「意味がなかった」

 

尊敬する指導者の方が取り上げていた、そのクラブのSNSに記載された内容に、とても深く考えさせられる。

以下抜粋。

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選手として小学生の時、名だたる大会で優勝して優秀選手になった。

中学生の時、勝ち続けて負け知らず。

選抜チームに入ってそこでも勝ち続けた。

高校生の時、常勝と言われるサッカー部に入り勝ちを求められそれをひたすら繰り返していた。

 

幼少期から高校生まで駒として使われて勝ちのみを求められてきた。

小さい時から個人の特徴を伸ばす事や課題を克服する様なアドバイスは誰からも言われてこなかったから時すでに遅し。

 

大学生になり社会人になり、選手としても人としても大切な事を伝えられることなくきてしまったものだから何もかも対応ができなかった。

 

幼少期、育成期に誰も何も伝えてくれなかった。

 

今思うが、小学生、中学生、高校生の育成時の勝ちは意味が無かった。

 

大人の責任は重い。

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また、かつてJEF千葉が輝いていた時期にGMをされ、オシム監督を日本に呼び寄せた祖母井氏は次のように述べている。

 

「育成プログラムがシステム化すればするほど、個性を表現することが難しくなってくる。子どものときに遊ばせながら教えたチームとガチガチに指導したチームが試合したら、ガチガチに指導したチームが勝ちますよ。でも、将来的に伸びるのは遊ばせながら教えたチームだと思います。」

 

「プロチーム(Jリーグ下部組織など)のユースなどの場合は指導者も良い選手を出さなければならないし、上からのプレッシャーもある。そうすると色々なことを教えちゃうわけですよ。教えれば教えるほど子ども達は育たないんです。」

 

「逆にアフリカとか、育成システムがしっかりしていない地域から発想力を持った選手が出たりするわけです。

注:ブラジルでも都市部よりも、田舎で育成がシステム化していない地域から、面白いストライカーや逸材が出てくると言われています。(筆者記載)

サッカーはどこでもできるから、器材やグラウンドが整っていることが【良い環境】というわけではないのです。」

 

「大切なのは、子ども達がそこでどう考えどう工夫するかだと思います。」

 

祖母井氏の伝えたいことは、

 

◇人はシステムを超える。

◇失敗できる環境でうまくなる。

◇指導者の考えを押し付けてはいけない。

◇技術は遊びの中で身につく。

◇自由な発想の中から新しいサッカーが生まれる。

 

ということ。

 

正にその通りだと思うし、だからブラジルからは、たくさんの名選手が湧いてくるのだと改めて実感する。

 

最近は情報に振り回され、目先の結果を求め、「今勝つこと」、「今ガチガチにやること」、「強いチームに所属すること」、が子どものためになると信じている親が増加傾向にあると指導者仲間とのコミュニケーションの中で思う。

 

「遊び」を持たせながら、「今の勝ち」以上の「将来の価値」をどの様に選手、子ども達に身につけさせていくか。

そしてそうなるような環境をどう創出するか。

それはサッカーだけでなく、勉強や他の事にも通ずる大切なキーポイント。

 

本当の結果は何年も先にやってくる。

指導者も親も含めて、選手の周りにいる「大人の責任」は重い。