JR東日本五能線の快速列車「リゾートしらかみ5号」に乗車して日本海が広がる車窓を満喫してきたが、この日の旅の終わりが近づいてきた。
陸奥岩崎駅を通過する。
複雑な海岸線が続く風景が取り上げられがちな五能線だが、快速「リゾートしらかみ」の車窓では始発駅の奥羽本線秋田駅から乗車してくると奥羽本線内では八郎潟付近のいかにも干拓地といった風景などが
(これから始まる素晴らしい海岸風景)
への序章として「主役」である五能線の絶景を引き立てるための名脇役にも感じられてくる。
室内灯などの反射を防ぐためにスマホを窓ガラスにピッタリと押さえつけて五能線の絶景を撮影したが、肉眼で実際に車窓を眺めている感動の1割も表現できていないと思う。海岸線に沿っている急な曲線を進む様子が表現できないのだ。腕が疲れるだけだったかもしれないが、個人的に楽しむ旅の記録としてならまあまあなのかもしれない。
ウェスパ椿山駅で下車。
この駅の歴史は新しく、平成13年(2001年)開業で五能線の駅としては若い駅である。
1面1線の棒線駅、五所川原駅管理の無人駅。この駅に隣接するリゾート施設「ウェスパ椿山」のために設置されたような駅で、開業当初は臨時快速列車である「リゾートしらかみ」だけが停車し、定期の普通列車は停車しなかったが、翌年からは普通列車も停車するようになる。この駅ができる以前はひとつ先の艫作(へなし)駅に「リゾートしらかみ」は停車していた。現在は艫作駅には「リゾートしらかみ」は停車しない。
リゾート施設「ウェスパ椿山」のために設置された駅といってもいいであろうウェスパ椿山駅なので駅周辺には何もない。リゾート施設の一部であった物産館「コロボックル」が駅前にあるくらいで、経営不振に追い打ちをかけたコロナ禍の影響で閉鎖したリゾート施設の残像が虚しく残るのみだ。
このウェスパ椿山に限ったことではないが、行楽客の集客を期待して作られた観光施設が業績悪化により閉鎖に追い込まれて無残な姿を晒していることは全国的に珍しくない。「どこにでもあるような」洋風の施設のどこに青森県西津軽郡深浦町の魅力を打ち出せていたのだろうか?
この日の宿泊は「リゾートしらかみ」の到着時刻に合わせて運行される送迎バスに乗って黄金崎不老ふ死温泉へ•••。
部屋は私のような初老の男のひとり旅には十分すぎるほどだ。
ベッドは嫌いなので和室で布団を敷いて寝るタイプの部屋を選ぶことが多い。
部屋の窓からは日本海が一望できる。
五能線沿線には宿泊施設はそれほど多くなく、かなり内陸に入れば選択肢も広がるが、今回は五能線そのものが旅の目的なので宿泊施設という点では妥協していた。ひとり旅だし温泉に入れて部屋で寝られればいいのだからと割り切っていたつもりだ。
不老ふ死温泉は大浴場の外にある露天風呂から日本海を眺めることができるし、日の出から日没前の時間なら海岸の岩場に湧く露天風呂を楽しむことができるから選んだのだが•••(撮影禁止なので画像はありません。興味ある方はネットで検索してホームページの画像をご覧ください)。
敢えて苦言を呈すれば
「食事には及第点を与えられない」
ほどの酷いレベルだという感想。
夕食もパイキング方式で、味もまるでスーパーで買ってくるような惣菜を食べているようでこの点は改善の余地が要求されるのではないか•••。少なくとも
(また泊まりに行きたい)
とは思えなかったのは残念だ。風景や海岸の岩場の露天風呂など恵まれた資源があるのだから
(寂れたリゾートホテル)
のような食事の内容は早急に見直したほうが良いのではないだろうか?
それにしてもバイキング方式というのは多くの支持を集めているのだろうか?
好き嫌いが多い人にとってはいいのかもしれないけれど、どうも私には馴染めない。
次回に続きます。