桜庭一樹、直木賞受賞後第1作である。
私はどうもこの桜庭一樹と相性がとーってもいいらしい。
物語を進めていく上で、こうにだけはならないでほしい、という展開に
けしてならない。
どちらに転んでもおかしくない展開で、
こうならないでほしい方向にはけしていかない。
しかも、その展開はまさかの展開。
ああ、うれしい。
とはいえ、気になることが1つ。
おもしろく読み進めているうちに、ふと、
「これ・・本当に直木賞受賞後の作品なのかなあ。
あの『私の男』の後に書かれたとは思えない雰囲気なんだけど・・・。」
と気になった。
今までけして発行日など気にしたことがなかった私だが、
読んでいる途中に、思わず最後の頁を見てしまった。
そこで分かったのは、この作品は
一度発行されている「荒野の恋」という作品を手直ししたもの(1部2部)と
書き下ろし(3部)、という作品であった。
直木賞受賞後の作品が果たしてそれでいいのかしら?
ま、私は初めて読む作品なので、別にいいのだが。
第3部は第1部、第2部の完結篇として読めるし。
あらすじは、
人気恋愛作家の父をもつ「荒野」は、今日、中学にあがる。
入学式に向かう電車の中で、ちょっとしたトラブルに見舞われたが、
ある一人の男の子が助けてくれる。
それが「悠也」であった。
彼は偶然、同じ中学で、同じクラスでもあったのだ。
恋というのがどんなものかピンとこない荒野。
この不思議な感覚に戸惑う。
そしてだんだん大人の身体と心に成長していく自分に戸惑う。
大好きなともだち。
大好きなパパ。
大好きな家政婦さん。
そして悠也。
その悠也が・・・。
というお話。
ああー。
大好きなともだちにしても、急に態度が変わるシーンがあって、
「あ、まさかイジメ?」
と躊躇した。
イジメの方向にだけは行って欲しくなかったのだ。
でも、そこは、ほら、
私と桜庭一樹の関係ですから(?)、
私のイヤがる方には進まないわけである。
ほっ。
私は桜庭一樹と同類である。
そのことに私は、安堵する。
(勝手に一緒にするな、というおしかりは、ここはぐぐっと胸におさめて!)
この作品の感想だが、
中学生独特の、風に吹かれても心が揺れる、という繊細で劇的な時代を
本当にやわらかいタッチで描いていて、感心しきり。
だが、それだけ、なのである。
最後の完結編も、はー、そうですかあ、という感じ。
ちゃんとした結末を望む人向きではない。
ただ、こうやって女の子は
女になって、母になって、おばちゃんになって、おばあちゃんになるのだな、と思う。
人生に結末はないではないか。
いつもいつも漂っている時間に乗っているではないか。
いつもいつも心も体も細胞単位で動いているではないか。
だから、結末だなんてないし、結末らしい結末など要らないのかもしれない。
私のように、ガラス細工より繊細な(おーい!戻ってきてー!)中学時代を送った人には
ひたすらたまらなく懐かしい思いに駆られる作品である。
残念ながら、それ以上はないのだけれども・・・。
