「父ちゃん、20時になったから一昨日の『母ちゃんクイズ』の正解発表にしよう❗」


「でも解答者ゼロだぞ…」


「うみゅみゅみゅみゅみゅ~ムカムカ


「それでも正解発表するのか?」


「誰も答えられなかったから今回は母ちゃんの勝ちだよう🎵」


「そのプラス思考が羨ましい…」


「今回のクイズは『ここは何駅だえ?』として上の画像の駅名を答えていただくものだったけどみなさんにとって難しかったかえ?」

「ヒント画像は以下のものでしたが、ちょっとわかりにくかったかもしれませんね」
「父ちゃん、正解発表の前に解説から始めておくれよう❗」
「旧国鉄時代…とくに長距離の移動手段の主役が鉄道だった昭和50年代半ばくらいまでは主要幹線では普通列車でも長い編成を組んでいた列車は珍しくなく、特急や急行などの優等列車は12両編成や13両編成が当たり前でした」

「でもこの駅の画像を見る限りローカル線って雰囲気だよう…」

「この駅…いまでこそ優等列車は停まらないし、線路も単線、ホームは島式ホームで1面2線だけれど古い時代は重要な駅でした」

「フムフム…」

「出題した画像の奥からは急勾配が続いていたので蒸気機関車が客車や貨物列車を牽引していた時代にはここで補助機関車を連結して急勾配を走っていたのです。そのため、この駅には機関庫が併設されて多くの鉄道職員が配置されていたそうです。広い構内はその名残ですね」

「何を言っているのかよくわからないけどそろそろ正解発表としよう❗」
「正解はJR東海御殿場線・山北駅(神奈川県足柄上郡山北町)でしたよう❗
 御殿場線山北駅は神奈川県西部、JR東日本東海道本線国府津駅JR東海東海道本線沼津駅の間を箱根の山の北側を迂回して御殿場駅を経由して結ぶ路線です。

 現在は単線でローカル線といった雰囲気が濃い路線ですが、かつてはこちらが東海道本線でした。
 難工事の末、丹那トンネルが開通して現在の国府津~小田原~熱海~三島~沼津というルートが完成してそちらが東海道本線となり、旧路線の御殿場ルートは御殿場線となりました。
 東海道本線時代の山北駅では御殿場駅付近を頂点とする急勾配を擁していたので機関庫が併設されて補助機関車が連結されるので急行列車も停車する駅でした。
 丹那トンネル開通前の伝統の特急「富士」「櫻」「燕」も停車駅ではなかったものの、運転停車(旅客扱いを行わない停車)して補助機関車を連結して急勾配に挑んでいたのでした。
 かつては東海道本線ということで複線だった御殿場線も戦時下における資材供出により片方の線路が撤去されて単線化されてしまいました。
 電化されて山北駅での補助機関車の連結も必要なくなり、機関車も廃止されて長い年月が流れましたが、広い構内と長いホームに面影を偲ぶことができます。

 国鉄時代には東京駅から直通の急行「ごてんば」も運転され、小田急線からのロマンスカーによる連絡急行「あさぎり」も小田急の新宿駅から運転されて山北駅に停車していましたが、「ごてんば」は廃止されて久しく、「あさぎり」も特急化されてからは山北駅は通過となってしまいました。
 古い駅舎と施設が残り、駅前もどことなくレトロな雰囲気が残るので途中下車してみるのもいいかもしれません。