大家さんと僕 これから
1,188円
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大家さんと僕 これから [ 矢部 太郎 ]
1,188円
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(内容紹介)※Amazonより
日本中がほっこりしたベストセラー漫画、涙の続編いよいよ発売!
季節はめぐり、僕と大家さんとの楽しい日々に少しの翳りが見えてきた。
僕の生活にも大きな変化があり、別れが近づくなか、大家さんの想いを確かに受け取る僕。
感動の物語、堂々完結。
◇◆
第22回手塚治虫文化賞短編賞受賞作品である『大家さんと僕』の続編である。
↑書評?はこちら。
大家さんと僕
1,080円
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大家さんと僕 [ 矢部 太郎 ]
1,080円
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こちらが手塚治虫賞受賞作品。
『大家さんと僕』を読んだ私は、確かに心温まる感じだし、自虐的ネタも笑えるし、小堺さんの話はステキだなあ、と思うし、手塚治虫賞を獲っただけあってステキなコミックではあると思うんだけど、今一歩何かぐっとくる何かが欲しいなあ、と思っていたのも事実であった。
そのときの書評にも
「口で話すとイマイチだけど、文書にするととても上手な人はこの世に一定数いて、このカラテカ矢部はそのタイプなんだと思う。芸人としては致命的だが(笑)、芸人漫画家or芸人小説家とかなら向いているのではないかしらん。
ものすごく誰かに勧めたいとまでは思えなかったが、読んでみて損はない作品であった。」
と我ながら厳しめのことを書きました。
がーーーーー!!!
その続編である今作品は、その「今一歩ぐっとくる何か」を携えて、すばらしい作品となって帰ってまいりました。完結編にふさわしい仕上がりと内容になっている。
わたしゃ感動したねえ。
何が感動って矢部の成長ぶりに、である。
漫画の内容はもちろんだが、矢部の漫画家(?)としての能力が確実に上達しているのだ。
物語を作る才能も、構成力も、そして画力と構図とコマの進め方・・・何もかもがすばらしい。
飛ぶタクシーに乗っていたり、街を歩く女性がタヌキになったり、病院にいるはずの大家さんが受賞式の舞台に望む矢部の隣に立っていたり、とリアル世界と空想世界が大家さんのお話しの世界観を背景に自然に行き来するのだ。
そんでもってシャガールの「誕生日」風の大家さんと元旦那さんのであったり、天上から大家さんと矢部を見つめる構図であったり、と確実に腕があがっているのを目と心で感じることができる。
それにしても何がこんなに私の心を「ぐっ」と掴んだのかしら・・と思っていたのだが、110頁にその答えの一部を見つけた。
前作を読み、
「続きはいつでるの?」
と聞いてきた先輩に、
「続きは描かないです、これ以上のものは描けないし、大家さんもお年だし・・」
と、続きはないと返事する矢部に
「そうか・・でもこれからは大家さんのために描いたら?
そんなこと(=お笑い)してないで」 ←ウケル笑
と先輩が返していた。
大家さんのために。
この気持ちがこもった作品であるからこそ、私の心を「ぐっ」と掴んだのかもしれない。
そのせいだろうか、前作より気持ち「大家さん」テイストが多めだった気がする。
そして大家さんの戦前や戦後の昔話があちこちに散りばめられていて、それはけして反戦でもなければ、政治的でもなく、本当に庶民の感覚から語られている戦前がそこにはあった。
そういうの、すごくステキだなあって思う。
前作でも皇太子様が生まれたお話しとかステキだった。
戦争中の話しもけしてドラマティックに語られるでもなく、淡々とまるで料理のレシピを語るかのように話す大家さんの物語には血が通っていた。血を通わせているのは矢部、その人である。
腕をあげたなあ。
それにしても今でいう「国会図書館(※漫画では「上野の図書館」とあり、多分戦前の「帝国図書館」のことだと思われる。)」が女人禁制とは知らなかったよ。
当たり前に勉強して、当たり前に大学に行って、当たり前に男性の隣で仕事して、当たり前にボスの悪口を全方位に言いまくる(笑)・・それが当たり前なのは今だからなのだ。
そういう封建的な話しってどういう角度からでも書けるじゃないですか。
女性の地位向上のうんたらかんたら、とか、そういう時代だったとか、なんだかんだ。
そんなものを一切排除し、全て大家さんのお話、というシンプルな形におさめているからこそ、私たちはそれを歴史の一頁として深く読んで行けるのだと思う。
なんてそんな話しはさておき、私の大好きな「のちゃーん」がこの続編にも登場していて、私はうれしかったです。よくぞのちゃーんを登場させてくれました。矢部さん、サンクスエックス!
そして早速、汗かき夫にポーズをとってやりました。サックスエックス!!
汗「・・・・」←驚いておりました。当たり前か。ちょまんす。←のちゃーん語。
そしてニュースでご存知の方も多いかとは思いますが、大家さんは亡くなられています。
葬儀や葬儀後の様子も少しだけ触れていて、その触れ方もまたやさしくて、私の心にひそやかに温かな花が咲いた。
スキー帽が吹雪で飛んで行くその描写は(160〜161頁)、まさに「余白」の愛であった。
余白の愛 (中公文庫)
637円
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これもまた、名作である。
前作の書評で私はとんでもないオリジナルなことを書いた。
「おばあちゃんと孫ほどの年齢差の男女(と言ってよいものか)にエロティックとかそんなもの全くないだろうし、実際この作品にもそんな描写は一切ない。
だからこんな感想を抱く人間なんて私くらいなものだと思うので、全く参考にならないものと思って欲しい。
この二人の期間限定(大家さんが大往生するいつか ※作品内ではとても元気です!)であろう交流にちょっとした切なさを感じさせる箇所があり、そこには永遠という時間はない代わりに永遠という契りがあることを感じさせられる。
大家さんと矢部の関係は時間では計れない永遠の契りの重さが描かれているように思える。
その永遠の契りが私の目にはエロティックに映ったのだと思う。
おそらく矢部はそのことに薄々気付いているんじゃないかと思う。実感としては理解していないのかもしれないが微妙な関係性と距離感がうまく描かれている。
母子でもなければ祖母と孫でもない、不思議な関係性とその距離感。
それがうまいことイヤらしさをリアルに感じさせないギリギリを攻めているんだよね〜
あくまでも私オリジナルの感想ですけども!・・」
とんでもない、ことではあるが、やっぱり私は前作でそういう感想をもたざるを得なかった。
それが今作ではそのギリギリエロスを攻めている感じが全く感じられなかった。
「大家さんと僕」との関係に読者である私が慣れたというのもあるだろうが、やはり上記で書いたように、自分のためじゃなく大家さんのために漫画を、というものが矢部の心の片隅に常にあったからではないだろうか。
そういうのを私が敏感に感じ取ったから、前作では今一歩、そして今作は大絶賛、になったのかもしれない。・・・ん〜、やっぱり単なる慣れですかね(笑)?
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