この鉄旅と温泉は一昨年の旅です。
鉄旅のスタートは秋田駅。
今回は秋田まで職場の部下3人と車で同行した後は単独行動で以前から念願だった五能線(JR東日本五能線•秋田県能代市の東能代駅から日本海沿岸を通って青森県南津軽郡田舎館村の川部駅を結ぶ路線です。
JR東日本五能線(この地図で青色でなぞってある区間です(赤色は奥羽本線です)。
買い物ツアー(?)。市民市場で漬物や筋子の醤油漬けなどを買って東京へ発送。
秋田といえば有名なたけや製パンでおやつ代わりのパンを購入。これはこの日の宿で小腹が空いたとき用です。
河ドラで少し早めの昼食。
こちらも人気店で少し遅かったら危うく外待ちとなるところでした。地元出身の人と行動するといろいろ連れて行ってもらって楽しいものです。
食後は旧雄和町でまたいろいろと買い物です。
そろそろ冬の足音が聞こえてくるこの時期の秋田とは思えないほどの小春日和で暖かな日でした。
秋田新幹線ホームから発車してゆくJR東日本の新幹線検測用電車(電気•軌道総合検測車)のE926系East i。先般引退した東海道新幹線の検測用電車ドクターイエローとはなかなか遭遇できませんでしたが、East iとは上野駅や長野駅などあちらこちらで出会うことが多いです。私が利用する新幹線は東海道•山陽新幹線より東北•上越•北陸新幹線の方が圧倒的に利用機会が多いこともあると思いますが、この電車は北海道の北海道新幹線新函館北斗駅から福井県の北陸新幹線敦賀駅までの広い範囲で架線や軌道などの検測を行い、フル規格新幹線の東北•上越•北陸•北海道新幹線のみならずミニ新幹線区間である秋田新幹線や山形新幹線全てをカバーする運用ですからそれを考えると遭遇率は高いかも•••?
秋田駅から乗車するのは快速「リゾートしらかみ5号」。JR東日本のハイブリッド気動車HB-E300系を使用した観光列車です。
この形式の車両は秋田地区には五能線の観光快速列車用に現在2編成がJR東日本秋田総合車両センターに配置されており、最初に五能線沿線の十二湖のひとつ青池に因んだ青池編成が導入され、次にやはり沿線の白神山地に因んだ橅編成が導入されています。
このリゾートしらかみは3編成あり、元々は国鉄型気動車キハ40系気動車を改造した車両で活躍していました。青池編成•橅編成はHB-E300系となったので2代目となります。もう1編成存在するくまげら編成はまだキハ40系のままで、こちらはいずれ同じようにいずれHB-E300系に置き換えられるのかどうか•••?
デビュー順に青池編成が長男坊、橅編成が次男坊でくまげら編成が三男坊のしらかみ三兄弟と呼ばれています。
青池編成が入線してきました。
この編成、JR東日本秋田総合車両センター所属ですが、通常はお昼過ぎに秋田駅を発車するリゾートしらかみ5号として青森駅まで運転され、盛岡車両センター青森派出所(旧青森運転所)で一泊して翌朝青森駅を出発するリゾートしらかみ2号として秋田へ戻る運用となっているので塒は秋田というより青森といった感じです。
因みに橅編成は秋田駅を朝出発するリゾートしらかみ1号で青森駅まで運転されてリゾートしらかみ4号として秋田へ戻る運用、くまげら編成は午前中に秋田駅をリゾートしらかみ3号として出発して青森駅までは行かず弘前駅で折り返して折り返すリゾートしらかみ6号で秋田に夜戻る運用が通常組まれていますが、いずれかの編成が車両の検査期間などで運用から離脱すると運転本数を減らしてどれかの運用に代走して入るという形態となっています。
運転日や充当される編成についてはJR東日本のホームページに出ていますので、旅行計画を立てる時に参考にすることができます。
この車両•••観光列車ということで惻窓は上下方向に大きく、シートピッチも広くて、同じ秋田〜青森間を奥羽本線経由で結ぶ特急「つがる」と違って格下の快速列車なのにずいぶん居心地のいい車両となっています。但し、ローカル線の五能線経由をのんびりと走るので所要時分は大幅に多くかかります。その分、長く乗車していても疲れない車両です。
東能代駅で進行方向が逆向きになります。
いよいよ日本海の海岸線へと出ます。
そして秋田県から青森県へと入っていきます。
この日はウェスパ椿山駅で下車。送迎バスに乗り換えて不老ふ死温泉へ向かいます。
部屋のカーテンを開ければ目の前に日本海が広がります。
昼間の秋田市内は快晴でしたが、翌日からは東北各地は雨予報。だんだんと雲が広がってきました。
部屋はいい眺めだし、露天風呂は海岸の岩場にあるので良いのですが、夕食もビュッフェスタイルなのがイマイチでした。バイキング形式は好きではありません。これがいいという人(好き嫌いが多い人に多いと思いますが•••)もいますが•••。
翌日はチェックアウトの時間と青森方面のリゾートしらかみ3号との時間が合わず、ホテルのエントランス部分のロビーで送迎バスの時間まで過ごし、さらに送迎バスから降りて2時間ほど駅前の物産館で時間を潰しました。天気が良ければタクシーを呼んで青池あたりへ行こうかと思っていたのですが、前日とは違って本降りの雨なので諦めた結果です。
