(内容紹介)※Amazonより
優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜのイカした「元・底辺中学校」だった。
ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。
人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。
時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。
世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。
Yahoo!ニュース 本屋大賞2019ノンフィクション本大賞受賞!
第73回毎日出版文化賞特別賞受賞!
第2回八重洲本大賞受賞!
第7回ブクログ大賞 エッセイ・ノンフィクション部門受賞!
紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス! 2020」第1位!
We Love Books 中高生におすすめする司書のイチオシ本2019年版第1位!
第13回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)!
読者が選ぶビジネス書グランプリ2020リベラルアーツ部門 第1位!
埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2019 第1位!
大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。
世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至の等身大ノンフィクション。
連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。
はじめに
1 元底辺中学校への道
2 「glee/グリー」みたいな新学期
3 バッドでラップなクリスマス
4 スクール・ポリティクス
5 誰かの靴を履いてみること
6 プールサイドのあちら側とこちら側
7 ユニフォーム・ブギ
8 クールなのかジャパン
9 地雷だらけの多様性ワールド
10 母ちゃんの国にて
11 未来は君らの手の中
12 フォスター・チルドレンズ・ストーリー
13 いじめと皆勤賞のはざま
14 アイデンティティ熱のゆくえ
15 存在の耐えられない格差
16 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン
◇◆
前から話題になっていて気にはなっていたのだが、小説なんだか違うのかすらもよくわからずなかなか手にとることがなかったのだが、これ(新コロで長い在宅時間)を機に読んでみることにした。
結論から言うととても面白かった!です。
海外に行くことはあってもあくまでも旅行者であり、お客様であり、その国の生活に根付いて生活そのものを知ることってなかなかない。少なくとも私は全くない。
もちろん全てを知ることなんて、たとえば日本人の私が日本の生活の全てを知っているわけではないので無理なのだが、やはり旅行するのと長くその国で生活するのとでは知る深さや広さが違ってくる。
この本はイギリスで生活をしている日本人の母(著者)と、その母とイギリス人である父との間に生まれた息子が体験した貴重な経験の1つ1つをつむいだエッセイであり、そこからイギリスという社会が見えてきて、さらには自分の国についても考えることができる良書であると思う。
自分一人で見るとどうしても同じ角度からしか見ることができないが、こうした本と出会うことで違う角度から物事を見る、ということができる。
そしてなにより・・・読みやすい(笑)!
とかくこういう本って難しいことが多い(さらには政治思想の主張が強い)のだが、わかりやすい経験談をもとに何かを伝えたいということもなく(というより説教臭くなく)、だからイギリスはすばらしいとか、とか日本や他国と比較してイギリス礼賛、というようなことは一切ないし、なんならイギリスって大変そう・・とすら思ってしまうことも書かれてたり、でもじゃあイギリスは大変なことばかりか、と言ったらそうではなくてすばらしい面も多々書かれていた。
そこに書かれていることは日本では起きないだろう・・ってこともたくさんあるが、でも実はどの国の人でも自分のことのように感じながら読める、いや自分のことのように読むべき本なのではないかと思う。
作品の中で著者は自分でも言ってるし、配偶者のご主人からも言われているが、左寄りの思想の持ち主なんだそう。
で、私はまあどっちかっていったら右寄りなのだと思う。どっちかっていったら、だよ。
それでもぜ〜んぜん抵抗なく読めたし、政治主張の激しい人にありがちな強引さが全くなくて、とても面白くイギリスの抱える事情なりを読み込めたと思う。
