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愛しの座敷わらし/荻原 浩


体調不良の中,なんとか読んだぞ,と。

参考記事 → 2008.07.07『年増ギツネ,コンコン


この作品は,

今回の直木賞候補作品の一つである。

15日が直木賞選考会なのであるが,それまでに一つでも多くの作品を読み,

一人直木賞選考をやってみようかと思っている。


とはいえ,まだ2作品。

あと5日で4作品・・。

普通に考えるとムリじゃないけど,

これからのスケジュールと仕事量を考えるとちょっとムリ。

(そもそもまだ作品すら入手してないし(;´∀`))



さて,この『愛しの座敷わらし』について,ざっとあらすじを。

(ネタバレなし。)


高橋一家は,おばあちゃん・父母・娘・息子の5人家族。

それぞれにくだらなくも真剣な悩みを抱え,生きている。

家族間もなんだかぎくしゃくしている。


そんな高橋一家のお父さんに突然の転勤命令。

転勤先は,チョーど田舎。

しかも引っ越し先は,チョー古民家。


絶対に,引っ越しはイヤダイヤダ,とごねる家族。

そしてその家には・・・。



というお話。


設定を読み,タイトルどおりに話は進み,想像通りに話しは終わるんだけど,

おもしろかったなあ,と素直に思った。


前半は,

家族5人のリレー方式で生活を語っていく形に

意識がちらついて集中できず,

肝心の内容には,

キーッッ!バカなやつ!とかでイライラしたり,

どうにもならない,前にも後ろにも動けない,という感じの

堅苦しい緊張感が漂っていて,

たまらなくイヤだったのだが(だからなかなか読み進めない),

後半,

その家族5人の語り口調にも慣れ,しかもうまいこと話し出すし,

事態は一転,猛スピードで転がり始める。


そして落ち着くところに落ち着いた,という感じで終わる。

ああ,やっぱりそう終わるのか,って。

ある意味予定調和。

ある意味ホッ。


水戸黄門でいうところの,

8時42分ごろに印籠を出しますよ,的な。



ところで・・


途中,座敷童という存在について語られるのだが,

知ってました?

座敷童ってどういうものか。

座敷童が住む家は幸福が訪れる,とかその程度は知っていたのだが,

それ以上のことは知らなかった。

そのしらなかったことは,この高橋家の皆も知らなくて,

その事実が,この作品の折り返し地点となっている。

その折り返し地点で急に高橋家は変わっていくのだ。


とくに,娘の梓美の環境変化と心境変化が

本当に王道なのだが,やっぱりちょっぴりジーンとした。

私が女の子(おばさんですけど!)だからなんだろうなあ。

中学生のころの自分が置かれていた,

厳しい環境を思い出しちゃった。



さて,あもる一人直木賞選考会だが,

今のところ,最終選考に残っているのは,

「のぼうの城」と

「愛しの座敷わらし」

の2作品(しか読んでいないから。)。


私がどちらかを選ぶなら・・・


「愛しの座敷わらし」


かな。


ただ,この作品が受賞できるかどうか,と言われるとちょっと難しい。

ほかの作品を読んでいないが。


過去,萩原浩は2度候補に挙がった事がある。

その作品の中では,この『愛しの座敷わらし』が

一番のデキであることは間違いない。

(但し,どうせ萩原浩なら『メリーゴーランド』であげたかった。)


しかし,この『愛しの座敷わらし』は,

こまっしゃくれてる,

というか,

大衆じみている(直木賞はそもそも大衆小説対象だが。),

というか

世慣れている,

というか,

アガリ,

というか。


とにかく,今更受賞じゃなくてもいいでしょ,的な風格がある。


まとまりがよすぎて,どうもあげづらいんじゃないかなあ,と

なんとなく思う。


粗さもないし,うまくオトしているし。

欠点が見あたらない。

うますぎてあげられない,みたいな。


私は萩原浩は好きだが,この作品に直木賞はあげない。

ああ~ほかの作品も読んでみるべきか!?