平成22年4月8日(木)、
新感線☆RX
『薔薇とサムライ(五右衛門Rock Over Drive)』(in赤坂ACTシアター)を観る。


ロック最高!
ロック幸せ!

(あらすじ)※パンフレットに手を加えた。
それはとびっきりおもしれえ女だった。
左の眼を覆う黒い眼帯。
弱きを助け、強きをくじく男以上の男前。
疾風のようにエメラルド色の地中海を駆け抜ける女海賊、
その名は「アンヌ・ザ・トルネード」(天海祐希)。
だが隠された左の眼には驚くべき秘密があった。
瞳に浮かぶ光、それは亡き国王と同じ黄金色の光の輪。
てこたァあの女海賊の正体は!?

そしてその瞳に、次々と人間どもが群がった。
国王亡き後権力をほしいままにする大宰相「ラーカム(藤木孝)」と
その娘「マローネ(高田聖子)」。
黄金色の瞳の輝きに王家復活の希望を託す将軍「ガファス(栗根まこと)」と
妻「エリザベッタ(森奈みはる)」。
そして新女王の美しさに魅入られた隣国の王子「シャルル(浦井健治)」。
・・・・果たして誰が味方で誰が敵か。
さらには金と欲の風見鶏、大海賊「バルバ・ネグロ(橋本じゅん)」と
オレ様の首をつけ狙う、妙な日本人「デスペラード豹之進(山本太郎)」。
次々と変転する野心と悪意。
・・・・果たして何が本当で何が嘘か。

おもしれえ。
絡みに絡んだカラクリをこの俺が全部ひっぱがしてやるよ!
城の中、羽ばたく心を奪われたお姫様「ボニー(神田沙也加)」よ。
よく見てな。
俺の名は、七つの海を股にかける大泥棒、「石川五右衛門(古田新太)」。
地中海の海賊ども、みんな俺についてこい!
空に真白い帆を揚げろ!
さァ、退屈な中世に、俺が自由の風穴を開けてやる!!

頼るは己の腕と意地。
サムライ野郎の血が騒ぐ。
石川五右衛門、再び参上!!

◇◆

生きててよかった、と思わせる、
いのうえ歌舞伎のスケールのでかさ!

『蜉蝣峠』(参考記事:2009.3.30『蜉蝣峠』)のときも思ったのだが、
いのうえ氏は、赤坂ACTシアターの空間のでかさをよく理解し、
フルに利用し、それを120%の完成度で観客に魅せる。
その技と天才っぷりに毎度感服させられる私。

音楽の陣営をバックの金網の裏に隠し見せるあたりが
ブルーマンっぽく、そこがまたイイ!
観客に聞いてもらい、見てもらうための音楽劇(=歌舞伎)、ここに見参!
という演出が十二分に効果を発揮している。

そして今回は、
その演出の完璧な完成度の上をいく、
出演者たちのすごさと音楽(ロック)のすばらさしさに圧倒された。

・古田新太
相変わらずのかっこよさ。
彼の演技は安心する。安心して笑え、泣ける。
ああいうちょっと悪人めいたヒーローという役がよく似合う。
やくざめいた着物の着付けがこれまたよく似合う。
(相変わらず声質に慣れるまでに時間がかかったが・・・。私の耳が悪い!)

・天海祐希
さすが宝塚出身。ダンスも歌もすばらしい。
よく通る声だ。
しかも見せ方を知っているので、立っているだけで絵になる。
それにしてもでかい・・・。

・橋本じゅん
すてきすぎ。
間の取り方といい、おもしろさといい、動きといい、さいこー!
大西洋一(イチ)性格の悪い海賊、から、変態女装海賊への変化が
男の生き方にまで影響し、変化していく、という
よくできた脚本によく対応して演技していて、
ちょっとじーんとした。←感動するところが人と違う私。

・山本太郎
かっこよかった。
動きもシャープで、演技もすばらしい。
石川五右衛門を狙う悪人、でもあるが、愛しい悪人。
シャルル王子を救い、最後は五右衛門、アンヌまでもを救ってしまう、
本当は愛しい善人。

「たけしの元気が出るテレビ」では、
メロリンキューで、「千代の富士ダッキュー!」とかやってたのにねえ・・・
(ま、このギャグでは最高に笑わせてもらったけど。)

・浦井健治
なにげにシャープすぎるダンスがおもしろかった。
あと、歌も笑える。
そして実は、演技がめちゃうまい、と感じる。
人を安心させる間の取り方をする。
この人のこと知らなかったけど(チョー無知なもんで)、
この作品における彼の起用は大成功であった、と思う。

・高田聖子
この人が、今回一番すごかった、と思う。
実は。
完璧な悪人。
この裏の裏の裏をかくストーリー、
誰が味方で誰が敵か。
という謀略の中心人物であったマローネ役を見事にこなしていた。
彼女でなければ、このマローネのすごさは伝わらなかったのではないか?

