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ネタバレの核心には触れてませんが、それにまつわる事象には多少触れている部分があります。これから読む予定の方は読後お会いしましょう〜。

 

(あらすじ)※アマゾンより

深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。趣味と呼べるようなことはそう多くはなく、敢えていうのであればコーヒーを飲むこと。そんな深瀬が、今、唯一落ち着ける場所がある。それは〈クローバー・コーヒー〉というコーヒー豆専門店だ。豆を売っている横で、実際にコーヒーを飲むことも出来る。深瀬は毎日のようにここに来ている。ある日、深瀬がいつも座る席に、見知らぬ女性が座っていた。彼女は、近所のパン屋で働く越智美穂子という女性だった。その後もしばしばここで会い、やがて二人は付き合うことになる。そろそろ関係を深めようと思っていた矢先、二人の関係に大きな亀裂が入ってしまう。美穂子に『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのために――。
深瀬はついに、自分の心に閉じ込めていた、ある出来事を美穂子に話し始める。全てを聞いた美穂子は、深瀬のもとを去ってしまう。そして同様の告発文が、ある出来事を共有していた大学時代のゼミ仲間にも送りつけられていたことが発覚する。”あの件”を誰かが蒸し返そうとしているのか。真相を探るべく、深瀬は動き出す。

 

◇◆

 

コアなあもるファンならご存知、あもちゃんと相性の悪い湊かなえ作品の登場です。

直木賞候補になった時くらいしか手にとらない彼女の作品をなにゆえ読むことになったのか、それにはふか〜い事情があるのです。

それは夏の終わり、1つのメッセージが届いたことから始まった。

 

リアル友&ブログ友sarya「湊かなえの『リバース』って持ってる?(略)文庫を買ってみたのだ。」

 

sarya「うっかり買ったのを忘れてて、2冊も買ってしまった」←あるある笑

sarya「あもちゃんも湊かなえ好きじゃないよね?もし持ってなくて、なおかつ読みたいということがあれば貰って。いらなければブックオフにでも売るわ〜」

 

あらあら、私が湊かなえが好きじゃないということを認識しているだなんて、saryaさんも、日本全国に数人いるとかいないとかいう(どっちだ)コアなあもるファンなのかしら?

 

そんなsaryaさんの申し出に、貧乏根性全開の私は当然

「湊かなえは好きではないが、くれるものは何でも読むぜ〜!!」

とsaryaさんのブックオフでの小遣い稼ぎ(10円くらい?)を阻止したのであった。

 

そして誕生日プレゼントを貰った際、→参考記事『パンデミック・ミッドタウン。

紙袋に1冊の文庫本が入っているのを発見。

私「あれ?saryaの本が入ってるよ。返すね。はい。」

sarya「違うって。ほら、前言ってた湊かなえの本だよ。」

私「ああ!そんなことすっかり忘れてたよ笑」

sarya「私も忘れててさ。ふと思いだした時に、すぐ袋に入れておいたんだ〜。」

私「ありがと〜!待機中(通称:積読(つんどく))の本を読んだら読むね〜。」

 

そんなわけで私の手に回ってきたこの作品、いつもどおり期待することなく(笑)読んでみたのである。

 

読み始めて前半部分は、か〜な〜り、私をワクワクさせてくれた。

過去これほど湊かなえの作品を前のめりで読んだことがあっただろうか、いや、ない。

一見全然関係なさそうな珈琲の詳細な説明が、あちらこちらに関係してくる。

というか、あまりに説明が詳細で、しかも美味しそうに描写するもんだから、本筋に関係あってもなくてもいいから、珈琲中毒あもちゃん、珈琲をとりあえず1杯飲みたくなってくる。

 

前半は言うことなし。過去最大の賛辞を与えたいほどであった。

そう、前半までは・・・

 

「人殺しだ!」という告発文が送られてきて、犯人探しを始めるところからなんだかグダグダしてきた・・

とにかく出てくる人出てくる人、みんな魅力がない・・・

過去の話の主人公含めての男子たち(大学生)はみな、自分勝手で強引で過剰に自信があって若者らしくキラキラしてたのに〜。

現在の主人公が死んだ友達の実家を訪ねて過去を探ってくるあたりから、雲行きがあやしくなってきた(作品の内容ではなく、私のメンタル的に)。

 

とにかく主人公の自己評価が低過ぎる!!!!!!!!!

うっとうしいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!

小学生や中学生じゃなるまいし、大学生にもなって、いや大学生ならまだ許せる。

社会人になっても自己評価が異常に低いってどういうことやねーん。自分がリア充側じゃない、とかいちいち気にするかなあ。お前はヒマか!!

 

それだけならまだいい。

そもそも告発文が送られてきたからって、亡くなった友達の(しかも主人公は事件そのものにはさほど関わりないのに)四国の実家まで訪ねて色々探ったりするかなあ・・・

暇人ならともかく、もう社会人なんですよ。生活かかってますよ。有給とかばりばりとれそうな会社でもないのに。。。

動機や人物の動きがとにかく強引すぎて、どんどん作品から私の心が離れていったのがとても残念である。

珈琲屋「クローバーコーヒー」のご夫婦(特に奥さん)だけが私の心のオアシスであった。←事件に全然関係ない人ら。

 

主人公だけじゃなく、亡くなった友達についても一言文句が言いたい。

作中では、自己評価の低い世間でいう非リア充の主人公が、安心して心開ける器の大きそうな友達。どこから見ても好人物、という感じで描かれてましたが、私は全く好きになれんかった・・

良く言えば周りに気を遣いすぎる、悪く言えば自分の考えを主張しない事なかれ主義。

空気読むってそりゃとても大事なことだと思うのだが、命に関わる持病については空気悪くなろうが言おうよ!!

主人公のできたてホヤホヤの彼女も好きになれんかったし、なんならチャラい頭軽そうな友達らの方がよっぽど好感持てた。

 

そしてリバースという名のとおり、結末がリバース!!!

・・・っていうほどリバースでもなく・・

そんなに驚かなかった(笑)

しかもイヤミス(後味最悪のミステリ)の女王として名高い湊かなえにしては、大して後味悪くもないし、あ〜ようやく終わったわ〜やれやれ。という感想が出てきてしまった。

 

うっかり意図せず死んじゃうことって現実問題としてないことはない話だと思う。

そして意図せず誰かを傷つけたり、誰かをうっかり殺しちゃってることもあるかもしれない。

だがこの作品に限って言えば、ちゃんと練って殺人に及んでいてほしかったし、もし本当にうっかり殺しちゃってたならば、死んだ友達に大いに原因がある。というか死んだ友達にしか原因がない。

だからって、俺は悪くないし〜、とはならないだろうけど、なんというか心がザワザワモヤモヤするほどの結末じゃなかったな・・。

 

ただ1つ褒めるべき点があるとすれば、ドラマ化しやすい内容だと思った。ジェットコースター的に物語は展開していくし、インパクトあるテーマだし。たくさんの人物が出てくるから多くの俳優がケンカせず出演できる(笑)!!

映像化を目的としてこれを書いたのだとしたら、それは素晴らしい才能。

 

ちなみにそのドラマでは、自己評価が異常に低い主人公を藤原竜也が演じているようである・・

いやいやいやいや、かっこよくて頭もよさそうなのに自己評価が異常に低いとか絶対ないって!

自己評価が低いという点だけでいうなら、オードリーの若林が適任!ちょっと卑屈っぽいところもピッタリ!

ただ役者じゃないというところだけが惜しいかな致命傷。