五能線から奥羽本線に入った快速「リゾートしらかみ1号」(橅編成)は五能線をのんびり走ってきたのとは対照的に速度を上げて終点の青森駅をめざして駆けてゆく。

 車窓を流れる風景も津軽平野の開けたそれが続いて変化が少ないものとなった。



 今年はいつまでも気温が高い秋だったが、2日前の秋田ではまるで春のような日差しと青空だったけれど、天気が悪いとさすがに厳しい東北の冬が近づいてきていることを感じる車窓風景である。




 浪岡駅を通過する。対向列車の秋田行特急「つがる4号」が停車しているのを横目に浪岡駅を通過する。

 特急「つがる」は秋田〜青森間を結ぶ奥羽本線の都市間特急列車である。

 ここを通る特急列車のルーツは昭和36年(1961年)10月1日に大阪〜青森間を結ぶ特急「白鳥」に遡る。

 大阪から東海道本線〜(米原)〜北陸本線〜(直江津)〜信越本線〜(新潟)〜白新線〜(新発田)〜羽越本線〜(秋田)〜奥羽本線〜青森という日本海縦貫線を走破する特急「白鳥」は昼行特急列車としては最長距離を走る列車として平成13年(2001年)3月3日のダイヤ改正で廃止されるまで40年近く走り続けた列車だ。

 のちに日本海縦貫線に設定された関西•中京圏対北陸地方の特急「雷鳥」「しらさぎ」「北越」や首都圏対北陸地方の特急「白山」「はくたか」、首都圏対庄内地方の特急「いなほ」が設定され、これらが増発されて本数を増やしてもずっと一往復のみ(ごく短期間ではあったが急行「しらゆき」の格上げにより福井〜青森間にもう一往復設定された時期はあったが•••)という列車だった。「白鳥」という優美な愛称もあって私の中では孤高の存在だった。

 白鳥は大阪〜金沢間を「雷鳥」、金沢〜新潟間を「北越」、新潟〜青森間を「いなほ」に分割する形で廃止された。

 そしてこれらの列車も「雷鳥」は「サンダーバード」と名を変えて消滅、「北越」も北陸新幹線の金沢開業により消滅、「いなほ」も新潟〜秋田間に短縮されて秋田〜青森間が「つがる」として再分割された。さらに来年3月開業のカウントダウンが始まった北陸新幹線金沢〜敦賀間の延伸によりサンダーバードの運転区間がさらに短縮されることにより特急「白鳥」の血脈は薄れようとしている。


 厳密に言えば「つがる」は「白鳥」の末裔とは言い難いかもしれないが、やはり国鉄在来線特急列車黄金時代を知る者にすれば、どこかに「白鳥」の残り香を見出そうとしてしまうのかもしれない。

 単線区間ということもあり対向列車である「つがる」を待避させる形で浪岡駅を通過する。

 浪岡駅は「つがる」の停車駅で、国鉄時代から一部の優等列車が停車する駅であるが、観光列車として特別な列車とはいえ分類上は普通列車に属する快速列車の「リゾートしらかみ」が格上の特急列車を待避させて浪岡駅を通過するシーンは乗車していてちょっと痛快な気分だった。

 

 ちなみに「つがる」の列車名はかつて東京の上野駅から東北本線〜(福島)〜奥羽本線〜(秋田)〜青森間を結んでいた急行「津軽」のイメージが今でも強く残っている私である。

 前述した「いなほ」に至っては上野駅から高崎線〜上越線〜信越本線〜羽越本線経由で秋田から奥羽本線に入って青森までを結んでいた特急列車の面影が今も残っている。


 次回に続きます。





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