¥1,680
Amazon.co.jp

ゴールデンスランバー/伊坂 幸太郎


「2008年本屋大賞」受賞作品である。



今回の直木賞発表前に

できるだけ候補作品を読もう!と決意する以前から
読み始めちゃったもので,

まずはこちらから片付けておこうか,と。


最初に読み始めたときの感想・・


「うっ。この人の政治ネタってあんまりスキじゃないんだよな・・」


だった。


『魔王』


のときに拒絶反応が出てしまったせいだと思う。


しかも,

『魔王』に出てくる政治家と,今回暗殺される首相の印象が

そっくし!


いやだなあ,いやだなあ,と思いながら読みました。


で読み終わった感想。


「うまいことまとめるなあ」


だった。



いつも思うのだが,この伊坂幸太郎の作品って

クールで都会的センスにあふれている気がする。

おされ,なのだ。

今回もそういう印象。

ご本人はじゃがいもみたいなのに・・(コラッ)。



あらすじは,


仙台で凱旋パレード中の首相が暗殺された。

すぐ警察は犯人を特定した。

犯人は,どこにでもいる普通の青年だった。

が,実はそれは巧妙に仕組まれたワナだったのだ。


というお話。


普通の青年「青柳」が,

自分は犯人じゃない,と言うべく行動するも,

見えない力によってどんどんと追い込まれていく様子が

あっちから,こっちからの目でうまいこと描かれていた。

(それは時にかな~り強引な感じで。)


手助けしてくれる人が

いいタイミングでよく現れるところなんて,

世紀の犯罪者(と報道されている)を助けてくれる人が

この世にそんなにもいるかしら?

とは思うものの,

そういう疑問点はさておいて,という感じでおもしろく読める。


この中でおもしろい存在は,


「樋口晴子」


という女性。


青柳青年の昔の彼女で

すでに別の男性と結婚し,女児を一人もうけているのだが,

彼の昔の仕草やクセなどを覚えていて,


「青柳君は犯人じゃない」


と確信する。


そして,

青柳君と会うことはないものの,

青柳君の逃亡を手助けしていくことになる。



私は常にこの「樋口晴子」の目線で

この小説を読んでいた気がする。


昔の恋人のクセとか思い出せるかなあ。

・・・・・あやしいもんだ。


こういう犯罪を犯すような人じゃない,という確信だけは

持てる気はする。

それを行動に移せるかどうか,と思うと

まあ,意外とできそうな気もする。

でも子供がいる場合はどうだろう。

子供を危険な目に遭わせる事が果たしてできるだろうか。

母であればこそ,保守的になると思うのだが。


伊坂幸太郎はいささか(だじゃれじゃないよ),

女性を少々美しく見過ぎている気がする。

昔の男の逃亡を手助けするのに,

母となった女性は叙情的じゃない。

というより,

そう信じたい。


それでもよかったところは,

樋口晴子が常に安定していたところ。

昔の恋人,という存在として行動していないところである。

あくまでも「友人」をちょっと超えた「女友達」であったところ。

ちょっとホッ。


そして

最後の終わり方が,おされ~,なのだ。


ああ,まとまったな,という感じ。

そして

青柳の恋も,青柳自身も,終わったのだ,という

この小説全てを完結させる終わり方だった。


ちなみに・・・

『私の男』(桜庭一樹)と同回の直木賞候補作品に

なったかもしれない作品だが

(予選段階で辞退,という異例の事態作品)

どういう意図で辞退したのかはうかがい知れぬが,

私の中では,この作品は直木賞はやっぱりムリだったかな。

『私の男』にあげたい感じ。


*訂正*

直木賞候補辞退したのは,138回ではなく今回の139回でした。

今回の顔ぶれだったら,間違いなく獲れていたと思う。