※本稿はFacebookに投稿したものを修正した記事です

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『靖国神社が消える日』
本書を読んで非常に衝撃を受けました。
著者は、今年の6月まで靖国神社で禰宜を務められていた宮澤佳廣氏です。
一部メディアでは、“靖国神社の内部告発”と称されている本書ですが、私自身の読後感は「暴露本に近い」というものでした。

何がどう暴露されているか、詳しくは実際に本書を手にとっていただくとして、ここでは、靖国崇敬者にとって重要だと思われる宮澤氏の指摘を二点ほど抜粋してご紹介します。

一つ目は、靖国神社の現宮司である徳川宮司が、厳粛な祈りの場を確保するという名目で、「参拝せず外苑で飲み食いして帰る若者」を排除するために、ほぼ独断でみたままつり等から露店を締め出したこと

二つ目は、徳川宮司が亀井静香氏等の要請を受ける形で、“旧逆賊”の合祀に傾きつつあること

まず一つ目については、かつて靖国神社参拝運動を2ch上で起こした者としては、残念でならないというのが率直な感想です。
徳川宮司の批判する「外苑で酒を飲んで騒ぐ若者」が酒を飲む前に靖国の社頭で手を合わせていないとは限りませんし、また別の日に参拝に来ているかも知れない。
みたままつりを楽しむ若年層と参拝者層は完全に分離しているのではなく、ある程度重なって存在しているのです。
事実、宮澤氏によれば、露店の締め出し後、社頭参拝者は約6割減、昇殿参拝者、遊就館拝観者ともに約3割減という数字が出ているそうです。
つまり、結果的に排除したのは、特定少数の不心得者や犯罪者などではなくて、不特定多数の一般人だったということになります。

私は、今から十数年前の人のいない寂れた靖国神社を知っています。
都心の一等地にある、あれだけ広大な土地の、立派なお社に人が来ないのです。
平日はもとより、週末も祭日も、みたままつりの時でさえ近年ほどの賑わいはなく、「どうしてこんなアクセスのいい、イベントが盛りだくさんの楽しいお祭りにこれしか人が来ないんだろう?」と思っていました。
境内でたまたま行き合った戦友やご遺族に、「靖国に来てくれてありがとう」「若い人が来てくれてうれしいよ」と声をかけられる時代です。

今はどうでしょう?
いつ行っても人がいます。
当たり前のように、家族連れやカップル、若い子のグループと遭遇します。
かつて、戦友やご遺族が願ってやまなかった「死にゆく自分達の代わりに若い人が靖国を支える時代」が到来しつつあるのです。

戦争体験者の多くが他界された今、一般の人々の姿が再び境内から消え、閑散とした神社に戻るようなことがあれば、靖国はいともたやすく存続の危機に陥ってしまうのではないかと私は危惧しています。
そうしたリスクを承知の上で、徳川宮司の目指すとされる「静かな雰囲気で秩序ある参拝ができる空間」を求めるのか、少なくとも、崇敬者は旗幟を鮮明にすべきだと思います。
私は、一般の来場者を減らす排他的な方針には明確に反対します。

二点目については、全く理解に苦しみます。
旧逆賊の合祀は、日光東照宮に行き「時代も変わったことだし、豊臣の名誉を回復するためにも、秀頼公と淀君を一緒に祀って下さい」と言い出すようなものだと思うからです。
言うまでもなく、東照宮は家康公を祀るための神社です。
何も、秀頼公の名誉は東照宮に祀らなければ回復しないわけではありませんし、第一、彼の汚名はとうに雪がれているはずです。
旧賊軍についても同じことが言えます。
本書では「創建の理念」と表現されていますが、靖国(旧東京招魂社)が建てられた当初の目的は、幕末の動乱期に命を落とした勤皇の志士達を慰霊顕彰することでした。
つまり、靖国はそもそも、天皇の命を受け近代国家再編のために戦い亡くなった人々を祀るための神社だったのです。
この「朝命を受けた」というのが最大のポイントです。
旧逆賊の中には、尊皇の念の篤い人もいましたし、国のためを思って行動した人もたくさんいましたが、形として朝廷に弓を引いた以上、靖国の御祭神にはなり得ないのです。

そうした経緯があるにも関わらず、「国民融和のため」「寛容の精神の発露」と称して敵方を合祀することになれば、靖国神社の意義はもとより、明治維新の意義さえも見えなくなってしまうでしょう。
また、この合祀を認めれば、「日清、日露、大東亜戦争等の対外戦争の旧敵も祀るべき」という話にもいずれ発展しかねません。

本書130ページには、この件に関する亀井氏と徳川宮司のやりとりが載せられています。

—引用開始—
  この問題は、その後、複数の雑誌で取り上げられました。
『サンデー毎日』(平成28年11月13日号)によると、平成26年の夏、靖国神社に参拝した亀井氏が徳川宮司に「賊軍が祀られていないのはおかしい」と話しかけたところ、宮司は「私もそう思う」と答え、我が意を得た亀井氏は「あなたが決めたらできる」と促したといいます。
  また、亀井氏は、徳川宮司のこの発言を受け、「それで私は『宗教法人は政府なんか関係ないんだから、ちゃんとした御祭神をお祀りしたら良いと思いますよ』と言いました」(『経済界』平成26年9月9日号)とも語っているのです。
  つまり、亀井氏は「宗教法人なのだから、国とは関係がなく、宮司の判断だけで合祀できますよ」と、靖国神社の「宗教法人性」を強調して、徳川宮司の背中を押したということになります。
  平成29年は大政奉還から150年、翌30年は明治維新150年という節目の年にあたります。政府も明治維新100年を前例に記念事業の検討を始めるでしょうから、政治的な話題性も十分にあります。
たとえ「賊軍」合祀が実現しなくても、亀井氏には何のデメリットもありません。
実は亀井氏は、平成28年6月29日にも徳川宮司に面会を求めています。そして、「合祀基準から難しい」という宮司に対し、「私が国民運動を起こしますよ」と伝えたのだといいます。
—引用終了—

要するに、始めに徳川宮司と亀井氏の間で旧逆賊を合祀した方がいいとの意見の一致があり、実行を躊躇う宮司に対して、亀井氏が再三に渡って、「あなた一人の権限でできる」「国民運動で後押しする」と焚きつけたということです。
仮に、合祀に向けて両者の間に密約めいた合意があったとするならば、宮澤氏が指摘するように、内部から靖国が崩壊しかねない極めて由々しき事態です。
靖国は現在は一宗教法人の立場にありますが、元は国のために亡くなった戦没者をお祀りする公共の施設です。
一宮司や一政治家が靖国の理念をねじ曲げたり、御祭神の適否を勝手に判断したりしていいわけがありません。

