仕事が終わった私は、翌日お休みだったため

会社からマサルの実家へ向かった。






通い慣れた道。

マサルの実家近くのコンビニに来るのも久しぶりだなぁ

なんて、しみじみ思いながら向かった。











マサルの実家へ行ったり泊まったりするのも

数えきれないくらい私の日常だったのを

思い出した。




お互い高校生の頃からの付き合いで

どちらの両親、家族ともに公認の付き合い。



高校卒業後からはマサルの実家に泊まることもあって

勝手知ったるマサルの家、だった。












マサルの実家に着くと、マサルのお母さんが夕飯を用意してくれていた。

元気で子供好きなお母さん。

甘えて夕飯をご馳走になる。

マサルも待っていてくれていて

2人でいただく。





「ご馳走様でした」


お礼を言って、片付けと洗い物をさせてもらい

マサルの部屋へ上がったのは10時を過ぎていた。











部屋でテレビを見ているとマサルが口を開いた。


「…ユカ。

正直に話して。

…俺と別れてる間、トオルと何があったの?」




マサルからそう言われて、頭の中が真っ白になった。




「…えっ?」



やっと出た言葉。



どうしよう、どうしよう。。。



誰からどんな風に聞いたの?







トオルとのことは私は友達に話していなかったし

トオルもまた「ユカがマサルの彼女なのに

誰にも言えない。」と言っていた。




喉がカラカラに渇いていく。



自分でも動揺しているのが解る。









「俺と別れたのはトオルが原因なの?」



マサルに聞かれても、返事できない私。






「…どうして?」



何か言わなきゃと思い、マサルに聞き返した。
マサルが夏休みに入り、帰省した翌日。

2人で飲みに行ったのがきっかけで

私とマサルはヨリを戻した。







ヨシカズに対しての私の気持ち。

トシとHしてしまったこと。

それから、トオルとのこと。

私の中でかなり引っかかっていたし、マサルへの罪悪感もあった。



が、それらを言い出すことなんて出来ずに

マサルとヨリを戻してしまった。







ヨシカズには連絡をとらないようにしよう。

とりあえずの誠意のつもりで、そう決めた。










マサルとヨリを戻して数日は別れる前と何も変わらない日々が続いた。



久しぶりにマサルの実家にお邪魔したときも

マサルの家族たちは以前と何も変わっていなかった。

そもそも別れたことすら知らないようだった。




マサルの実家に行くまで罪悪感が大きかったが

以前と何ら変わりなく受け入れてくれる

マサルとマサルの家族たちと接していると

不思議なもので、罪悪感は小さくなっていった。






マサルとヨリを戻して1週間ほどした頃。

私は翌日休みだったため、マサルの実家に泊まる話になっていた。








8時前に仕事を終え、マサルにメールをした。

「終わったよ(^-^)」

すぐにマサルからの返信。

「家で待ってるから」







私はコンビニに寄ってからマサルの実家に向かった。





これから起こる修羅場なんて予想できるはずもなく。。。

帰省したマサルと2人で居酒屋へ。


別れてから2ヶ月ぶりに会ったマサル。




「俺らヨリ戻さない?」



マサルの口から出てきた言葉に驚いた。







ヨシカズが好きだと思っていたがそうでもないかも・・・と


ヨシカズへの気持ちがすーっと冷めていくのがわかる。




振り向いてもらえるかというとセフレの位置づけになっている自分には


到底無理なような気がしていて。


かといってヨシカズに猛プッシュしたところで


暖簾に腕押し状態になるのは目に見えている。


というか、猛プッシュしたくてもそれをするとなると


電話も無視されそうだし、会って伝えるってのも


無理だろうし。。。


一方的にメールで気持ちを書き綴るしかないだろうと


十分分かっていた。


そうしたところでヨシカズが私の方を見てくれるかというのは


ゼロに近いことも分かっていた。


ヨシカズはこっちで遊んでいるけれど


地元には付き合って4年くらいになる


遠恋中の彼女がいるし。


いくら女遊びしていても、その彼女と別れないということは


彼女のことが好きだからなんだな、と理解していたし。


とても彼女に勝てるとは思わない。。。






現時点でヨシカズよりも、目の前にいるマサルのことが


恋しい自分にも気付いた。






私が幸せになれるのは・・・



答えはもう出ていた。









でも・・・


マサルとヨリを戻すとなると


トオルのことも引っかかるし。。


トシのことだってある。





トシとはトオルやカヨたちと飲み会をした日に


カヨの部屋で流れでHしてしまった後、


そういったことはないけれど。。。





マサルと、トシもトオルも友達なのだ。






マサルからヨリを戻そうなんて


嬉しくてありがたい提案が出されているというのに


手放しで喜べないのは全て自分のせい。。。






「・・・ありがとう。


マサルにそんな風に言ってもらえて


すごく嬉しい・・・んだけど。。。」



やっと言葉にするが


どうしたらいいのかまったくわからない。







マサルは優しく続ける。



「俺はユカと離れてみて


