少年の頃から蜩(ヒグラシ)の「カナカナ」という合唱が好きで癒されます。

 東京では青梅や奥多摩地域あたりでないとなかなか耳にすることがなくなってしまったのではないかと思われますが、地方に行けば里山に近いところであれば早朝や夕暮れ時、日中でも日が翳ったりすると聞こえますよね。



 今でもよく覚えているのは父の転勤で広島県の福山市に住んでいた小学生時代、3年生の夏休みの時に家族で兵庫県の城崎温泉に旅行した時に、旅館の部屋の開け放たれた窓(あの当時は大きなホテルは別として古い旅館などではクーラーが無いところも多かった気がします。それで過ごせたのだから如何に最近の夏が異常なのか•••)から見下ろす温泉街を流れる川縁の道を歩む浴衣姿で歩く宿泊客の人々の下駄の音と蜩の涼しげで哀愁を帯びた響きです。


 普段は東京の下町で生活をしているものですから蜩の音色に包まれることはなかなかありませんが、地方へ旅行した時などは「カナカナ」の合唱に癒されて

(このまま時間が止まればいいのに•••)

とさえ思うこともしばしばです。

 時間的には朝夕ともにピークはそれほど長くないから尚更そう思うのでしょうか•••。


 動画は長野県北信濃エリアの森の中での撮影•••今年は暑すぎるのか、高原地帯の茂みの中でも藪蚊に付き纏われることがありませんでした。

 面白いのは朝夕は1匹が鳴き出すとつられるように合唱が始まるのに、日中帯に日が翳ったときには1匹が鳴いても同調する蜩はいないこと•••ちゃんと時間をわかっているのでしょうか?


 冒頭に述べた少年時代の城崎温泉の夏の情景で連想しましたが、6月に夫婦で訪れた山形県鶴岡市の湯田川温泉やあつみ温泉でも今頃は蜩の合唱が旅情に彩りを添えているのでしょうか?とくにあつみ温泉では川縁の道を歩きながら蜩の音色に涼を感じそうですね。

あつみ温泉


 そんなことを考えていたら鳥取県の三朝温泉や岩手県の大沢温泉など川が流れる温泉街を旅した過去の情景が蘇ってきました(ただ、いずれも訪れたのは晩秋だったり冬だったりで蜩とは無関係の季節なんですよね•••)。