私は、一点目の問題と同様に、これについても崇敬者側が声を上げるべきだと思います。
崇敬者の中には、仕事上の、あるいは個人的なしがらみがあり、神社側にものを申しにくい人もいるでしょうが、このままでは本書が警告する通り、靖国が靖国でなくなり、消滅する日がやって来ないとも限らないのです。

前回の続きです。


我々がバリに行った時期は、丁度ラマダン明けのホリデーシーズンで、ヒンドゥー教徒が住民の大半を占めると言われているバリでも、休業しているお店がちらほらありました。

宝石市場も同様で、ロジャンが当てにしていた様子のお店はシャッターが下りていました。

それでも、開いているお店はいくつかあり、石をちょっと見てもらう程度なら、そこでこと足りるようでした。

ロジャンは一坪工房兼ショップというような小さな店の前で足を止めると、インドネシア語で店員に声をかけました。

私の指輪を見せながら、ショーケースを指差したり、何か確認をしているようです。


数度のやりとりのあと、

わかりました、これはジルコニアです

と、ロジャンが言いました。

ガーン!!

ぬわんと、合成石ですらなかったのか・・・


一抹の希望が見事に打ち砕かれた瞬間です


女性店員が、ほら、これに赤い色をつけたやつだよ、と現地語で言いながら、私の前に、ダイヤモンドを模した巨大なキュービックジルコニアのルースを置きました。

ルースの状態では、どー見てもジルコニアです。

人工的な輝きでとても天然石には見えません。

これだったら見破れたのに・・・くっそー!


お礼を言って次の店に行くと、私の石にそっくりな鮮やかなピンキッシュカラーのジルコニアがセットされたピアスが売られていました。

私が「あ、これにそっくり!」とショーケースを指すと、女性店員が私の指輪を見て「same same(同じ同じ)」と頷いて来ました。


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やっぱり、商売でジルコニアを扱ってる人達は見慣れているからすぐわかるんだなぁ。


地元のラバーストーンだという赤い石も見せてもらいました。


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どことなく、インド産のスタールビーに似ています。

大半は透明度の低い色の濁った石でしたが、中にはキレイな石もありました。


市場を一周して、ロジャンに「大丈夫ですか?もういいですか?」と聞かれたので、「よくわかりました、いい勉強になりました」と答えると、

「それはよかったです、勉強が一番です、エクスピリエンス(体験)はお金では買えない」

「自分の目で見て考えるのが一番いいです、私がお店で色々言っても売るための話に聞こえてしまうかも知れない、でも、ここに来て色々見たら本当のことがわかる」と、私を市場に連れて来た真意を説明してくれました。


再び車に乗り込むと、ロジャンは「この近くに私の好きなベジタブルフードのお店があります、よかったら、お昼ご飯を一緒に食べませんか?」とランチに誘ってくれました。

それぞれ、チャンプルーと呼ばれる野菜のお惣菜の盛り合わせを頼み、食後、私が自分のお代を払おうとすると、「いいですいいです」と、なんと、ロジャンがおごってくれると言うじゃありませんか。

ビックリ!!

まさか、バリでスリランカ人にご飯をごちそうしてもらえるとは・・・


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これが“チャンプルー”。ミックスという意味ですが、沖縄でも使う言葉なんですよね。


他にも、ロジャンはこの“遠征”にかかった高速料金や駐車代などの費用を黙って負担してくれていました。

出発前に私は夫から1万円分くらいの現金をもらっていましたが、結局、1ルピーも使わずにホテルに帰り着いたのでした。


『プレマダサス』に戻ると、ロジャンは、ショーケースからルビーの指輪を取り出し、私の前に置きました。

「これ見て下さい、これは本物のルビー」

「本物はインクルージョンがある、本物の方がキレイじゃない」

いや、あの石にもインクルージョンがあるように見えたんだよ、結局汚れだったけど、と弁解しながら、私が「本物は見れば納得するよねー、偽物は、ん?ん?と何か引っかかるものがあったりするけど」と言うと、ロジャンは「そうです!そうです!本物は見ればすぐにわかります、偽物はうーんと考えてしまう、そのことを私達は石が話しかけて来ると言います」と、面白い表現を口にしました。


そうかー、昨日は石が話しかけて来なかったから、私は違和感を感じたんだな。

やっぱり石を見る時も直感が大事なのねえっ

そう言えば、最初にここに来た時も、ロジャンは「石が笑う」って言ってたっけ・・・


石がキラキラ輝いている様子をスリランカでは、石が笑っていると表現するらしいです。

確かに、人間も笑っていると輝いて見えますよね。


ロジャンにまた来ると伝え、部屋に戻ると、夫が待っていました。

ことの顛末を話すと、夫は憤慨した様子で、「よくわかった、ちょっとホテルに話をしてくるわ」と言います。

うん、そもそもはホテルに頼んだ車、についてきたガイドが連れて行った店の品物(ややこしいっすな)だからね。

夫はしっかり話を着けると息巻いていましたが、私にムダに期待を持たせないためか、返金については「無理だと思うけど」と、否定的な見解を示しました。

日本だったら、品物に瑕疵がある場合、すんなり返品返金になることが多いわけですが、こちらではどういう理由があろうと一度渡したお金を取り返すのはほとんど不可能とのこと。

とは言うものの、私には妙な自信と言いますか、お金が無事に返って来る予感めいたものがありました。


その後、一階のラウンジでアフタヌーンティーを取りながら、あるいはサンセットビーチでカクテルを飲みながら、夫は度々離席し、ホテル側と協議していました。


で、夜になり、出た結論は、


全 額 返 金!


明朝、ガイドがホテルのロビーに来るので、その時に指輪を渡し、チュルクまでお金を取りに行ってもらい、ガイドがホテルに戻って来たらお金を受け渡す、という話で片が付いたのです。


夫よエラい!よくぞ話をまとめてくれた!

と、私はそれはもう大喜び

夫はまさに鼻高々といった様子

結婚して数年経つと、日常生活の中で何かしてもらっても当たり前と思うことが多くて、こういうことでもないと、夫の能力の高さを感じられなかったりするんですよね。

いや〜、半年ぶりくらいに夫を見直しました。


それに加えて、実感したのが、ホテルの交渉力の高さ!

