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スイート・ホーム
1,620円
Amazon |
(あらすじ)※Amazonより
幸せのレシピ。
隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。
うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、
愛に満ちた家族の物語。
香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」)
料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、
香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、
稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。
どんなに疲れて帰ってきても、仕事でうまくいかないことがあっても、ここまで来れば、もう大丈夫。駅からバスに乗って、ふたつ目のバス停で下りて、色づき始めた街路樹を眺めながら、甘い香りのする場所へと向かう。そこでは、おいしいスイーツと、なごやかなパティシエ一家が、
私の到着を待っていてくれる。(本文より)
さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。
◇◆
不思議な短編集だなあ、と思いながら読んでいたのだが、奥付を見て納得。
阪急不動産株式会社ホームページ「阪急宝塚山手台(急阪急宝塚山手台 くらしさいと)」
とあり、どうやら阪急不動産×原田マハ WEB公開小説ということであった。
舞台は宝塚。
あたたかな街に暮らす、あたたかな人たち、そしてあたたかな暮らし。
そりゃ阪急不動産の宝塚の建て売り?住宅の広告の小説に、悪人が出てくるわけがないわな。そんなもん書いたら家が売れ残るわい。
そういう裏事情を差っ引いて読んでみても、なかなかよく出来た短編集で、あたたかな物語を束ねて作った小さなブーケのような短編集であった。
一番よかったのはやはり表題となっている「スイートホーム」であったと思う。
華やかで積極的な性格の妹に比べ、地味で要領が悪く真面目な姉の陽皆(ひな)。
そんな彼女が1人の男性に深く恋する様子はすごくよかったなあ。
片思いに胸をじゅくじゅくさせたり、勝手に落ち込んだり、勝手に盛り上がったり。
そして決定的な失恋。・・と思わせて・・・。
地味な姉に華やかな妹。まるでマンガのような姉と妹であったが、実際の姉と妹はどうですかね、姉である私よ!!
地味ではなかったような。華やかでもなかったけど。
しかし色恋沙汰に限って言えば華やか(ある意味)だったのは私だった気がする。
だいたい片思いにひたすら胸をじゅくじゅく、とか私の性にあわん笑。
目の前にいる好きな男性と、ああでもないこうでもない、という状態が気持ち悪い!!
ちなみにこの作品が終わって、次から次に繰り広げられる宝塚の街の人たちの物語に陽皆(ひな)さんがちょいちょい出てくるのだが、どこが地味で不器用な女性やねん、ってツッコミたくなるくらい、どうやら清楚美人のようなのです。しかも結構モテモテ。
話が違ってやしませんかね。
まあ、自分が気づいてないだけで実は魅力満載の女性ってことなのでありましょう。
広告小説ということもあって、そんなバカな!的な都合のいい話や、いい人ばかり出てくるというところにムムムと思わないわけではないが、そんなことより原田マハという小説家の器用さ、多才さに私はひたすら舌を巻く。
絵画ミステリーからこういうスイートな短編集までと幅が広く、しかも全てが平均値以上で駄作がない、というから驚きである。売れっ子なのもうなずける。
宝塚が舞台のあたたかい家庭小説を・・というオーダーだったとして、果してこれレベルの小説を書ける人が今、日本にどれくらいいるだろうか。
それほど原田さんは希少な小説家だと思う。早いとこ直木賞を獲っていただきたいものである。
最後にこの作品、ケーキや料理がたくさん登場するのだが全ておいしそう!作品からはおいしそう〜な匂いが漂ってくるのだ。
そしてどのお宅もピカピカに磨き上げられている感じがして、私も掃除や料理をがんばらねば・・という気に一瞬だけなる笑
まあ、一瞬だけなんですけどもね・・・・
