文学賞メッタ斬り! 2008年版 たいへんよくできました編 (2008)/大森 望
今までにないくらい笑った。
相変わらずの大森望、豊崎由美の両氏であるが,
さらにパワーアップし,鋭い指摘のオンパレードである。
とくに芥川賞・直木賞選考についての考察がおもしろい。
声を出して大笑いしたなあ。アハハ。
おもしろい箇所をイチイチ引用したいのだが,
とにかく読んで,としか言えないのが口惜しい~( ゚皿゚)!
短いところを一つだけ引用してみる。
(他にも面白いところがあるんだよっっっったくさんっっっっっ)
豊「(石原都知事の選評について)
ここもすごいよ。
<今回の候補作を通じていえることは素材の軽さといおうか、
生活の無為性、無劇の劇性というべきものだろうか。>
<生活の無為性、無劇の劇性>って・・・
こういうのが文学的物言いだと思ってるところが痛すぎ。」
大「なにしろ都知事はいま、新銀行東京問題で劇的な状況にいますからね。
そんなチャラチャラしたことで小説を書くなと。
俺なんか日夜、東京都のために戦ってるんだぞと。
政治の無為性に直面してもう大変なんだぞと。」
豊「連日、都議会で詰問されて健康状態が心配です。
シンちゃんが死んじゃうと面白い選評がなくなっちゃうので、
なにとぞお身体を大事になさって、選考委員を続けていただきたい。」
大「いやむしろ、責任とって都知事を辞めて、芥川賞に専念するかもね。(略)」
豊「あと、今回は、「てにをは」を致命的には間違えてなかったね※。(略)」
※石原慎太郎の過去の選評が挙げられていて読んでみたのだが、
これがもうひどい「てにをは」で、私もちょっと驚いた。あんぐり。
いやいや、そりゃ、人のことはいえませんけどね。
そして今回のこの本で必見なのが,
長嶋有と石田衣良を迎えての対談。
長嶋氏と石田氏のキャラがまるで反対なのがおかしい。
そしてそこへなにやら爆弾をしかける豊崎氏。
長嶋有って、本当に自然体で好きだなあ。パソコンおたくのいいおじさんって感じ。
(話の中のイメージです。)
この対談を通じて改めて分かったのは、
あらゆる賞は、作品だけを見て授賞しているわけではない、ということ。
出版社同士の綱引きだったり、過去の候補歴だったり、人柄だったり。
いい、とか悪い、とかじゃなくて、やはりそういうのも関係あるんだなあ、と。
そして
作家を目指す人たちが、文学界新人賞やらに応募するのだが、
やみくもになんでも賞をとればいい、というのではなくて、
作家としての将来を考えたとき、獲った賞によってその人生が大きく変わる、
ということもわかった。
たとえば芥川賞を獲りやすいのは、文学界新人賞だったりする。らしい。
(長嶋有もそう。)
色々な意味で勉強になり、面白い本だった。
また次回の「メッタ斬り」に期待したい!
