昨日のこと。

仕事帰りにスーパーに立ち寄り、買い物をし、レジの最後部に並んでいた私。
あと一人で私の番になるときのことだった。

レジの出口から、一人のおばあちゃんが逆流してきた。
出口と入口を間違えたのか、
それとも回り道をする手間を省いて、逆流して後方に並ぼうとしたのかは定かではない。

とにかくその逆流ばあちゃんは、最後部の私の後ろに回って並ぼうとするのだが、
そんなに混んではいなかったものの、他のレジの列と絡み合っててんやわんや。

おばあちゃんの手には蜜柑一袋。
私のカゴにはたくさんの商品。

私「私、急いでないし、お先にどうぞ~。」

と順番を譲った。

婆「あらあら、いいのよ。」
私「私、結構たくさんあるから、お先にいいですよ~。」
婆「本当に?悪いわねえ。ありがとう。一度は買い物を済ませたんだけどね。
  帰ろうと思ったら、入り口にあったお蜜柑が安いってことに気づいてね。
  追加で買いに戻ったのよー。」
私「あ、安かったですよね。私もお蜜柑、一袋買っちゃいました♪」

蜜柑一袋の会計を済ませたおばあちゃん。

「本当にありがとう。これ、あげるわ。」

と、突然蜜柑の網をやぶいたかと思うと、蜜柑を1つ私のカバンに放り込んだ。

夕刻のせわしなく雑踏するスーパーと、逆流する一人のおばあちゃんと、
そうして私のどデカバックの中に乱落する鮮やかな蜜柑の色と。。。
全ては私の瞳の中に、瞬く暇もなく通り過ぎた。
が、私の心の上には、ホカホカ熱を帯びるほどはっきりと、この光景が焼き付けられた。

$感傷的で、あまりに偏狭的な。

おばあちゃんの蜜柑。と私の買った蜜柑一袋(奥)。

おばあちゃんがくれた1つの蜜柑。
夫と2人、半分こでいただいた。
いろいろとおいしかった。


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→芥川龍之介『蜜柑

曇天に舞う鮮やかな蜜柑。
ザ・名文。