大ホテルのインターコンチだからなのか何なのかはわかりませんが、現地の慣習に勝る交渉力は率直に言ってスゴいです。


何とも言えない、いい気分でカクテルをガブガブ飲み、すっかり酔っ払って夫と二人でロジャンのお店に返金報告に行ったそうなんですが、ぜんっぜん記憶にないんですよねあせる

夫からビーチで転んだことも翌朝聞かされましたが、え?知らんがなという感じ。


明くる日、この日はバリ滞在最終日でした。

朝イチで夫はガイドに会い、無事、指輪とお金を引き換えて部屋に戻って来ました。

前日の話とは異なり、既にガイドが店の人を伴って来ていたそうで、全額速やかに返金されたということでした。

いやーめでたし音譜


私は密かに、お金が戻って来たらロジャンのお店でルビーを買おうと決めていました。

前に見せてもらったものの中に、偽石リングとぴったり同額の3万3千円のルビーの指輪があったのです。

それは、スリランカ産の無処理非加熱の小さなスクエアカットルビーがずらりと並んだデザインで、シルバー台でカジュアルな作りながらも、石は透明度の高いとてもキレイなものが使われているリングでした。

ロジャン曰く、メレは大粒の石をカットした際に出る欠けらから作っているので、石質は高いそうな。


ホテルをチェックアウトする前に、私はロジャンのお店に顔を出しました。

「ロジャン、私のカルマは軽かったみたい!お金戻って来たよ!」と報告すると、ロジャンは大いに喜んでくれました。

「昨日の夜聞いて私もスゴくうれしかった、本当によかったです」

ああ、そう言えば、昨夜も来たみたいだね、私は全く覚えてないけど。

「私達がいい人だったから神さまが手助けしてくれたんだと思います」

だよね〜だよね〜。

結果的にタダで勉強できてラッキー

もう枠にセットされていても、ジルコニアは区別がつくはず!


スクエアカットルビーリングに加えて、もう一つ気になっていたレッドオレンジサファイア(こちらも無処理非加熱)リングを出してもらい、ルーペで拡大してみたりペンライトをあっちこっちから照らしてみたりして吟味した結果、両方ともgetすることにしましたにひひ

“日本人特別価格”でお安くしてくれたしねーチョキ


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最後にお店の前で三人でパチリ


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神さまが手助けしてくれたって言ってたけれど、具体的に私が必要とする形でサポートしてくれたのはロジャンその人でした。

もう私達は友達なんだから、日本に来る時は必ず連絡してよ!


復路は深夜フライトでした。

23時過ぎにデンパサール空港を発ち、日付けをまたいで翌朝成田に着くという、バリ→成田便ではスタンダードなスケジュールのようです。

成田空港に到着すると、いつもの空港がいつもとは違って見えました。

動く歩道の足元注意のアナウンスや、手をかざせばお湯に石けんの出るお手洗いや、数十メートルおきに設置されている案内図など、日本では当たり前のサービスがやけに新鮮に胸に染み入るように感じられたのです。

さらに眩しく私の目に映ったのは、空港職員の姿でした。

どの人も丁寧に一生懸命働いていました。

その瞬間、日本は素晴らしい!やっぱり日本が一番だとの思いがふつふつと湧き上がって来ました。

でも、これも、我が夫に対する意識と同じように、慣れると当たり前に思えて価値がわからなくなってしまうんですよね。

今回の旅では、「当たり前は決して当たり前ではない」ということが個人的テーマだったような気がします。

帰国して今日で16日、まだ「当たり前」にあぐらはかいていないかな・・・

自分を取り巻く人やものに感謝できなくなって、アラばかり目につくようになったら、また海外旅行するといいかも、なんて思っています

前回の続きです。


市場には、ロジャンが出してくれた商用車らしきワンボックスカーで向かいました。


車中で、彼は自分と日本との関わりについて話をし始めました。

2008年まで数年間日本にいたこと、当時群馬県の太田にあった三洋電気工場で働き、班長を務めていたこと、多い時で月に50万円ものお給料をもらっていたこと、日本に自分のことを“息子”と呼ぶ恩人夫妻がいること、また別の恩人がいて、彼のことを忘れないようにと一人息子に彼の名前から音を取って名付けたことなど。

「だから、私はSANYOが大好き」「日本にいる間色々なことを勉強しました、本当は留学で来たかったけど、できなかったから、働きながら日本のシステムのこと、人間のこと色々勉強しました」

「それで、真面目にまっすぐ仕事して、お客さまに喜んでもらって自分もハッピーになる日本のシステムを知りました」と、輝くような笑顔で話すのです。

確かに例外はあれど、日本の商業倫理は、信用第一で、相互互恵を目指し、誠実さや勤勉さが重んじられるもんなぁ。


「私はこっちのマージンのシステムが大嫌い、真面目に働かないで、観光客を騙してお金をもらっています、このシステムはバリだけじゃない、スリランカにもある、でも私は好きじゃない」

「こっちでは誰も責任を取らない、平気で嘘を吐く、できるできると言って本当はできない、それが当たり前、日本とは違う」

だから、石が偽物だったとしても、店側は返金には応じないだろうと、ロジャンは言いました。

「こっちの人は一度お金をもらったら離さない、私も何度もイヤな目に遭ってる、弁護士にお金を払っても警察に行ってもお金は戻って来なかった」

そうか、ロジャンも似たような経験をしていたのか・・・


また、殊勝なことに、偽石について「騙されたら全部を信じられなくなって、みんな宝石を買わなくなってしまう」と、宝飾業界全体の問題だと言いました。

うーむ、視野が広くてエラいなぁ。

そして、「私は日本で日本人にすっごくすっごーくお世話になった、色んなことを助けてもらいました、だから日本人が騙されていたら怒る感じになる」と、私に親切にする最大の理由を説明してくれたのです。


