先ほどこの記事を投稿してそのままにしておいたのですが、いまチェックするとどういうわけか動画の音が入らない状態になっていましたので改めての投稿です。
国鉄型電車の主電動機(モーター)の音とブロワー(主電動機などを冷却する送風機)の音、タイフォン(警笛)の音フェチです。
マニアックな話になりますが、昭和30年代末から50年代にかけて登場した形式の車両に架装されたMT54型主電動機のうち歯車比などで音の違いはあるのですが、特急型電車の音が好きでした。
長野
昭和50年(1975年)に登場さて国鉄長野鉄道管理局長野運転所に集中配置され、上野〜長野•直江津間を結んでいた信越本線の特急「あさま」を中心に上野〜中軽井沢間の特急「そよかぜ」、中央本線の特急「あずさ」の一部で活躍していた189系の晩年の姿です。
長野駅まで北陸新幹線(当時は長野新幹線)が開業して運転区間が重複する信越本線の特急列車は全て廃止され、多くが首都圏の大宮•幕張•田町•豊田といった車両基地に転属しましたが、車両の老朽化や新型車両の登場により廃車されて最後まで長野に残っていたN102編成が篠ノ井線の朝の通勤ライナー列車「おはようライナー」として塩尻〜長野間の下りのみ設定されていた列車で余生を過ごしていました。
先頭から2両目と4両目の車両が通り過ぎるときに「ウワァーン」という音(例えて言うなら電子レンジみたいな音?)がブロワーの音です。
私のような「音フェチ」ならともかく、一般の利用者にとっては騒音でしかないこの音に、国鉄特急列車全盛期に少年時代を過ごした私は旅情を誘われる音でした。
この音は特急型電車や急行型電車、近郊型電車のみならず通勤型電車の103系に至るまで聴くことができ、例えば明治神宮脇にある山手線の原宿駅などでは秋の夜には臨時ホームに面した植え込みから聞こえる虫の音とブロワー音の組み合わせにどこかへ旅したくなる思いを抱いたものです。
所属基地である長野総合車両センターへ回送されてゆく姿です。「おはようライナー」の運行終了後の姿ですが、この時刻には撮影している5番線ホームと同じホームの反対側の4番線に飯山線の110系気動車が停車しており、そのディーゼルエンジンのアイドリング音が大きくて耳障りとなりますが、ゆっくりと加速してゆく189系のMT54型主電動機の音が微かに聞こえます。同時にブロワーの音も聞こえます。
ちなみに国鉄型電車の多くは動力装置の付いた電動車は2両1ユニットとして設計され、特急型電車では中間車に組み込まれていました(のちに中間電動車を改造した動力装置付きの先頭車両も現れましたが•••)。
次の動画は北陸新幹線金沢開業により廃止されるまで長野駅で新幹線と接続する長野〜直江津間で運転されていた普通列車「妙高」で余生を過ごしていたときのものです。ブロワー付きの車両を選んで乗車したのでMT54型主電動機の走行音とブロワー音が聞こえます。さらにトンネルに入る前にはタイフォンを鳴らすので、私にはお気に入りの動画となっています。
タイフォンを鳴らすときに同時にピィーッというホイッスル音が聞こえますが、多雪地域を走る車両はタイフォンの音が積雪に吸収されてしまうことから雪の中でも音が通る空気笛が運転席の屋上に併設されていました。この空気笛は後述する485系など国鉄時代には全国的な転属を視野に置いた車両にも装備されていたので九州など温暖な地方でも聴くことができました。
次の動画は信越本線の新潟県内の日本海沿岸を走る485系の走行音とトンネルに入るときに鳴らすタイフォンの音です。
こちらもブロワー付きの車両に乗車しましたが、高速運転で主電動機のモーター音がかなり大きく唸っているのでブロワー音はかき消されてわからないと思います。
直江津
この顔はJR東日本秋田総合車両センター(旧国鉄時代は土崎工場)でリフレッシュ改造された制御車です。オリジナルは以下の画像の顔をしていましたが、製造されてからの経年を考えると先がそれほど長くはないであろう車両にこれほど大胆な改造が行われるとは意外でしたが、電動車の音は紛れもなく国鉄型電車のそれでした。
新井
この赤2号とクリーム4号の塗装は国鉄特急型電車や気動車のオリジナルカラーで、この記事で紹介している車両は全てこのカラーを纏っていました。車両の構造が形式によって細かな差異があるため塗り分けの細部については異なる部分があるものの、基本的にこのデザインを纏っていました。
次の画像と動画は現在最後に残った国鉄特急型電車381系です。
こちらは他の特急型電車とは違い、MT58型主電動機を架装した形式です。
木曽路の山間部を通り中央本線〜篠ノ井線経由で名古屋〜長野間の特急「しなの」のスピードアップを目的に中央本線•篠ノ井線電化とともにこの路線の連続する急な曲線を高速で通過できる振子装置を備えたこの電車はその後紀勢本線新宮電化により天王寺〜新宮間の特急「くろしお」に、さらに伯備線と山陰本線出雲市電化により岡山〜出雲市を結ぶ特急「やくも」にも導入されました。「しなの」「くろしお」からは既に撤退して久しく、現在では「やくも」で381系としてだけではなく「最後の国鉄特急型電車」が現役として活躍を続けています。しかし、こちらも来年には新型車両への置き換えが既にJR西日本から発表されており、いよいよ終焉を迎えようとしています。