今回の母ちゃんを引率しての庄内地方夫婦旅もいよいよ終盤を迎えようとしています。



 山形県の酒田駅から乗車してきたJR東日本新潟支社快速「海里」は南下してきた羽越本線を離れて新発田駅から白新線に入りました。

 羽越本線白新線ともに単線•複線区間が混在する路線です。白新線に入って新崎駅までは単線区間なので時刻表のうえでは通過扱いとなっている佐々木駅で対向列車である下りの特急「いなほ9号」が通過してゆくのを運転停車(客扱いを行わない業務上の停車)して待ちます。


 その後、豊栄駅でも数分間の運転停車をしていよいよラストスパートをかけます。豊栄駅は特急列車が停車しますが、「海里」は区分上は普通列車に属する快速列車でありながら観光列車なので通過扱いとなっています。


 国鉄時代•••まだ東北•上越新幹線が開業する以前は東京の上野駅と青森駅の間を高崎線〜上越線〜信越本線〜羽越本線〜奥羽本線という経路で結んでいた特急「いなほ」は新潟駅を通らず、信越本線と羽越本線のジャンクションである新津駅で信越本線から羽越本線に入っていました。

 当時、白新線を走行する特急列車は大阪〜青森の間の日本海縦貫線を走破する特急「白鳥」のみで、孤高の存在だったこの列車は停車駅も絞られていましたから豊栄駅にはもちろん停車することはありませんでした。というより、あの頃は豊栄駅も羽越本線の村上駅や中条駅、府屋駅なども特急列車は停車せず、急行列車しか停車しなかった駅でした。

 国鉄時代末期に国鉄の増収策の一環として安い急行料金で乗れる急行列車を廃止して料金が高い特急列車に格上げすることにより特急が停まらなかった急行停車駅を特急停車駅に加えたのでした。

 新崎駅を通過して阿賀野川へとさしかかります。


 阿賀野川はこの下流域においてもそうですが、新潟県の新津駅と福島県の郡山駅を結ぶ磐越西線に乗車していると中流域で線路に沿って流れている姿も豊富な水量を誇る姿が見られて好きな川のひとつです。トラックドライバーだった私は若い頃は国道49号線をよくトラックで走っていましたが、山間を流れる豊富な水量を誇る阿賀野川に沿って走る景色が好きでした(現在は国道はバイパスに変わって川沿いを通らないようですね)。

 終点の新潟駅到着が近づいて車掌さんによる最後のガイドが流れます。

 大形駅を通過してJR貨物東新潟機関区新潟貨物ターミナル駅の構内を車窓から眺めます。

 構内に憩う電気機関車群はこの機関区所属ではなく、JR貨物高崎機関区所属のEH200形富山機関区所属のEF510形です。日本海縦貫線の貨物ターミナルとあって、圧倒的にEF510形の姿が多いのは西日本や東海地方から東北地方という広範囲をカバーするため直流1500V(東海•西日本)〜交流20000V60Hz(北陸)〜直流1500V(信越)〜交流20000V50Hzという3つの電源をカバーできるEF510形電気機関車の性能によるものです。

 EH200形電気機関車は直流機なので関東から上越国境を越えてくる貨物列車くらいしか牽引してこないということもあります。





 鶴岡駅での長時間停車中に追い越していった貨物列車が停車していました(牽引している機関車の車号EF510-515でわかりました)。


 新潟貨物ターミナル駅を過ぎると列車はJR東日本新潟車両センターを斜めにオーバークロスするようにして高架で跨いで信越本線に合流します。遠くに見えるのは上越新幹線の回送線の高架です。この辺りは前述のJR貨物東新潟機関区•新潟貨物ターミナル駅、そしてJR東日本新潟車両センター新潟新幹線車両センターが隣接しています。 


 信越本線に合流して国道7号線•新潟バイパスをくぐって新潟市の中心部へと入っていきます。この近くの紫竹山インターチェンジは青森へ向かう国道7号線•京都から北陸地方を通ってくる来る国道8号線、そして会津若松•郡山を抜けて太平洋側の福島県いわき市までを結ぶ国道49号線とのジャンクションです。今回の旅行で車を運転してよく利用した国道7号線は紫竹山インターチェンジから海方向へ向かって新潟市街地へと折れていきます。



 18時38分、始発駅である酒田駅から3時間半ほどをかけての「海里」の旅が終わり、今回の夫婦旅の予定は全て終わりました。あとは上越新幹線に乗り換えて上野駅まで戻るだけです。


 最後にまた車掌さんに記念写真を撮っていただきました。車内での放送によるガイド、鶴岡駅や桑川駅などの長時間停車の時にもお忙しい中をいろいろお話しをしていただき楽しい旅の思い出になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

 新潟駅での上越新幹線への乗り継ぎは20分ほどの待ち合わせ時間で18時58分発の「とき340号」があるのですが、乗り換えが慌ただしいのと万が一在来線でのトラブルなどで「海里」が遅延すると間に合わなくなるので1時間後の「とき342号」の指定席特急券を予め購入してありました。この列車は終点の東京駅まで全ての駅に停車するので少し時間はかかりますが、のんびり帰るだけなので別に問題はありません。


 日曜日の夜の上り新幹線とあって、グリーン車•グランクラスを含めて指定席は全て発売済みとのことでした。新潟駅出発時点でほぼ満席といった状況でした。


 すっかり日が暮れた新潟駅を発車しました。

 今回の旅行記はこれでおしまいです。結果として長々と連載してしまいましたが、今回で最終回となります。