太宰治全集2(筑摩書房)
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(収録作品は以下のとおり)
創生記 HUMAN LOST 二十世紀旗手 あさましきもの 灯篭 満願 姥捨 花燭 火の鳥 I can speak 黄金風景 富岳百景 女生徒 懶惰の歌留多 秋風記 新樹の言葉 愛と美について 葉桜と魔笛 春の盗賊 八十八夜 座興に非ず 美少女
パビナール中毒、入院、心中未遂…なお惑乱と絶望の時期はつづく。
やがて訪れる転機。時に太宰、30歳。
生への意欲が燃え、文学への情熱が湧きあがる。
名作「富岳百景」他の諸篇が書きつがれ、書下し創作集『愛と美について』が生まれる。
だそうで。
私,太宰治をナメていた。
いや,それはもう,驚くほど相当に。
太宰治ってこんなにいい作品書いていたとは、知らなかった。
私は太宰治の作品で唯一スキだったのは
「富岳百景」
くらいだった。
あとは、もう、
斜陽だの走れメロスだの人間失格だの、
いや、そりゃあまあ名作に値する作品だとは思いますがね、
ただ、ペッペッペ、ってな感じだったわけであります。
いやー、それが、驚いた。
太宰治ってやっぱりすごい。
この短編集読んで、太宰治の存在価値と作家としての力量のすごさを知った。
そもそもきっかけは、
カヲルさんが、「葉桜と魔笛」を大絶賛していたところから始まる。
人間、どこにでもきっかけは落ちている。
それを拾う者と見逃す者に分かれているだけである。
私はカヲルさんが落としてくれたきっかけを、ようよう拾うことができた。
この作品集に出会えたことを感謝している。
葉桜と魔笛、すばらしい小品であった。
品の良い、涼風が私の心を吹いていった。
そして最後、塀の向こうから聞こえる軍艦マーチの口笛の正体の推測に
うう、と熱い涙が目頭にぽわっと浮かんだ。
そんな葉桜と魔笛に負けず劣らずの作品が
「灯籠」
であった。
ただの色キチガイの話じゃないか、と感じてしまう人もいるかもしれないが、
恋に身を破滅させてしまう、しかも、ただの独り相撲、ただの空回り、というのが
むなしくも、キュンとして、そして、アハハと空笑いさえしてしまう。
恋なんて、命がけでするもんじゃない。
でも仕方ない、だって愛しているんだもの。
だから私はカラマワリ。
そういうバカな女性が描かれている。
そしてその境遇とその家族の暖かさが、妙ちきりんでおかしくも悲しいのである。
太宰治の圧倒的短編集を読んで、
私は少々頭痛すらおぼへるのであった。
相変わらず、富岳百景は名作であった。
何度読んでもステキである。