(あらすじ)※映画.comより
北野武が構想に30年を費やして監督・脚本を手がけ、「本能寺の変」を題材に壮大なスケールで活写した戦国スペクタクル映画。武将や忍、芸人、農民らさまざまな人物の野望と策略が入り乱れる様を、バイオレンスと笑いを散りばめながら描き出す。
天下統一を目指す織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい攻防を繰り広げていた。そんな中、信長の家臣・荒木村重が謀反を起こして姿を消す。信長は明智光秀や羽柴秀吉ら家臣たちを集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索命令を下す。秀吉は弟・秀長や軍師・黒田官兵衛らとともに策を練り、元忍の芸人・曽呂利新左衛門に村重を探すよう指示。実は秀吉はこの騒動に乗じて信長と光秀を陥れ、自ら天下を獲ろうと狙っていた。
北野監督がビートたけし名義で羽柴秀吉役を自ら務め、明智光秀を西島秀俊、織田信長を加瀬亮、黒田官兵衛を浅野忠信、羽柴秀長を大森南朋、秀吉に憧れる農民・難波茂助を中村獅童が演じる。
◇◆
ちょっと内容に触れます。
ネタバレあり。
(どうでもいいけど、私の手がしわくちゃ&デカくてビビる笑)
北野武の「座頭市」が死ぬほど好きで、DVD買っちゃうくらい好きで、その武が時代モノを撮ったというのだから、ビートたけし好きとしても、時代劇好きとしても、これは見に行かねばなるまい、と鼻息荒く封切りを楽しみにしていたのだが、いざ始まるとすっかり忘れてた。
色々忙しかったんや〜。
とまあこんな感じですっかり忘れていたあもちゃんだったが、観に行きたいと私が言っていたことを覚えていた汗かき夫が急に
「明日、武の映画観に行く?」
と誘ってくれ、思い出させてくれてありがたや!と早速2人して行ってまいりました。
さて結論から言うと映画の感想としては、すんごくよかった!わけでもないが、武の死生観を見たような映画であった。
武士だけじゃなく茶人や御伽衆、忍や市井の人々。
色々な立場の人を描いており、彼らの命はまるで綿のように軽い。
簡単に人は死んでいく。
その死の中で武士は敵方の「首」に拘るが、武演じる秀吉は百姓あがりなので価値観が違う。
首実検なんぞさほど興味もないし、敵方が死んでいれば首なんかあってもなくてもどうでもいい。首というモノには拘らない。
「座頭市」ほどエンタメと時代劇が上手く配合できていたわけではなかったが、私は嫌いじゃなかった。ただ「壮大なスケール!」を勝手に想像していたので、思ったよりは普通だった。
(今の日本でこれだけの合戦シーンが撮れるのは壮大なのだと思うが、子供の頃の時代劇の合戦シーンはもっとすごかった気が〜遠い記憶・・)
ただ!!ただ!!聞いて聞いて〜・
・中国大返し
・能
この2つのシーンは圧巻。
今でも目を閉じるとその映像が甦る。
武が表現したかった世界感が素晴らしかったわ〜。
能をどう撮れば一番迫力が出るか、よくわかってらっしゃる。
音楽と映像の融合が素晴らしかった。
能の幽玄さを存分に表現できていた。すごかったわ〜。←帰り際、ずっと言ってた。
中国大返しも良かったなあ。
多分、あんな感じだったんだと思うわ〜。ひたすら走る、走る、走る!!
途中で水をぶっかけられたり、炊き出しが出たり、彼らについて回る春を売る商売の方々も走る走る笑
女性だからか弱い、とか言ってる場合じゃないよ、商売相手に逃げられちゃ困るからね!
上で命の軽さと言ったが、それと同時に短く生き抜く図太さも描かれていた。
あっさり死ぬけど、太く生きるで〜。
衆道とBLがゴッチャになっていたのが気になるが、だからといって私もその辺の作法を分かっているわけでもないから、あんな感じでいいのかなと思い直す。
分かりやすく伝えられればヨシ、くらいだったのだろうとおおらかな気持ちで見ました。
衆道関連だとエンケン(遠藤憲一)さん、がんばっとった・・。
役者とは言え、大変じゃのう。
荒木村重としては、うーん。。だったが、BLシーンやらお饅頭で血だらけとか大変><
加瀬亮(織田信長)の愛知弁がすごかった。
(パンフによると武の撮影現場はその場でセリフが変わることも多くて、せっかく覚えた愛知弁のセリフがパアになることもあるかと思うとゾッとしたそうです笑)
そして
皆殺しだがや〜!
