この九兵衛旅館シリーズ③では湯田川温泉街の夜景を貼り付けましょう。
夕食を終える頃には日もとっぷり暮れて辺りは夜のそれへと変わりました。
大浴場は男女入れ替えが行われて、露天風呂付きの山の湯が女性、川の湯が男性となりました。
母ちゃんは
「父ちゃん。露天風呂に入りたいからまたお風呂に入ってくるよう♪」
と、大浴場へと向かいました。私はお酒を飲んだから川の湯は翌朝入ることにして、お酒を飲んだ心地よさと満腹だったので少し散歩を楽しんでこようと下駄を借りて散歩に向かいました。
私たちが泊まった「お月見」はこの玄関への入口通路の上になります。2階の窓は「お月見」の和室の窓です。
入口を背にしてこの細い道を歩くと温泉街のメインストリート(?)に出ます。
こちらは共同浴場の「正面湯」。
湯田川温泉は加水•加温•循環を一切行わない新湯注入率湯で全国屈指を誇る天然掛け流し温泉です。
データは山形県内の有名な温泉と比べても歴然としています。
旅館の数や規模では小ぢんまりとしていて、他の有名な温泉街のような美しい景観には恵まれませんが、それだけにプライベートで訪れる著名人もいらっしゃるのだとか•••。
著名人ではなくても私のような「その名も低き無名人」だってプライバシーは生意気にも一応ありますからこのような温泉街は貴重です。
九兵衛旅館の別館である珠玉や旅館。
時間はまだ早いけれど、ほとんど人通りがない温泉街の道路•••私が履いている下駄の音だけが響きます。
下駄といえば、私が中学生の時に放映されていた「俺たちの旅」でカースケ役の中村雅俊さんや「俺たちの朝」でオッス役の勝野洋さんがドラマの中で履いていた下駄に憧れて、たまたま持っていた下駄(たしか父が勤務先の関係者の方が私たち兄妹のために贈ってくださったと記憶しています)を引っ張り出して飼っていた犬の散歩の時にいつも履いていたことを思い出しました。
約50年ぶりくらいに履いて歩き回ったら鼻緒を挟む親指と人差し指の間が痛くなってしまいました。
ところで、九兵衛旅館では浴衣か作務衣を貸し出してくれます。寝相が悪いのと動きやすさで私たち夫婦は迷わず作務衣をお借りしました。
湯田川温泉の夜が更けていきます。