トオルとのことだけじゃなく、トシとのことまで

知っているマサル。



マサルに何て言えばいいのか

動揺していると、私の携帯が鳴った。





こんなときに・・・。



マサルは真っすぐに私を見ている。

鳴り続ける携帯。

間が悪いし、電話に出たところで

この状況がなくなるわけじゃない。








鳴り続ける携帯がマサルに口を開かせる。


「…出たら?」






私は頷きも出来ず、テーブルの上に置いてある携帯を手に取る。







ディスプレイに表示されているのは

「アケミ」の名前と番号。





アケミとは会社で顔を合わせれば話すが

元々あまり連絡を取り合ってなかった。

嫌な予感がする。




何よりトオルを気に入ったというアケミ。

私のことをアケミに話していたら

アケミ的に面白くないはず。










すぐに出ない私にマサルが言う。


「早く出なよ。」









アケミからの電話に嫌な予感がしつつも

出ないわけにいかない。



ほとんど全てを知っていると思われるマサルの前。

ここで出なかったら、一層怪しいことは自分でも解る。














「…もしもし?」

意を決してアケミからの電話に出た。





「…ユカ?

今、マサル君と一緒なの?」



アケミの声は普段とは違っていた。

刺があり、口調も穏やかではない。





「うん。一緒だよ。」


なぜマサルと私がいることを知っているの?

頭の中が?でいっぱいになる。








「ユカ、マサル君とヨリ戻したんだって?

…マサル君、知ってるの?

ユカがしたこと。」



アケミに強い口調で言われる。



圧倒されたのと図星なのとで何も答えられない私。





アケミは続ける。




「トオルとのことも、

…もちろんトシ君とのことも

言ってないんだ?

ユカ、最低だよ!

あの飲み会の日、トシ君たちとユカが帰った後

トオルは私の部屋で…ずっと

俺もついて行けば良かったって

朝までユカのこと心配してたんだよ?

…私はトオルの話聞いてるしかなかったけど…。

トオルの気持ち…、知ってて!

ユカ本当にひどい!!」






アケミはきつい口調だが、声を荒げることはなく

私にはっきり言い続ける。





「…マサル君とヨリ戻すなら

きちんと全部話しなよ!

黙ったまま隠しておくなんて

最低だからね。」






アケミははっきりしている方だと思うが

何よりトオルが私のことを想っている事実と

私があっさりマサルとヨリを戻した事実が

腹立たしいんだとわかった。








アケミの声の後ろは、やけに静かで

誰かいるのだろう。



きっとトオルかな?



直感でそう感じた。





トオルの目の前で、私にはっきり言うことで

トオルを擁護しようとしているんだなと

私は思った。








アケミに対して、相槌程度の返事しか出来ていない私。






アケミは最後に

「マサル君に全部話しなよ?

本当に。

…わかった??」

と聞いてきた。





小さな「うん」では納得できないアケミ。


「話すんだよ?!

わかってるんでしょ?!」


一層強くなる口調に私は

「…わかった。。。」


短い返事をするのが精一杯だった。