つまり、私はロジャンを助けた幾多の日本人の代わりに、日本人の一員として、恩返ししてもらっているのでした。

かつて日本人が彼に与えた無償の愛が、回り回って私のところへ来ている、と思ったら、たまらなく感動しました。

何とありがたいことかキラキラ

恐らく、ロジャンの恩人達は身元引受け人だったのでしょう、私は見知らぬ彼らのことが神々しく思えました。

そして、ロジャンが最初に言った「日本を愛してる、日本人は親戚のようなもの」という言葉がリップサービスではなく本心だったことを知りました。


極めつけは、日本を離れる時、去りがたくて涙が出た、との台詞です。

ああ〜やめて〜涙腺が〜崩壊する〜〜


日本の社会は来日した一人の外国人を大変な親日家にして帰したわけです。

私は日本の人、インフラ、システム、制度、価値観等の財産の素晴らしさを改めて噛み締めました。

同時に、それらをすんなり受け入れて恩義に感じてくれたロジャンに対しても、うれしさでいっぱいになりました。


私が涙ながらにお礼を言うと、ロジャンは笑って「ぜんっぜん、私は日本人にはやってもやっても(お返ししても)まだ足りないです、私が日本でサポートしてもらったことに比べれば」と、謙遜します。

ロジャンと話していると、まるで日本人を相手にしているような感覚に陥ります。

ロジャンは仏教徒でした。

「カルマわかりますか?騙す人、悪いことする人には悪いことが返って来ます、いい人にはいいことが返って来ます」

知ってる知ってる!

日本人にも馴染み深い“因果応報”とか“自業自得”とかって考え方。

生まれ変わるとカルマが返って来るって言うよねー、と私が応じると、「生まれ変わる前でもカルマは返ります、自分じゃなくて自分の大事な人がヒドい目に遭ったりします、私達がまっすぐ正直に生きていれば神さまが見ていていいことがあるでしょう」

日本人なら、誰もが子どもの頃に一度は聞いた道徳説話です。

以前、日本に伝わった仏教は大乗仏教で、本場の教えとは違うと聞いたことがありましたが、少なくとも、スリランカの仏教とあまり思想は変わらないようでした。


続いての話はバリの裏事情について。

「バリには二重価格があるって日本で聞いたけど」と私が訊ねると、

「二重どころじゃない、観光客、長期滞在の外国人、現地人と三重価格になっている」と、こちらの多重価格システムについて教えてくれました。

「日本は日本人も外国人もみーんな一律同じ値段でしょ、でもこっちは相手を見て値段を変える」

店に入ってシールを貼られたら“カモ”の印で、ぼったくりの対象になるそうなパンチ!

「ガイドが連れて行くところはみんなガイドと提携している、通りすがりにあそこへ行きたいと言って寄るのは多分大丈夫、ガイドがその場でタバコ代をくれと店に交渉する可能性はあるけど」と、まぁ、聞けば聞くほど根が深いと思わされる内容でした。


ロジャンもマージンシステムを厳しく批判しつつも、このシステムは今後変わると思うかとの私の問いに対しては、「多分変わらない、何故ならば、変えたい人よりも変えたくない人の方が多いから」と悲観的なようでした。

そうだよなぁ、色んな意味で難しいよなぁ。

でも、楽だから、効率的に買い物できるから、あるいは現地人じゃないから、という理由で、マージンシステムを知りつつガイドの言いなりになって買い物をしていたら、我々もぼったくりの片棒を担いでいることになるよね汗

仮に自分達はよくても、あとから来る日本人が同じように甘く見られて被害に遭うことも考えられるし。


「だから、買って買って早く買ってというところでは買ってはいけない、彼らはその場売れさえすればいい、アフターケアはしない、次の日にはお店がないかも知れない、信用できない」

はい、おっしゃる通りでございますしょぼん

「今回のリングがシンセティックだったとしても、勉強になったら値段以上の価値があります、勉強はお金では買えない、それに、私達もこれのおかげで友達になった」

確かに、体験はプライスレスというわけですな。

「買った時はキレイだと思った、その時うれしかったなら、それでいいじゃないですか、人が何を言おうと関係ない」

要は後悔するなと。


と、こんな具合に、お説教(?)を交えながら、石が偽物であることを前提として、私は車中ずいぶん慰められたわけです。


そうこうしている内に、車が市場に着きました。

市場は全体が塀で囲まれていて、外から中が見えないようになっています。

ロジャンは「外国人が来ない現地のマーケットです、ローカルだから外国人にはちょっと汚い(と感じる)、すみませんが我慢して下さい」と言い、小さな店がひしめくマーケット内を案内してくれました。


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〈続く〉

前回の続きです。


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バリ島滞在5日目。

この日は前日の疲れもあるし、終日ホテルでのんびりしようということで、二人とも何も予定を入れていませんでした。


私は例のチュルクで買ったリングをはめて、お昼前にホテル一階のロジャンの宝飾店に行きました。

お店に入ると、まだロジャンは来ていないようです。

既に顔なじみになっていた女性店員が、「日本人が来ている」と、彼を電話で呼び出してくれました。

15分ほどで来るとのことだったので、私は店内の宝石やジュエリーを見て彼の到着を待つことにしました。


しばらくすると、「ごめんなさい、お待たせしました」と、ロジャンが息を切らしてやって来ました。

急いで来てくれたのに、こっちはお店のものを買う目的じゃなく、他所で買った石を見てもらおうとしているだなんて悪いよなぁと、一瞬罪悪感を覚えましたが、そうは言っても今は他に方法がなく、彼に真贋を見てもらうしかない状況です。


私はロジャンに、「このリング昨日買ったんだけど、キレイ過ぎて怪しいと思って」と話を切り出しました。

「ルビーって言われたんだけど、色はピンクサファイアじゃない?なんか、シンセティック(合成)みたいに見えるんだけど」と言うと、

彼も「そうですね、この色はピンクサファイア、ルビーじゃない、それにシンセティックみたいにキレイ」と言います。


続いて彼は、「これ、どこで買いましたか?」「いくらでしたか?」と矢継ぎ早に質問し、私の答えを聞くなり、「うーん、その値段でコランダムはあり得ない」と首を横に振りました。

そして、私が外した指輪を傾けたりひっくり返したり様々な角度から観察しながら、

「この石が本物のコランダムだとしたら多分2.5カラットくらいある、2.5カラットのルビーはスリランカでは安くても石だけで10万円」

「それに、この指輪枠はゴールド、22金って書いてある」

「10万円の石とゴールドの枠、作ったクラフトマンに払うお金、全部合わせたら3万3千円よりずっと高い」と言いました。

そうだよね、計算上はそうなる。


さらに、ジュエリークロスで手早く石をこすり自分のほっぺたに当てて、「多分シンセティック」とあっさり告げました。

「シンセティックはこするとウォーム(温かく)になる、でも、本物の石は冷たいまま」

「これはあったかい、だから多分シンセティック」と言って、私の頬にも石をぺたりとつけて来ました。

ほんとだ・・・あったかい・・・ドクロ


ぬおおお!なんてこったい!