ユカの大切さが本当によくわかったから。


別れたのは俺も悪かったと思うんだ。


付き合いが長くなってきて、マンネリを打破する


工夫とかしようとしてなかったし。


・・・ユカはヨリ戻したくない??」





・・・戻したいよ。


今はいろんな事後悔してる。


自分の浅はかな考えとか行動すべてを


やり直したい気持ちでいっぱい。。。





「・・・戻したい、と思・・う。」



否定なんて出来るほど、強くない私。


でも正直に自分の気持ち全てを


マサルにさらけ出すことも出来ない


ズルイ私。。。






「・・・じゃあさ、


俺らやり直そう?」



マサルは私を真っすぐに見つめている。


それに引き換え、視線を合わせられない


後ろめたい気持ちでいっぱいの私。






マサルが私からの言葉を待っている。






曖昧な言葉しか言えない、後ろめたい気持ちでいっぱいの私。




「・・・うーん。」「でも・・・」なんて言ってると


マサルが言った。






「イヤじゃないんでしょ??


さっき戻りたいって言ったよな?


また上手くいかないかも、とか思ってる?


お互いに戻りたいんだからヨリ戻そうよ。」






マサルの意見はごもっとも。


この場でマサルを突っぱねるほど


私は強い女じゃない。。。





結局OKしてしまった。








このあと、マサルは嬉しそうにいろんな話をしてきて


そんなマサルを見ていたらこの数ヶ月間の出来事全てが


夢だったんじゃないか、という錯覚に襲われた。


錯覚というか、私の願望だったんだと思う。











でも、世の中はそんなに甘くない。




数日後、事件は起こった。













8月上旬。


マサルが夏休みのため、帰省した。




メールで「これから帰るよ^^」と


連絡をもらって知った。





すぐに返信する私。


「マサルの都合いいときに遊ぼう♪」




マサルからもすぐに返信あり。



「明日とかは?」




明日は仕事だけど、定時であがれる日が続いていたので


無理ではない。


もちろん予定もなし。


なので返事はもちろんOK。




こうしてマサルと別れてから2ヶ月ぶりに


会うことが決まった。









翌日、定時で仕事は無事終わり


待ち合わせていた最寄り駅に向かう。





待ち合わせは7時。


5分ほど前に付いた私はメールを送る。


「着いたよ^^


待ってるね!」





送信完了したと同時に肩を叩かれる。


マサルだ。




マサルは少し前に着いていたようで


久々にこのあたりをフラっとしていたらしかった。







2人で向かった先は駅から程近い居酒屋。


ご飯も兼ねて軽めに飲む。





居酒屋に向かって歩いている最中。


以前なら並んで歩くときはいつも手を繋いでいた。


でも今は違う。


当たり前だよね、別れたんだもん。




寂しさを覚えて、隣にいるのに


マサルが遠く感じて恋しくなった。






2ヶ月ぶりに会うマサル。


もっと会っていなかったかのような感覚に捕らわれる。


飲み始めてすぐはお互いに緊張していたが


時間の経過とともに緊張がほぐれてくるのがわかる。





お互い、別れてからの2ヶ月間のことを


ポツポツ話していくうちに自然に笑えるようになった。






他愛もない話をしながら目の前にいるマサルが無性に恋しくなってくる。


なんで別れちゃったのかな。。。








飲み始めて1時間強経ったころ。




「ユカ、俺らより戻さない?」




マサルが真剣な面持ちで真っすぐに私を見つめながら言った。




7月も終わるころ。


地元で花火大会があった。




私はできればヨシカズとデートで行きたかったが


そんなのは言う前から無理なのは分かっていたから


ヨシカズを誘うこともなく、カヨとシホとカズヤで行くことになった。





カズヤはカヨと2人で行きたかったみたいで


カヨを誘ったようだったが、カヨは4人で行こうと


カズヤに言ったらしかった。







タツのことは私が告白されたことをカヨが知っているのか分からなかった。


私からなんて聞けなかった。


タツに告白される前にカヨの気持ちを知っていたし。




少し前に「タツとはどうなの?」とカヨに聞いたが


「どうもなってないよ。」という返事から


やっぱりタツはカヨのことは好きじゃないんだなと


漠然と思うことしか出来なかった。






カズヤは彼氏がいると知っていながらも


カヨのことを本気で好きになってきているらしくて


「よく遊ぼうって電話来る」とカヨが言っていた。




なんだか上手く行かないもんだ。








花火はきれいだったけど好きな人と見たかったな、なんて


思ってしまう私だった。




頭をよぎったのは、やっぱりヨシカズ。







カヨたちがいるのにぼんやりと考えていたら


私の携帯が鳴った。


メール。。。




マサルからだ。



「そっち帰るの8月入ってからだな。


バイトあるからさ。


帰ったら遊ぼうな!」



ヨシカズのことが頭から薄れていくのが分かる。


マサルに会いたい。




「決まったら教えてね!


気をつけて帰ってきてね♪」




別れる間際の頃よりも


マサルが恋しい。






そんな夜だった。