政治思想はともかく、著者の描くイギリスの学校の制度やら授業の方針やらはおもしろかったし、日本とは違った授業の進め方などもあったり、だからといって比較してどうのこうの、ということは一切なくてそれが私が楽しめた要因なのかもしれない。
でも何が一番おもしろかったか、って息子さんの賢さと誠実さと優しさ。
多少脚色しているところがあるにしても、それでもそこに描かれている息子さんの姿はすごい。
ううーん、私が中学生の頃、こんなに深く考えて聡明だったかしら。
彼の育った環境や、一緒に考えてくれる著者である母親がいた、にしても息子さんの持って生まれた才能なんだろうなあ。
ただ私がちょっと心配したのは(イギリスを全く知らないところから勝手に心配しちゃうわけですが)、イギリスってものすごい身分社会だっていうじゃないですか。
それを著者は息子さんはとてもいい(=身分的に高い、著者夫婦らには身分不相応なレベルの身分のよい)小学校に通っていたのだが、中学校もそれと同様の学校に入る予定だったが、実際に色々な中学を見学してみて、元底辺中学(校長が教育に力をいれてレベルアップ中)の方が活気があって息子には向いてるかも〜(近いし)とそこに入学することになったところ。
ご主人からはものすごく反対されたのだが、結局息子さんもその元底辺中学でいいや、ということからそこに通い、それこそ多様性(民族だけじゃなく経済的にも)にあふれた学校で色々なトラブルが起きるも1つ1つ息子さんは一人で、時には母の力などを借りて解決していく。
でも単純に
うーん、いいお話しだ〜
とはならなかった。
いや、いい息子さんや。とは思ったし、日本以外の国や他国の性質を知るのにためになる本だった・・とは思った。
でも息子さんの将来が心配になっちゃったんだなあ。
さきほど言ったがイギリスって身分社会ってきくし、この後この息子さんは要らぬ苦労をするんじゃないのかな〜って。
日本はよくもわるくもそこまで表立って「身分」というものがなくて、経済的な格差はあるにしても、それでも貧困を直接的理由として仕事に就けない、ということはほとんどない。と思う。
イギリスって身分ではっきり区別されてるっていうし〜よくわかんないけど〜もし息子さんが希望する進路が今の中学のせいで断たれたりするってことはないのかな〜とか勝手な想像で心配してしまった。
・・ただそれも杞憂なのかもしれない。と思わせる強さが息子さんにはあったし、母である著者にもあった。
この作品が書かれた時はちょうどEU離脱の頃で、イギリスや世界の勢力地図が変わろうとしている中、この親子はどうやって強く生きていってくれるだろうか、と思う。
そして今、新型コロナが世界に拡大していく中、彼らは今どうしているだろうか。
やっぱり深く二人で話し合っては、考え、そして一所懸命答えを出そうとしているだろうか。
あ、そうそう。
どうでもいい話なんですが、9章の「地雷だらけの多様性ワールド」で私がモヤモヤしちゃったところ。
息子さんのクラスにアフリカ系の女子が転校してきた、と息子から話を聞いていて、その後保護者の集まり(バザーかなんか)でアフリカ系だと思われる女性がいたので、ああこの人が多分息子から聞いた子の親なんだろう、とは思ったが、人種についての会話というのはとても繊細でそのことには触れず、彼女の方から自己紹介してくれるのを待った著者だったが、一方のそのアフリカ系の女性は著者に対し、中国人が1人クラスにいるって言ってたけど、あんたんとこの息子なの?とかグイグイ踏み込んで来て、随分と踏み込んでくる人だなあ、ま、まだそういうことがわからないんだろうし悪気があるわけじゃないみたいだから、と著者も流してきいていた。
日本人が日本人に求める海外旅行者に対する「寛容」と同じですわな。
ところが、である。著者は別に意味もなく、普通の会話を彼女にした。
「夏休みはどこか行くの?」
と。
そしたら突然その女性は怒り出し、
「アフリカには帰らないよ!!!」
とぷんぷん怒り狂って、出て行った〜
という箇所。
しばしぽか〜んとしていた著者は、その後彼女が怒った理由に気付き(アフリカにはある程度の年齢に達した女児にとある手術を施す風習があり、ただその手術は人権侵害じゃないか、とイギリスでは禁止されているにも関わらず、夏休み中に里帰りして手術を受けさせる人が多数いるらしく、あんたも夏休み里帰りして娘に手術受けさせるんじゃないでしょうね?と非難されてる、と勘違いされてしまった。)、私は久々に地雷を踏んでしまった、と反省するのだ。
いやいやいやいや。
反省するのはいいとして、相手の女性も結構センシティブなことにグイグイ踏み込んできてましたけど!?それについては相手の女性も反省してもらいたいとこなんですけど!
とか勝手にもやもやしちゃった。
自分勝手に勝手に怒り狂ったもん勝ち、にしか読めなかった(笑)
でもいざ自分が著者と同じ立場になったら、他人には寛容で、自分には猛省しちゃうんだろうな〜。日本人のいいところでもあり、悪いところでもある。
もっと自分勝手に生きてみたいよ〜!
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