もっと早くこの見分け方を聞いておけばよかった〜!ショック!

後悔先に立たずとはまさにこのことです。

それでも、この時点で私はまだ半信半疑というか、ロジャンの見立ては間違いであって欲しいと思っていました。


ロジャンは真面目な顔で、「これ、お店の人は何て言ってましたか?本物のルビーって言っていましたか?」と訊ねて来ます。

そして、私のそうだとの返答を聞くと、「お店は何の店ですか?何という名前ですか?」とさらに質問を重ねて来ました。

お店は銀細工の店でこんな名前だと、私は指輪についていた店名入りのタグを見せました。

ロジャンはバリ人の女性店員に英語で店の場所を訊いています。

「わかりました、チュルクをちょっと入ったところにあるシルバーとゴールドの店、彼女は近くに住んでいるので知っています」

私は店にはガイドに連れて行かれたことや買い物の経緯などをかいつまんで話しました。

彼はガイドという単語に反応し、「ガイド?ガイドに連れて行かれましたか?」「Oh・・・ガイドは連れて行ったお店で観光客が何か買うとお店からお金をもらう、大体25%から30%、このリングからも25%、30%取ってる」と言って、電卓を叩き出しました。


「このリング33,000円ね」

彼は自分のスマホを取り出し、「ちょっと待って下さい、今日のゴールドレートを見ます」と言って金相場を調べ始めました。

「今日のシンガポールドルで22金(実際には22金より少し金含有量は低いとのこと)、このリングの金はミニマム(最小)で2.5グラム・・・」「日本円で枠だけで10,700円くらい」と電卓で数字を示して来ました。

「石はこれくらいのシンセティックは大体2千円、全部で大体13,000円の価値」

計算に職人の手間賃が含まれていないとはいえ、指輪の原価1万3千円か・・・


「ガイド、ガイドは25%で8,250円、30%で9,900円、これだけもらってる」

「お店の取り分は残り10,000円ちょっと」

素早く電卓を叩き、売り値の内訳まで弾き出してくれました。


しかし、ガイドに30%だってー⁈

昨日ガイドと運転手には、お代として夫が1万円以上支払っているはず。

正規料金の上に我々が買い物した方々で高額マージンを取ってるとは、実にけしからん話じゃないかプンプン

私もマージン商法について知ってはいましたが、まさか彼らがそれほど高額のキックバックを得ているとは思いもしませんでした。


「だから、やっぱりこれは本物のコランダムじゃない」と、ロジャンはダメ押しのように言いました。

私がよほどがっかりした顔をしていたのか、彼は「でも」と続け、

「もしかしたら、これはこっちのラバーストーンかも知れない、大体はインクルージョンが多くてカボションになっているけど、こっちでもルビーのような赤い石が採れます」「ラバーストーンのことは私もよくわからない、だから、この石がそうかわからない」と、合成石以外の可能性があることを教えてくれました。

ロジャンはちょっと変わった宝石商で、彼の好きなルビーやサファイア、スピネル、クリソベリル、アレキサンドライト以外の宝石にはあまり興味がないらしく、スリランカ産の石でも「よくわからない」と言います。


そして、「日本にはいつ帰りますか?このあと時間ありますか?」と、私の予定を訊いた上で、

「もし時間があるなら、こっちのマーケットに石を売ってるところがある、ラバーストーンもあるし、シンセティックもある、マーケットに行けばこの石が何かハッキリわかると思います、一緒に行きますか?」と、地元の宝石市場に行くことを提案してくれました。

私は一も二もなく彼の提案に飛びつきました。


夫に事情を話すと、夫は渋い顔で「合成だってわかったならわざわざ行く必要ないんじゃないの?」と言います。

「いや、ロジャンはまだわからないって言ってる、今の内にハッキリさせた方がいいじゃん」「ダーリンはホテルにいていいよ、私が一人で行ってくるから」と、私はロジャンについて一人でマーケットに行くことにしました。


〈続く〉

前回の記事の続きです。


夫は特に宝石に関して詳しいわけではありません。

私が無類の石好きで、しょっちゅうサファイアがどうとか翡翠がああとか言っているので、一般の男性よりかは知識はあると思いますが、本人は宝石にもジュエリーにも大して興味がなく、私の話を聞いていても、へー、ふーん、そうなんだーくらいの感じです。

が、私が判断に困った時は、値段は妥当かとかクオリティは確かかとか、一つ一つ確認してアドバイスしてくれるので助かるのです。


夫に、「ねぇ、これルビーだって言ってるんだけど、どう思う?」と、石の特徴やら値段やらを話して意見を聞くと、「う〜ん、そうだねぇ」と夫の方も考えあぐねて、明確な答えが出ないようでした。


宝石は枠に留められていないルースの状態だと、色や形、インクルージョンの有無などが見えるので、人工か天然か、クオリティは高いか低いか等を判断しやすいのですが、セットされている状態だとよくわからないことが多いです。

