なにか、こう、我ながら「いまさら感」がひどく漂う本選び、である。
さて、作品の内容について。
江戸の大店の若だんな一太郎(ジャストシステム?あはは。)は病弱な一人息子であった。
この病弱な一太郎と、彼を守るべく手代として奉公する妖怪や自由気ままな妖怪たちの物語。
一太郎がこっそり親や妖怪たちの目を盗んで外出したある日、
一太郎は人殺しの現場を目撃してしまった!
という話。
「心優しい若だんなと妖怪たちが繰り広げる愉快で不思議な人情推理帖!」
と本の帯にはあるが、推理?ハテ?そんなもんあったかな?と首をかしげる私。
おもしろかったような気もするのだけれど、
なんだか今ひとつ物足りなかったなあ、と思う。
若旦那にまとわりつく小妖怪たちの様子とかかわいらしいし、
そういう描写はなかなかいい。
だるま型の火鉢を前にして、若旦那がまんじりとして動かない。
そんな若旦那の下で、だるまの火鉢がカンカンに熱くなっている。
というシーンは、想像しただけでププと笑える。
風神雷神みたいな顔を、まっかっかにしている火鉢に違いないのだ、きっと。
そんな火鉢、ほしいなあ。
私の勉強部屋は和室だから、ぜひ、お部屋に置きたいわ。
など、ひとつひとつの描写は、ハッとするほど楽しいものなのに、
全体の物語としては、うーん、いまひとつ、か。
物語の構成も悪くないし、幼なじみの栄吉の話も、うまいこと生かしている。
でもなにかが足りないのだ。
それはなんだ?
あえていうなら、ドキドキ不足であろうか?
ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作!
であるのに、あまりワクワクドキドキを感じることができなかった。
物語のかなり前半部でからくりが読めてしまう、というのがやはり最大の理由であろう。
からくりが読めてもワクワクできる作品も中にはあるのだが、
この作品は残念ながら、ああやっぱりね~、と冷静になる作品であった。
けしてつまらないわけではなく、もうひとひねりさせてもよかったのに、
ちょっともったいない。
描かれる小さな妖怪たちがひたすらかわいい。
これは褒めるにふさわしい点であることは、再度強調しておこう。
