズが腰痛の病因に対して
他のエクササイズよりも優れているという結論は得られませんでした。
腰痛の発症には心理的・社会的要因や遺伝的要因、
行動/身体の使用方法などさまざまな要素が関与しており、
単純な生体力学的アプローチだけでは対処しきれないことがわかっています。
バッドラックのグループ
不幸にも急激で、瞬間的な衝撃やダメージがある、いわゆる事故に近いようなケガです
こういったケガでは継続的に腹筋に力を入れたりするトレーニングは予防にはならない、という内容です
個人的にはスポーツにおける体幹の強さという意味では無意味とは思えませんが
交通事故などを考えると上手な受け身の取り方など
衝撃を逃がすテクニック?がより重要なのかな~と思います
当然ですが、例えばサッカーや格闘技などのコンタクトスポーツでは
でかいほうが強いです
そのためには筋肉を大きくするほうが有利なのでスポーツによってはどんどん筋トレするべきだと考えます
怪我の予防とか治療とは別次元の話です
野球でよく筋トレ否定論が出てくるのは
野球はコンタクト(接触)しないスポーツだからかな?と思います
筋トレが有効/無効いずれにしても、わかりにくいのかな、と
競技に関しては今回の論文とは関係ない内容なのでこの辺にしときます
やっと次回で体幹トレーニングと腰痛の論文は最終回かな?