まして、こちらはバリに石を買いに来たわけではなく、吟味するための道具も心構えもない状態です。


まるで蛍光しているかのように鮮やかなピンク色に輝く石を様々な角度から見ている内に、私は黒い点状のインクルージョンとおぼしきものを見つけました。

表も裏も色んな人にベタベタ触られて相当汚れていましたが、裏側の金枠のきわにある黒点は汚れではなく内包物のようでした。

石にインクルージョンがあるなら、一安心です。

石の種類はともかくとして、少なくとも、人工石ではないと思われるからです。


とはいえ、やっぱりキレイ過ぎるんだよねー。

天然石ってもっと結晶らしい詰まったような質感があって、何というか、スカッとした透明感は感じにくいし、インクルージョンもずっと多いし。

いや、でも、スリランカ産のコランダムは割りとスカッとしているし・・・

トップクオリティはかなり透明度が高いだろうし・・・

などと、相変わらずぐるぐる考え、踏ん切りがつきませんでした。


私はこれまでの経験上、高価な品は迷ったらすぐには買わない方がいいということを知っていたので、「ちょっと考えます」と言って店を出ようとしました。

すると、向こうはこの機を逃してなるものかと、「いくらなら買いますか?」と電卓を渡して価格交渉に持ち込もうとします。

うーん、困ったなぁ・・・汗


私は丁度、日本で3キャラ程度のちょっと大きめの非加熱ルビーを探していました。

積極的に探すというよりは、気長に出会いを待つという感じで、お店やミネラルショー等色々なところを見て回っていたわけですが。


この石はルビーより色が浅いとはいえ、鮮やかなピンクで3キャラ前後はありそうな感じ。


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偶然だけど、ひょっとしたら出会いなのかも・・・

でも、ソーティング(簡易鑑別)がついているわけでもない、比重や屈折率を計って吟味したわけでもない、加えて外国での買い物はリスクが高い・・・

どうしようか・・・


私はえいやとばかりに、夫に、「値段次第ではこれ買おうかなと思うんだけど」と言いました。

仮にルビーやサファイアといったコランダムでなかったとしても、インクルージョンがある以上は天然石のはずですから、ルベライト(トルマリンの一種)かガーネットか、いずれにしても納得できる価格に交渉すればいいかと考えたのでした。


店員に二人で本物のルビーだよねと再三念押しした上で、価格交渉し、日本円で払うという条件で、33,000円の数字を引き出しました。

バリではほとんどの店で、カード決済の場合3%から5%の手数料を要求されます。

なので、カードより現金払いがお得で、かつ日本円は歓迎され、レートもいい場合があったりします。

この店でもそうでした。


リングをいざ手にしてみれば、石はキレイだし、台は22金だし、あれこれ悩んだけど買ってよかったな〜音譜と満足して車に乗り込み、当初の目的地であるバリ動物園へ向かいました。


バリ動物園には、日本ではなかなか見ない珍しい動物がいて、展示の仕方も南国の自然に近い様子で、興味深かったです目


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お目当てのエレファントライドも、むつむつは恐かったのか暑かったのか前抱きが苦しかったのかポギャポギャ泣いていましたが、個人的にはとても楽しかったですにひひ

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その後、ウブドの棚田やルワック(ジャコウネコ)コーヒー園に寄り、

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予定より遅れて19時過ぎにホテルに到着し、部屋に戻るなり、私はリングの汚れを落とすことにしました。

洗面台にお湯を張り、歯ブラシにシャンプーをつけ石を丁寧にこすってみると、


ややや!

汚れが落ちたのはもちろんのこと、私がインクルージョンだと思っていた黒点もキレイさっぱり消えているではないですか!

もしかして、

あれも汚れだったわけ?叫び


石はさらにピカピカと光り輝いています。

なんか、透明過ぎて合成石みたいなんですけど・・・

うーむ、

イヤな予感がする・・・ガーン

ネットでコランダムやトルマリンの見え方について色々調べてみましたが、目の前の石が何かを教えてくれるわけではありません。


どうするか?

日本に帰って鑑別を取るか?

いや、でも、そこで合成とわかっても手遅れな気がする・・・


じゃあ、下の宝石屋で見てもらったらどうだろう?


インターコンチネンタルホテルの一階にはいくつかのショップが入っており、その中の一つに宝飾店がありました。

お店の名前は『プレマダサス』と言い、コロンボに本店を構えるスリランカの大手宝飾店という話でした。

創業は1956年、現在は二代目が後を継ぎ、ホテルやリゾート開発などの多角経営に乗り出しているそうです。


私はこの日の前日に宝飾店を見つけ、あたかも蛾が街灯に引き寄せられるようにお店の中に吸い込まれ、サファイアやムーンストーンなどのルースを見せてもらっていたんですが、まぁ、ここまでは石好きあるあるですな。

店内で女性店員に出してもらった青やらピンクやらのサファイアを熱心に眺めていると、一人の東南アジア系男性が流暢な日本語で話しかけて来ました。

男性はロジャンというスリランカ人で、女性店員に対する態度や口ぶりからしてお店のチーフか何かのようでした。

彼は以前日本に住んでいたそうで、奥さんも日系人だと言います。


「私は日本を愛してます」

「日本人は親戚のようなもの、日本人だったら(値段を)まけます」

という台詞は海外ではセールストークとしてそれなりにあるので、ああそうですか、と聞き流したものの、ロジャンには観光地の商売人としては珍しく“早く買ってオーラ”が出ておらず、石の良し悪しについて丁寧にレクチャーしてくれたり、私が出直すと言った時に気持ちよく送り出してくれたりしたことで、私は好印象を持っていました。


昨日知り合ったばっかりで図々しいかも知れないけど、ロジャンだったら石を見てくれるんじゃないか?

見れば、プロだから、本物のコランダムか合成石かどうかわかるに違いない。

と、翌日、私は階下の宝石店に指輪を持って行くことにしました。


〈続く〉

一足早い夏休みということで、家族でバリ島に行って来ました。

5泊7日の旅程で、むつむつ(一歳五ヶ月)には初めての海外旅行です。

ホテルはカクテルタイム以外子ども利用可のクラブラウンジに惹かれて、インターコンチネンタルホテルにしました。

憧れのインターコンチ〜ラブラブ

ラウンジで優雅に食事をとったり、お茶したり、カクテルタイムにはお酒飲み放題にひひ

あー楽しみ楽しみと、出発前から夫と二人でホテルステイに期待をふくらませていました。


実際、ホテルにチェックインしてみると、スタッフは物腰柔らかだし、頼んだことはすぐやってくれるし、ビーチに面しているロケーションは最高だし、お酒も料理もおいしいしで、文句なしの優雅な時間が流れて行きました。


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私は滞在二日目、三日目と連続でスパに行き、さらにリラックス&リフレッシュ音譜

いつもむつむつを抱っこしている関係で慢性化している肩凝りもだいぶほぐれて、バリに来てよかったなぁなんて思っていました。


で、問題は四日目です。

この日はエレファントライド(象乗り)にウブドへ行く予定になっており、ホテルに車の手配をお願いしていました。

朝、我々が所定の時間にロビーに行くと、やや不自由な日本語を話す男性が「今日のガイドです、よろしくお願いします」と声をかけてきました。

あれ?ガイドなんか頼んでないのに、と、夫と話すも、まぁ、勝手に来ているんだからいいかと、特に異議を申し立てずにその日の打ち合わせ。

現地人らしいガイドと運転手の二人に案内されてエレファントライドに行くことになりました。

すると、ガイドは「ウブドに行く途中に色んな芸術村があるから寄ってからバリZOOに行きましょう」とか言い出すわけです。


ははあ、これは我々を土産物屋に連れて行って何かしら買わせてマージンを取る、外国ではよくある商売だなと勘づいたんですが、別に品物が気に入らなかったら買わなければいいんだし、効率よく現地の工芸品が見られるなら却って好都合かも、などと大して問題視していませんでした。