後の登場人物は略します~。

あ。
もう二人紹介。

・ヴォス役の「教祖イコマノリユキ」さん
・カンテ役の「冠徹弥」さん

このお二方がすばらしい声を発揮していた。
ロックってすごい!
ロック最高!
ロックゾクゾク!

この二人の歌唱力がなければ、
あの派手な歌舞伎は完璧なものにはならなかったであろう。
野太い声でありながらも、基本に完璧な発声。
やはり基礎って大事なのね・・・。


さて肝心の脚本。
これぞまさに歌舞伎!という仕上がり。
こうでなくちゃ、という単純さ。
爽快で、幸福で、明るく楽しく、ちょっぴりほろっ。
愉快、痛快、勧善懲悪どんとこい!

どんでん返し、の、どんでん返し、という一見複雑ストーリーなのだが
全体が勧善懲悪の人情ストーリーなので、そう複雑に感じない。
そしてその底流に流れる、
五右衛門とアンヌの、絶大なる信頼と微妙な愛情の描写がすばらしい。

五右衛門が女王に仕上げられたアンヌを前に言う。

「俺は天下の大泥棒。お前を盗みにきたぜ。」

うへー。
かっこいいー!

もちろん報酬は、愛、である。
愛は与えるもの。
愛は奪うもの。
そして本当の愛は、去っていくこと。

五右衛門は、女王として生きていく決心をしたアンヌに

「国の将来について語る、お前のその姿が一番生き生きとしている。」

といい、何か困ったことがあったら必ず命がけで守る、といい、
アンヌの子分であった海賊たちを引き連れ、七つの海へと出て行くのであった。

じーん。。。。

派手な殺陣、愉快痛快なコメディ、スケールのでかい演出、大音量のロック、
そういう全てのものにも常に「愛」という横糸が織られているところがすてき。
中島さんは脚本を書いていたおもしろかっただろうな。

ちなみに、この脚本における、
一番の見せ場は、第一幕の終わりである。

今まで一緒に海を渡り、微妙に愛を感じ合っていた
石川五右衛門(古田新太)と
女王に仕立てられたアンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)。
海賊討伐という苦しい選択を迫られ、海賊一掃という決断をするアンヌに

「お前がそう決めたのなら、俺にも大泥棒という覚悟を持って臨もうじゃないか。
 お前にはその覚悟があるのか!?」

とすごむ。そんな五右衛門にアンヌは応える。

「私は国を守る。国民を守るための覚悟を持ってお前と闘う!」

と。

舞台でにらみ合う二人。
ライト、ピカーン!
かみなり、ドーン!
音楽、バリバリー!

このシーンこそ、まさに、「ザ・歌舞伎!」というものであった。


感傷的で、あまりに偏狭的な。

これね。
にらみ合ってないけど・・・。
(舞台では、左右逆でにらみ合っていた。)

かっちょええ・・・


どうでもいいけど、この場面において、

「お前はこれからどんな覚悟で生きていくのか?
 お前はどんな生き方をしていくのか?」

と五右衛門に詰問され、

「あもちゃん、がんばれ。」

と古田新太に応援されているようであった・・・。



完全にこの作品の虜になってしまった私は、

「とにかく何でもいいから記念の品を~!!!」

と、たくさんの人たちで埋め尽くされたロビーをさまよっていた。



感傷的で、あまりに偏狭的な。

私はこのポスターが欲しかったのに、売っておらず・・・。
なんかいまいちぱっとしない、気分ののらない(コラッッ!)
ポスターが二枚組で売ってあるだけ。

はー。
でもなんかこのまま帰りたくない気分だ・・・と思った私は・・・。


感傷的で、あまりに偏狭的な。

赤坂アクトシアターの外の巨大看板。

を見て、あ、つなげればかっこいいかも??

ということに気づき・・・


感傷的で、あまりに偏狭的な。

結局買った。
かっこええ。


朝起きるたびに、古田新太と天海祐希が

「おはよう、あもちゃん」

と言ってくれる・・・。

ちょっとこわい。