駅前のコロポックルだけは観光案内所兼物産館として再開していました。これが無かったら悲惨でした。雨の中を待合室の無い小さな無人駅で傘をさしたまま2時間も立っていなくてはならないところでした。
乗車する快速「リゾートしらかみ3号」が秋田からやってきました。この列車は青森まで行かず、途中の弘前止まりです。
この「くまげら編成」は国鉄型気動車キハ40系のままです。こちらは前述の「青池編成」や後述する「橅編成」は既に2代目のHB-E300系に置き換わっているのに対し、大きく改造されているとはいっても車内も古さを隠せません。
ここでちょっとアクシデント発生です。
深浦駅手前のトンネル内で列車がいきなり緊急停止しました。どうも車両の不具合が発生したようです。エアーが溜まらなくなったのかエンジンの出力が上がらなくなったのか•••運転士さんがエンジン回転を上げたりしつつ指令と電話でやり取りし始めました。
数分間停止しましたが、復旧したようです。心配したのはかの先は鯵ヶ沢駅まで乗車予定なので深浦駅で安全のため運転打ち切りになってしまわないかということでした。
幸い運転打ち切りにはならず、そのまま運転が継続されたのでよかったです。
遅延が発生した状況で深浦駅を発車しました。
深浦駅を出て列車の撮影名所である大カーブを車窓から眺めます。
千畳敷駅に到着しました。
リゾートしらかみはこの千畳敷駅では停車時間を長く取ってあり、ホームから出て国道を渡って海岸に行くことができます。
巨大地震で海底の岩礁が迫り上がって出来た千畳敷海岸。殿様が千枚の畳を敷かせて酒宴を開いたとの言い伝えが残る海岸です。
深浦駅手前での車両の安全確認を行なったため遅れていましたが、千畳敷駅での停車時間を削ってここからは定時運転となりました。
鯵ヶ沢駅で下車しました。五能線が海岸に沿って走るのはここまでで、この先は津軽平野の内陸部へと入っていきます。
宿泊するのは駅の裏手にある「水軍の宿」という旅館です。駅構内から反対側に出る出口は無いので遠回りして行かなくてはなりません。
跨線橋を渡る必要があるものの歩いても行ける距離ですが、列車の時刻に合わせて送迎バスがやってきて待っていてくれます。
宿泊する旅館「水軍の宿」に到着です。
予約しておいたのは狭い部屋ですが、ひとり旅なので十分です。却って落ち着く広さです。
フロントや大浴場から客室へ向かう廊下にはドリンクバーがあって宿泊客は自由に飲むことができます。ビールやウイスキー、ワインなどのアルコールやソフトドリンクが用意されています。
大浴場への入口です。日帰り入浴もできるので時間帯によっては混み合いますが、混雑する時間帯にはシャワーなどは宿泊客専用の区画が設けられている気配りがされています。露天風呂は水軍の宿らしく舟形の湯船となっています。
前日宿泊した不老ふ死温泉と違って駅裏なので外の風景は楽しめませんが、鯵ヶ沢駅構内が見えるので鉄道が好きな私は何枚か発車してきた列車を撮影しました。
私は日本酒ばかり飲み比べていました。
翌朝は短い時間でしたが晴れ間が出たので町の中心部を散策しながら日本海まで歩いてきました。
旅館に戻ってからまた雨が本降りになりました。しかしせっかく来たのだから短い時間とはいえ晴れ間が覗いて散策を楽しめたことはよかったです。
朝食も美味しかったです。夕食もそうでしたが、上品で優しい味がしました。
チェックアウトを済ませて送迎バスに乗ったのは私ひとりだけでした。
旅館の御主人が表まで見送りに出てくださいましたが、バスが発車して見えなくなるまで微動だにせず深々とお辞儀をしていた姿が今でも忘れられません。出雲での「はたご小田温泉」では旅館の方が全員で見送ってくださいましたが、その時と同様に胸が熱くなりました。
送迎バスが出るまでの時間で前々日に乗車した青池編成が上りのリゾートしらかみ2号として鯵ヶ沢駅を発車してゆく様子を跨線橋から撮影しました。
鯵ヶ沢駅でも旅館のチェックアウトから1時間以上あったので駅前付近を歩き回ったりしましたが、そのうち雨が本降りになってきたので待合室に戻って時間を過ごしました。
列車の時刻が近づいてきたのでホームへ。
乗車するHB-E300系快速リゾートしらかみ1号「橅編成」が秋田からやってきました。これで前々日の青池編成、前日のくまげら編成、そして橅編成と、しらかみ三兄弟全てにこの旅行で乗車することができました。
青森方面への下り列車では鯵ヶ沢〜五所川原間で津軽三味線の生演奏を楽しむことができます。ここから列車は津軽平野の内陸部へと入ってゆくので秋田県内から続いてきた日本海の風景は見られなくなりますが、すかさず津軽三味線の生演奏が行われる演出は素晴らしいと思います(上り列車では語りべによる民話を聞くことができるようですが、それは逆方向で乗車する機会があればぜひ聞いてみたいものです)。
秋田駅から東能代駅まで奥羽本線を通り、東能代駅から五能線を走ってきたリゾートしらかみは再び奥羽本線に入って終点の青森駅をめざします。
なお、列車はいったん弘前駅まで秋田方面へ向かって走り、折り返して青森駅へ向かいます。その時は川部駅を通過します。
青森駅の手前、新青森駅で下車します。
新青森駅から東北新幹線で東京に戻ってこの鉄旅と温泉旅は終わりました。