島根県出雲市多伎町の「はたご小田温泉」に宿泊した記事の続きです。
夕食の準備が整ったとの女将さんからの内線があって、女将さんの先導で食事の間へ向かいました。
こちらも庭を眺められる部屋です。
御献立
ビール(発泡酒)ですが、家では滅多に飲まないビールを風呂上がりの熱った喉が欲しがったのでオーダーしました。
地元特産のいちじくが原材料に名を連ねていました。そのためなのかちょっと甘さを感じる不思議な美味しさでした。女性向きかもしれないですね。
自家製仁多もち米甘さけ
普通の甘酒とは違う味わいです。甘さの中に仄かな酸味が口の中に広がります。
造里
山葵と塩が添えられているのですが、女将さんのおすすめは塩でした。この塩がとてもまろやかでとても良かったです。「たま塩満月」と「三瓶山葵」との食べ比べを楽しませていただきました。
しまね和牛 秋刀魚佃煮
なんだかホッとするような味わいでした。他の料理もそうなのですが、旅館で提供される料理といった感じではなくて、高級な料亭で食事を楽しんでいるといった心地よい時間が流れます。
(しまった)
ノドグロ塩焼を撮るのを忘れた
なんという不覚•••ノドグロの塩焼がとても美味しくて夢中で食べてしまって写真を撮るのを忘れてしまっていました。これは母ちゃんも絶賛していただけに撮り忘れたのは非常に残念です。
小鍋 胡麻豆乳鍋出汁
小鍋の出汁もなんと例えたらよいものかと思うほどの絶妙な味わいでした。上品で優しくて、こちらの胸に染み込んでくるとでも言ったらいいのでしょうか•••。
浜茹で紅蟹
まさか蟹まで味わえるとは思いませんでした。さすが日本海に面した町です。
私の母方の祖母は北陸の福井育ちで蟹を調理するのが上手で、子供の頃はよくこんな感じで蟹を盛り付けて食べさせてくれましたが、40年以上も前のそんな思い出が山陰のこの地で蘇りました。
仁多米 赤だし 山椒海苔
味噌汁が好きな私ですが、赤だしはあまり好まない(白味噌や合わせ味噌が好きなんです)のだけれど、こちらの赤だしは別でした。上品な味わいに正直なところ
(こんなに美味い赤だしってあるのか•••)
と、思わずにはいられませんでした。
また、献立のところどころに見える山椒の文字ですが、こちらの敷地で採れるものなのだそうです。
この日の宿泊客は私たち夫婦だけだったということもあるのでしょうか•••女将さんもかなり私たちの話し相手になってくれていろいろなことを伺うことができました。
料理はこちらの料理人の方が日々熟考を重ねて最高の献立を提供しているそうですが、その「こころ」が伝わってくるものばかりでした。
私が好きな日本酒も飲んだのですが、料理の美味しさと相まってもっと飲みたい気分でした。しかし翌朝も車を運転しなくてはならないから抑えて控えめにしておきました。まあ旅館で飲むときは次々と料理が出てくるからダラダラと飲んでいたらテーブルの上が一杯になってしまいますからね(笑)。飲むんだったら部屋で飲んでから食事に向かうのが賢明です。
椿りんご
甘味は普段あまり口にしない私ですが(嫌いなのではなく疎いのです)、おかわりしたいくらい美味しかったです。初めて出会った味でした。
素晴らしい料理の数々•••現在の御主人と女将さんは4代目とのことですが、初代から培われて継承されてきたお客へのもてなしのこころと小田の自然を愛する気持ちが十分に伝わってきて至福のひとときを過ごすことができました。
ちなみにこちらにはアルコールやソフトドリンクの自動販売機は設置されていません。ただ、お風呂場から部屋に戻る通路にアイスクリームのケースが置かれて販売されています。
前回記事でも触れましたが、こちらは大きな旅館やホテルとは違い、何でもかんでも揃っているというわけではありません。あくまでも静かなひとときを過ごしたい方には自信を持ってお薦めしますが、リゾートホテルのような施設がお好みの方にはお薦めできません。この旅館の全てが持つ「こころ」に感じ入ることができる方にはぜひ訪れていただきたい旅館です。
心地よい空間に包まれながら小田温泉の夜が更けていきます。
次回に続きます。