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東京島/桐野 夏生


第44回谷崎潤一郎賞受賞作品である。


セックスレスに悩むレディスアンドジェントルマンは読まないほうがいい。

セックスレスが加速することうけあい。


気持ちが悪いほどの原始生活におけるセックスです。

くんずほぐれつー。

ドッロドロのグッジャグジャ。

前半はセックスオンパレード。

(もちろん,これが主題ではないのだが,私のゆがんだ目にはそればかりが・・・)



ここであらすじを少々。


夫とともに無人島に漂着した清子。
周りには31人の男たちがいる。

女は清子一人だけ。

この無人島には助けの船も来ず,いつしかこの無人島を皆

「トウキョウ」

と呼ぶようになる(自虐の意味も込めて。)。


本能むき出しに生き,生にひたすら執着する清子。

あきらめる男、悟りを開く男、生きることにすがりつく男たち。


彼らは「トウキョウ」を脱出することができるのか!?


という,ハラハラドキドキ冒険ものストーリー・・・


と言いたいのだが,冒険という空想的な単語は一切使いたくないようなリアリティ。

読みながら,体中がベトベト,ドロドロと汚染されていく気がして

とにもかくにも気持ち悪い作品であった。


この清子が良い意味でも悪い意味でも,もう強い。

人間の本性,むき出しなのである。


だましだまされ,の繰り返し。

それでも清子は最後まで生きることをあきらめないのである。


この作品は,清子の一人語りから始まるのだが,

清子が語り始めた時にはこの清子のご主人はすでに死んでいる,ときたもんだ。

極限状態における女はつよい。


そして清子の独り語りの章が一旦終わると,

少しずつ人間関係や力関係が変化していく無人島トウキョウ。


それにしても,

最初の1頁目から


「トウキョウ」

「コウキョ」

「清子」


という名称が登場。


おのずと,黒田さんに嫁いだ清子内親王が想起される。(私だけ?)


この主人公清子が,

奥ゆかしい女性である,とか,

強くもたくましく生きる女性であるとか(ある意味正しいが),

であるならば,特に思うところもないのだが,

毎夜(夜だけでもないけど),いろいろな男にまみれる女性で,

しかも自分が生きるために夫をも裏切り,

そしてコウモリ的な部分もあり(よく日和る),

清子内親王礼賛,とはとてもじゃないが思えない。


・・・

問題がなかったのだろうか?

明らかに意図的だよなあ。


途中で「清子」は

「さやこ」ではなく「きよこ」であることが分かるのだが,

なんというか,何も清子じゃなくてもいいのにねえ,と思った次第。

しかも清らかじゃないし。

(まあ,これは明らかに意図はある。清くない清子。)


ここまで言っておきながら,清い,清くない,という判断は

エアコンの効いた職場でヘラヘラしている私がするものと

ネズミをタンパク源として獲ってまで食う清子とでは大違いである。

弱い男どもを蹴落として,そして自分の体を切り売りしても

自分一人だけが生きようとする清子を

清くない,と言えるだろうか,私。

環境や立場によって,倫理観は変わってくるもの。


そういった意味を込めての「清子」だったのであろうか。


私がとにかく,思わず「あっっ」と言ってしまったのは,

きもいワタナベが,物語の途中であっさりと・・・の場面。

(一応曖昧に言っているつもり。)


運や不運というものは突然やってくるのである。

本当にそう思う。

さて,全体の感想だが,一言で言うと,私は好きではない。


おもしろいとは思うが,それ以上のものがなく。

珍しく,谷崎潤一郎賞受賞作品にしては「ちょっとはずれ」だったと思う。


おもしろいので1日で読み切ることはできるので,

ドキドキしたい方は,秋の夜長にサラリと読んでみてもいいでしょう。

あまりおすすめしませんが。