からの荒木村重(遠藤憲一)に刀で饅頭食べさせるとこが超絶恐ろしかった。そして血だらけ。
そんな信長像が突き抜けて狂っててちょっと残念だった。
見方によっては(よらなくても)ただの頭のおかしい人でしかないという><
いや、こんなに狂ってたら天下統一目の前までいけないでしょ。。。いけちゃうの?
あそこまで狂ってないといけないのかしら?
多少狂っていたとは思うけどさ。
そうじゃないと乱世を生き抜けないし〜。
勝村政信演じる斎藤利三がよかったなあ。かっちゃん、いい役もらってた。
あとは小林薫の家康も!品もあってタヌキで。
あとあと岸辺一徳の茶聖(千利休)がとにかく良かったなあ。
でも一番よかったのは中村獅童かしらん。
いや、でも岸辺一徳も・・・いい役者さん多くて悩む〜。
武の映画なら何がなんでも出たい!って役者さんが多いんだろうねえ。
桐谷健太の服部半蔵は最後までかっこよくて、今まで桐谷健太をかっこいいと思ったことないんですが、この映画で彼のかっこよさを知った。
あの「浦ちゃん」のCMが悪いと思う。
弥助を副島淳が演じてて驚く。
朝はNHKの「あさイチ」を見ているもんで、子供を応援する気持ちで見守っていた。
封切り前でキム(木村祐一)の演技がムムム・・という世間の声を耳にしたが、いざ見てみると全然そんなことなくて、むしろ曽呂利新左衛門を好演しとりましたぞ。
しかも忍という裏の顔の時もいい演技してた。
会話シーンでも間が良くて、この人は演技の勘もいいんだなと感心。
別に男前でもないのに(余計なお世話)、大画面に顔面アップも絵になっていた。
武がこの人のアップを撮りたかった気持ちがちょっとわかる。
大竹まことが思いのほか、いや想像の1000倍上手でびっくり。立ち姿もステキでした。
そういや、あの人劇団出身だったな、と思い出した。
ただのスタジオで暴れる&キレるおじさんじゃなかったわ笑
荒川良々(清水宗治)はさすが劇団出身、安定の演技。
清水宗治の切腹前の船上での舞の所作が美しくて
へ〜動きがいちいち美しいな・・
と感心していたら、後でパンフをみると上記で大絶賛してた能の演者さんが所作やら振り付けやらを監修・指導をなさっていたとか。
なるほど納得。
そんな美しい舞で清水宗治がこの世との別れを惜しむ中、それを見守る秀吉一行は
「あれ?まだやってんの?」
「早く⚪︎ねよ!」
とまあ散々(笑)
武士道なんてクソくらえ、こちとら百姓出身じゃい、の秀吉らの出自が出てて笑ったわ〜。
で清水宗治がいよいよ腹を切る、って時に、秀吉らを見たら全然こっち見てないし!!笑
完全無視されている様子に
「あれ?」
って言った瞬間、介錯されちゃって首が水中にドボン!
うーん、あのマはさすが。
武士道を重んじるサムライと百姓秀吉の差よのう。←何度もこの描写が形を変えて出る。
それが最後のシーンにまでつながる。
そして劇団ひとりを贅沢使いしてた。
パンフを見ると、映画の撮影が始まってから、映画に出たいと行ってきたらしく残ってる役があれくらいしかなかったんだそうな。
映画の最後、オフィス北野じゃなくてT.N.ゴンだったことに色々思ったなあ。
けれど姿は確認はできなかったが、元たけし軍団のヤナギユウレイやらお宮の松も出てたみたいでなぜだかホッ!
(寺島進ももちろんいい役(忍の統領)で出てたよ!)
久々映画館で、久々武の映画を見られて良かった。
いつまでもビートたけしには元気でいてもらいたい。
いつまでも私の好きな人でいてほしい。
たけしは私のお父さんと言えるくらいの年齢だが、ずっと私の好きな人で、そしてなぜだかずっと自分の子供のような思いでたけしを見てきた。
こんな思いで、クララは自分の旦那(シューマン)を見ていたのかなあ。・・多分違う!
(クララはシューマンに「あなたは時々子供のよう」と言っていたそう)
どうでもいいメモ。
武の映画って男子率高いんよ〜
割と座席が埋まっていた館内に、女子は私含めて2〜3人くらいしかおらんかった。