ブランデンブルク協奏曲全曲 ミュンヘン・バッハ管弦楽団 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

平成26年10月5日(日)、
『ブランデンブルク協奏曲全曲 ミュンヘン・バッハ管弦楽団』(横浜みなとみらいホール)
を聴きに行く。

大好きなバッハの数多くある作品の中でも、ブランデンブルグ協奏曲がかなり好き。
濁りのないどこまでも透みきった明るさと鮮やかさに惹かれたのだ。

そんなブランデンブルグ協奏曲を全曲(6曲)通して生で聴くなんて、
今を逃したらこの先いつになるかわからない!!
というわけで、遠路はるばる横浜みなとみらいまでやってきた。





・・・台風の中。

さすが横浜、海沿いなだけある。
めっちゃ強風。
めっちゃ豪雨。
大荒れですがな。

豪雨の中、雨に煽られながらやってきた。
1人で。
わーん、心細いよー。
出かける前のこと。

私「行きたくないよー。でもバッハの全曲は聞きたいよー。」
夫「(ニヤニヤ)行ってらっしゃーい。」
私「あ!みなとみらいまで一緒に来ない?」
夫「いやだよ!!1人で行ってこーい!!」

ピシャリ!
あ・・扉を閉じやがった・・・

私「ぐぬぬぬ・・・」

それもこれも1人分のチケットしか買わなかったことへの罰なのであろうか。
そんな罰(雨)を甘んじて受けながら、這々の体でようやく会場入りしたのであった。

温かい珈琲を飲んで体を温めていると突然鳴り響く銅鑼の音。

ドォォォーン 

みなとみらいホールでの演奏会は今回が初めてだったのだが、
開演5分前の合図が銅鑼の音だったことに驚いた。
鐘の音だったり、オルゴールだったり、チャイムだったりしたが、まさかの銅鑼。
驚いたねえ。
また着席してキョロキョロ会場内を見渡すと、
パイプオルガンやら天井やらにはカモメマークがあしらわれていた。
港町をイメージしたのであろう。
さすが、みなとのよーこ、よこはまよこすかーである。←?

キョロキョロおのぼりさん全開で眺めたところで、開演のお時間です。

◇◆



明るく鮮やかで、そしてなんと実験的な。

指揮/チェンバロ:ハンスイェルク・アルブレヒト
演奏:ミュンヘン・バッハ管弦楽団
曲目:バッハ:ブランデンブルク協奏曲全6曲
(以下、演奏順)
第1番 BWV1046、第3番 BWV1048、第4番 BWV1049
(休憩)
第6番 BWV1051、第5番 BWV1050、第2番 BWV1047

私が夢に見ていたバッハの世界がそこにはあった。
とても、とても、鮮やかであった。
そしてバッハの見ていた神の姿を、バッハの音楽を通して見えた気がした。

また今回、全曲通して改めて聞いてみて、
この曲って本当はバッハの実験作だったんだなあ。
と感じたのであった。

今までは、明るくて鮮やかでキラキラして・・、とそんな魅力ばかりに目がいっていたが、
一つ一つ楽譜のおたまじゃくしを拾い、
楽団員全員が丁寧に弾きこんで造り上げている曲を耳で拾っていると、
バッハの実験的手法が自然と見えてくる。
やっぱり嵐の中、ぶーぶー文句言いながらも来たかいがあった。

6曲をブランデンブルグ協奏曲としてまとめられているが、
実はどの曲も全然姿が違う。
強いて統一感があるところ、といえば、見せる景色が似ているということだけだ。

交響曲的に作られた第1番や、弦楽アンサンブル風の第3番、
トランペットがキラキラと切なく輝く第2番、
ヴィオラを使用した異色の響きの第6番、
そして独奏楽器の協奏曲的に作られた第4番、第5番。

第4番のリコーダーなんてステキすぎる。
神様へささやくコトリのさえずりそのもの。
コトリのさえずりの後ろで、上へ下へ自由に吹き回る風のようにヴァイオリンが駆け巡る。
なんて美しい姿。

そして第5番のフルートとチェンバロの掛け合いがこれまた美しい。
プログラムによると、
「事実上、音楽史上初のチェンバロ協奏曲に位置づけられる。
 また、フルートを独奏楽器として用いたのもこの曲が最初とされる。」
ということである。
チェンバロとフルートがそれぞれ語り出し、その様はまるで神様と対話をしているよう。

神様に献上する譜面ですからね、この曲の譜面もきっと美しいに違いない。
(バッハの譜面は、基本全て美しい。)

美しい曲は譜面も大変美しいのだ。
※ただしあもちゃん調べによる。

ちなみに話は変わりますが、数式もそう感じることがある。
わたくしー、これでもー、数学が多少得意(というか下手の横好き)だったんですよう。
今はさっぱりピーマンですが。
証明とか好きで、美しい形の数式で解けたときはたいてい正解だった。
受験勉強そっちのけで、数式眺めて、感じ入っている変な高校生でありました。
そら、ことごとく大学落ちるわ。

知らない人も多いだろうが、
音楽と数学は大変関連のある学問なのである。
今あるドレミファソラシドも数学として計算された平均値なのですぞ。
あとは長くなるので、テキトーに調べてくだせえ。。。←オホホ。逃げた。

どの曲も大変すばらしく、胸が熱くなった。

この「ミュンヘン・バッハ管弦楽団」はカール・リヒターによって創設され、
世界的な室内楽団としての地位を築き上げた、一流の楽団である。
(カール・リヒターとは、大変有名なオルガン・チェンバロ奏者)

カール・リヒター&ミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏は、
過去、たびたび聞いてきたが(ラジオとかで)、
今回のアルブレヒトさん指揮の演奏は、
巨匠カール・リヒター率いる楽団の演奏にも劣ることなく、大変美しく仕上がっていた。
しかもカールリヒターさんの演奏よりちょっぴり温かいの。
人肌の温かさ。
そんな温かさも大変心地よかった。

1曲終わるごとに、拍手に応えるべく360度のお客様にお辞儀をするなど、
誠実でかわいらしい姿もとても魅力的であった。

アンコールは
「主よ、人の望みの喜びよ」と「G線上のアリア」を演奏して終わった。

この「主よ、人の望みの喜びよ」は、とても有名な曲であるが、案外難しい。
オルガンで演奏するには統一感がとれるのだが、
管弦楽で演奏するとなると、それぞれの音色が違うし、バランスをとるのが大変難しい。
そんな難しい曲を、いとも簡単に弾きこなし、私たちの心を温めてくれた。
ほかほか~。

外は大雨、でも私の心は温かな木漏れ日、そんな一日であった。

全曲を挙げるのは数が多過ぎて大変なので、一曲をYouTubeから挙げた。
しかしどの曲も挙げたい・・・
第2番の1楽章もキラキラでいいんだよね~~~。
迷う~~~~
と悩みながら、1曲を・・・



指揮/チェンバロ カール・リヒター 
ミュンヘンバッハ管弦楽団
による、第4番第1楽章である。

神様に告げ口するコトリのさえずりをお楽しみください(笑)

ちなみに、

http://www.youtube.com/playlist?list=PL317DF466CB802D4B

ここで
指揮/チェンバロ カール・リヒター 
ミュンヘンバッハ管弦楽団
の全曲演奏が聞ける模様。