永遠/小手鞠 るい

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「愛」する思いを言葉で描くと、なんと陳腐に映るのだろうか。

(あらすじ)※帯より
これは愛か、復讐か。
20年間、あなたを想ってきた。
20年間、あなたを憎んで来た。
覚えていますか?
あの日のことを。
わたしのことを。
たとえあなたが忘れても、わたしは忘れない。

非常勤講師として短大に勤める由樹は、衆議院議員の柏井惇と逢瀬を重ねていた。
しかし、あの男の出現によって、
由樹の奥底に眠っていた過去の記憶を揺り起こすことになる。
20年前に犯された男との思いがけない再会。
彼女の心は言葉にできない複雑な感情で絡み合う。
鮮烈な筆致で極限の愛憎を描いた、恋愛サスペンス長篇。


恋愛小説って苦手・・・。
なのに手にしてしまったのは、帯のうまさ、にあるだろう。

これは愛か、復讐か。

と問われたら、私が判断してあげようじゃないかと思ったのである。

答え。
愛でもなければ、復讐でもありません。
以上。

そんなにどっちか言いたいなら、愛って言ってくれてもいいんだけどさ。
私は認めないけど。

帯もショッキングすぎる。

「20年前に犯された男との思いがけない再会。」

いやいやいやいや。
犯されたって大げさな!
あんた、ほぼ合意してたじゃん。
あれで告訴でもされたら、男は怒るでしかし。


全体を通して、かる~い恋愛ドラマを観た気分。
あまりの軽さに、会社の休憩時間(1時間)で読み終えた。。。
あもちゃん手作り弁当をほおばりながら・・・。←こういう扱いで十分。

ただ、話としてはそんなにつまらない、というわけでもない。
ちょっと複雑に仕上げてみました、という熱意も感じる。
恋愛ミステリーだなんて大げさだけど、とりあえず最後まで読めたし。

でもねえ。
そこに「愛」がないのだ。

私は「愛」が好きだ。
母娘、でも、父息子でも、姉妹でも、兄弟でも、そして男女でも。
そこに怒濤の愛が描かれていれば、どんなものでも惹き付けられる。
圧倒的な愛。

そして恋愛も愛だ。
なのに、私は恋愛小説を毛嫌いする。
どうしてだろう。

桜庭一樹の「私の男」に描かれる愛が好きだった。
淳吾とはなの異常な愛。親子の愛。
どんな形であっても、あれは愛だ。
でも恋愛小説ではない。

何が違うのか。

この「永遠」という恋愛小説を読んでその違いが分かったのだ。

「永遠」から一部引用する。

「確かに、私にも、あった。会いたくて、会いたくて、たまらなくて、それなのに会えなくて、苦しくて、この願いがかなわないのならば、いっそ別れた方がましだ、と思ったことが。そして、実際に別れてしまった、そんな過去が、そんな時代が。」(70頁)

主人公由樹が、過去の恋愛を思い出すシーンである。

このすっとこどっこいの私も、そんな恋愛経験をした。
このすっとこどっこいの私も、「私の男」のような愛を経験をした。

どちらも経験しているのに、一方の「永遠」が全く響かないのだ。
なぜか。
主人公の気持ちを、そして主人公の気持ちに寄り添おうとする読者の気持ちを、
まるで誰かにメールをするように、きれいにまとめすぎているのだ。
この気持ちは、自分で綴りたいのに、それを代わりに簡素に代弁している。

考えてみれば、『私の男』で、はなが淳吾に対する思いや気持ちを
このような言葉で口にしたことはない(と思う)。
行動の描写や、淳吾に対する台詞から、読者は自分を重ね、記憶を重ね、愛を想う。

だから恋愛小説って嫌いなんだろうなあ、私。

しかも、登場人物のいずれも魅力的じゃない。
主人公の由樹が私と真逆の性格で、しかもあったま悪いんだ。ついでに性格も悪い。
暗いしさ~。
なのにプライドだけは高くてさ~。
あれのどこが男を惹き付けるのか教えていただきたい、といらいらした。
あ、清純派きどって、セックス大好き☆ってとこがいいのかしら。

ま、それならそれでもいいのだが、そんな彼女が突然、心からの清純派!に大変身。
なんでやねん。
今までの自分に「復讐」すべく、私、変わるんだ、ということのようであったが、
なんというか、イマイチ納得いかず。
作者は、清々しい感じでラストを仕上げていたが、
私はこの居心地の悪さをどうしてくれよう、と思いながら本を閉じた。

作品の最後に参考文献(政治世界の本とか)が載っていたが、
別にそれ、読まなくても描けたんじゃ?と笑ってしまった。
だって、そんなに政治の世界について描かれてないんだもん。

これに懲りて、
もう二度と恋愛小説とやらに足を踏み入れない気がする私なのであった。