私個人は、アタバックで有名な『アシタバ』の工房に寄れさえすればいいやーという感じで。


最初は“バティックの村”という触れ込みで、バティック工房兼ショップに連れて行かれました。

ろうけつ染めについての簡単な説明を受けたあとで店に通されると、我々に張り付いていた店員が「タクサン買ッテ安クシマス」とかカタコトの日本語でしつこく言うわけなんです。

人のことが金にしか見えていないんだろうなと半ばうんざりしつつ、それでも手織りストールが安かったので二枚お買い上げ〜¥

ついでに、バティックをパッチワークしたクッションカバーも値切って四枚お買い上げ〜¥

夫と、マージン商法だと思うけど、相場よりどれくらい高いんだろうか?いくらくらいが許容範囲かな?などとひそひそ話しながら、アシタバに行き、ここは私の希望で寄ったところなので、二人で気分よく買い物をしました。


次に連れて行かれたのが、チュルクという地区にあるシルバー工房。

ここでも最初に銀細工の実演を見学後、店の方で営業を受けるという二段構えでした。

見学や説明といっても、先方は当然ながらそこに力点は置いておらず、サッと流れるように口上を述べてはい終了です。

いきなり店に連れて行くよりも、こちらの警戒心を和らげるには有効なんでしょうねむっ


店でシルバー製のガムランボールを見せられたりしつつ、一人でふらふらショーケースを覗いていると、ゴールドコーナーが目に止まりました。

金製品は概ね22金らしく、指輪には何やら光のない小汚さげな石がはめられています。

「この石は何?ガーネット?」「こっちはルビーですか?」などと石の種類を聞きながら順々に見て行くと、一つだけキラキラ輝く色鮮やかな石がセットされているリングがありました。


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「へぇ、これキレイですね、石は何ですか?」と店員に訊ねると、「ルビーです」と答えるではありませんか。

いやいや、この色はルビーじゃなくてピンクサファイアでしょと言うと、他に店員を何人か呼んで来てみんなで「ノーノー、これはルビー」と。


そもそも、ルビーとサファイアはコランダムという同じ種類に属する兄弟石です。

赤ければルビー、ピンクだったらピンクサファイア、青だったらブルーサファイアと呼ばれる程度の違いに過ぎません。(まぁ、それでも色によって元素構成やその割合は異なるので、違うと言えば違いますが)

なので、ルビーだサファイアだと言い合っていても、結局は同種の石を指していることになるのです。

もし、この石が本当にルビーかピンクサファイアだとしたら、直径9mm前後で恐らく3カラットは下らない大きさで、抜群にテリがよくインクルージョン(傷や内包物)も少ない・・・

そんないい石がどうして一つだけここにあるんだろう?

普通だったら100万円以上すると思うけど、一体いくらなんだろう?

そもそも本物の天然石なんだろうか?

と、色々な疑問が頭の中をぐるぐると巡り、「これ本物?リアリー?」と訊くと、彼らは「そうだ」と答えます。

値段は六百数十万ルピー。(日本円で約6万円)

さらにここからいくらか値引きすると言う。

ふーむ・・・

これは私一人では判断がつかない・・・

キレイだけどキレイ過ぎて何となく怪しい・・・

ということで、ひとまず夫を呼んで意見を聞いてみることにしました。


〈続く〉

取り次ぎ業者さんにサファイアの原石を送ってから一ヶ月半ほどして、研磨完了の連絡が入りました。

私も詳しくは訊かなかったんですが、どうやら、この業者さん、タイかどこかの国の研磨工場に石を送って加工してもらっているみたいなんですよね。

おかげで、加工費用は数千円という破格値でした


私のオーダーは、「オーバルファセットカットかクッションカットのいずれかで、最大サイズ、場面(表面積)大を希望」というもの。

オーバルは長円形のことで、クッションはその名の通りクッションのような角の落ちた四角形のカットです。

「いずれか」というのは、実際に研磨する職人に石の形状やインクルージョンの入り方などを見てもらった上で、どちらのカットが適しているか判断してもらおうということでした。


話によると、サファイアには光学軸があって、軸はあくまでテーブル面に対して垂直になるようにカットしなければ、キレイな色が出ないそうなんです。

私の原石は八面体がちょっと崩れたような形で、素人目にはどの角もクラウン側(上部)になりそうに見えました。

クラウン側が定まれば、自ずとカットも決まって来るはずなので、せっかくのキレイな石を無駄なく最大限活かすには、こちらで形を指定しない方がいいだろうと思ったわけなのです。


とは言え、上手くカットできたか、カットはどちらになったのか、最終的にキャラ数はいくつなのか、待っている間は気になって気になってたまりませんでした


オーバルだったら、こんなスリーストーンリングがいいな指輪

クッションカットなら、モチーフ物にしようかなラブラブ

と、ジュエリーデザインを考え尽くしたところで、それはそれはキレイに研磨された裸石が届きました!!


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私好みの正方形に近いクッションカット!

テリテリキラキラでとても美しいです!

色も原石の時より濃くなっています。

写真ではイマイチ再現されていませんが、コーンフラワーブルーに白を少し混ぜて彩度を落とした感じの鮮やかなお色です


優れたカッターはテーブルとキューレットの位置の調整で、色の濃い部分が正面に広がって見えるようにするそうです。

ということは、この石のカッターがそれを踏まえてキチンと研磨してくれたということ合格

グッジョブです


ルースを観察していたら、どうしてカッターがこの石をクッションカットにしたのかわかった気がしました。

写真の左下の部分に茶色いモヤ〜っとしたものが広がっていますよね。


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モヤ〜を拡大するとこんな感じ。


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実はこの茶色い内包物(酸化鉄らしい)、膜状になっていて、石の中心部にまでかかっているんです。

正面からはモヤモヤした部分しか見えませんが、それは膜状内包物が切り子面のふちに重なるよう巧みにカットしてあるから

つまり、カッターはできるだけインクルージョンが目立たないように計算してこのカットにしてくれたというわけです。

直接依頼したわけじゃなくても、手を抜いたりせず、ベストを尽くしてくれたんだなぁとすっかりうれしくなりました音譜


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手にのせてみたの図。

結構存在感があります。


この成功にすっかり味を占めた私は、またどこかにいい原石が転がってないかなーと、もっぱら二匹目のどじょうを探しております

今度はルビーがいいかなぁ宝石赤

ネットで偶然、スリランカ産ブルーサファイアのキレイな原石を見つけたんです。

色は少し薄めでしたが、なかなか透明感もありそうで、その上非加熱、かつ10ctオーバーと大きい!

