こんばんは。かのんです。



お父さんのベッドから離れ
食事をしようとする私の
人差し指を握りしめたまま
離さなかったお父さん。



一旦お家に帰るため
入院中のお母さんの元を
離れようとする私の手を
掴んだまま
離さなかったお母さん。



離さなければよかった。



お父さんの手を。
お母さんの手を。



ずっと
握りしめられたまま
その手を
離さなければよかった。



温もりのある
その手を
離さなければよかった。



命ある
その手を
離さなければよかった。



離したその手が
まるで
あの世とこの世の
境目に見える。



離したその手が
まるで
お別れの前兆で
あるかのように。






離したくなかった。



本当は
離したくなかった。



強く強く
握りしめたままで
いたかった。



そんな想いが
急に溢れて
お風呂場で泣いていた。



ちょうどその日は
お母さんの月命日だった。



泣くだけ泣いて
ラクになれるよう
お母さんが
泣かせてくれたんだろうな。



涙は
日々溜まった想いを
浄化させてくれる。



不要な灰汁を
取り除くように。



ありのままの
澄んだ私に
戻れるように。





ピンクハートREQUにて



ピンクハートアメンバー限定記事についてはこちらピンクハート



読者登録してね