しかも安い!


へぇー非加熱サファイアの原石ってこんなに安いんだ? カット石は結構いいお値段するのに・・・

と思った次の瞬間、

そうだ!原石買ってカットしてもらえばいいんじゃないか?!

と閃いてしまったんですね〜ひらめき電球


で、原石研磨加工を取り次いでいる国内の業者さんにメールしまして、件の石(の画像)を見ていただきました。

研磨できそうだったら注文するつもりで、可能かどうかお訊ねしますと、「恐らく加工できると思います」とのお答え

オォォォ!

もしかしたら、スゴく大きなルースができるかも!宝石ブルー

7ct、8ctは無理だとしても、上手く行けば6ctとか?

などと楽しく妄想しつつ、早速石を購入して、研磨をお願いすることにしました。


実物の石を見てもいないのに加工の算段までつけるとか、我ながらチャレンジャーだなと思いますが、宝石を一から作るという壮大なロマンには到底抗えず


一応業者さんにも加工OKと言ってもらったし、と、リスクについて深く考えることもなかったんですが、石が届くまでの間ネットで原石の購入及び加工に関するあれこれを調べていると、高確率でネガティブな情報に行き当たるんですね〜汗


原石購入は高度なスキルを必要とするため、プロでも騙されることがある

とか

原石の投資詐欺がある

とか


素人が迂闊に手を出すとエライ目に遭いますよ、という内容がほとんどで、「私は原石を見たこともないド素人でしたが、試しに買ってみた石が大当たりでウハウハです」などの話は一切ヒットしませんでした


流石にちょっと恐くなったりもしましたが、この期に及んで心配しても仕方がないということで、ドキドキワクワクしながら、大人しく石の到着を待つことにしました。


そして、実際に届いたサファイアの原石がこちら!!


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販売サイトの写真よりずっとビューティホーで、それなりに大きさもあります音譜


サファイアは比重が大きい=重い石なので、カラット数の割りに表面積が小さく見えます。

サファイアとルビーの比重は4.0と主要な宝石の中で最も重く、1.25から2.23のオパールと比べると最大で3.2倍もの開きがあります。

仮に同カラット、同シェイプのサファイアとオパールがあるとすると、サファイアよりオパールの方がずっと大きく見えることになるわけです。


原石を見た感じ、カットの障害になるクラックやインクルージョンは少なそうです。

カットに当たって透明度は特に重要だと思われるので、念入りに観察しました。


もしやもしや、これは当たりというヤツ?

私、いい石を引き当てちゃった?


いや、まだ喜ぶのは早い

カットが成功してからじゃないとぬか喜びになるかも


等と一人でウハウハしたり、突っ込んだりしながら、取り次ぎの業者さん宛てに原石を送り出したのでした。


〈続く〉

ろうかん翡翠ってご存知ですか?
青竹を思わせるような鮮やかな緑色で、透明度が高く、インクルージョンや石目・色むらの少ない、翡翠の中でもトップクラスの品質のものを言います。
私はこのろうかんにすっごい憧れがありまして、いいないいな〜いつかご縁がないかなぁと長年思い続けておりました。

数ヶ月前にアサオ工芸のスプリングセールで、一目惚れしたろうかん翡翠のルースを夫に買ってもらったわけなんですが、

それを、ついに、指輪に仕立ててしまいましたービックリマーク

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やったー!やったー!クラッカー
今朝届いたばっかり〜!
やっほ〜!
踊り出したくなるくらいキレイです

緑×緑ということで、最近ハマっているエアープランツと一緒に撮ってみました
上の写真では少々暗く写っていますが、実際にはこんな感じの色味です。

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今日は指輪を見るお仕事をそれはそれは熱心にしましたよ目

正面からのショットがこちら音譜

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この翡翠は0.7ct(6mm×5mmくらい)なんですが、取り巻きダイヤのおかげで大きく見えます

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あんまりにも美しいので、もっと大きい翡翠が欲しくなってしまいました
ふっ、美しさは罪だねぇ
むつむつは誕生以来、母乳とミルクの混合栄養です。
出産直後から、私は結構母乳が出たので、助産師さんと産婦人科の先生に「この分なら完母でいける!」とお墨付きをもらっていたんですが、正直、24時間エンドレス授乳はキツいなぁ、深夜とか早朝は寝てたいし、ということで混合を選んだ経緯があります。

このところの母乳とミルクの比率は9:1か、8:2くらいでしょうか。
結局、深夜はミルクじゃなく、母乳をあげていますが、朝と晩の二回はミルクを80mlずつ飲ませることにしています、もとい、いました。
いました、と過去形なのは、昨日、今日の二日間で10mlしかミルクを飲んでいないからです

いや、ここ最近、何故かミルクの飲みが悪くなっていたんですよね〜。
100mlしか飲まない日とかがザラにあったりして。
でも、まさか、全然飲まなくなるとは思いもしませんでした。

お風呂上がりのよく飲むタイミングであげてもダメ
夜中に目を覚ました時にあげてもダメ
今まで食事の前後に飲ませていた白湯も控えているのに・・・
母乳はよく飲むのに、何でミルクは受け付けないんだよ〜!
おかげで、こっちは頻回授乳で干からびそうじゃないか〜!

どうやら、離乳食が進むと、ミルクを飲まなくなるのはあるあるらしいんですが、むつむつを太らせたい私としては、せめて三回食までは飲んでいて欲しいなと。
固形物を食べるようになって、ミルクの分の栄養が要らなくなったということなんですかねぇ。
ま、食欲旺盛で離乳食が順調なのは幸いですけど・・・

こうなったら、また気が変わって飲んでくれることを祈るしかなさそうです

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以前ご紹介した手作りパンの耳を落としてあげています。
ふわっふわで持ちにくいかも。
でも、喜んで食べています