JR東日本常磐線の定番撮影地といえばいくつか思い浮かびますが、いまの季節で最も有名で手軽に訪れることができるのが水戸市の偕楽園の南側をカーブしながら通過する列車を偕楽園の梅の花と絡めて撮影できる跨線橋といえるでしょう。

 前回までの記事でアップしたように偕楽園を散策したときに園内からその跨線橋を見てみると…!
(うっ、すげえガーン…行くのはやめよう)
というわけで、誰もいない別の場所に向かうことにしました。
 偕楽園の梅の木々をバックにすることができないからなのか、こちらには誰もいなかったことや通行する人も少なかったのでこからスマホで列車の動画を撮ってみることにしました。
 偕楽園は入場券を購入したあとは一旦外に出ても入場券を見せたらどの門からでも再入場できるので助かります。

 367M 上野発勝田行普通列車


 東京方面からの直通列車は普通列車といえども基本グリーン車を2両組み込んだ10両編成のE531系です。土浦発着のE501系の運用はまだあるのかな?
 水戸線からE501系が撤退してE531系に統一されて久しく、友部~水戸観を常磐線に乗り入れてくる水戸線の列車も含めて常磐線水戸以南の普通列車はほぼE531系に統一された感があります。
 首都圏…というか、関東甲信越エリアのJR東日本在来線の電化路線はほぼ直流1500Vですが、唯一常磐線の取手~藤代間(茨城県取手市)以北では交流電化されており、交流50Hz/20000Vです。
 これは茨城県石岡市にある気象庁柿岡地磁気観測所に直流電化だと観測に影響を与えるため(漏洩電流が遠くまで影響を与える)観測所から半径30km以内では漏洩電流を抑える特別な措置を取らない限り直流電化が禁じられているためです。
 このため、常磐線取手以北や水戸線のほぼ全線、首都圏新都市鉄道のつくばエクスプレス線の守谷以北では交流電化となっており、都心に近い区間は直流電化となっているのでそれぞれデッドセクションと呼ばれる死電区間(無電流区間)が設けられて走行中の列車はここを通過中に交流/直流の切り替えを行います。
 つまり、交直両用電車でないと常磐線の取手以北を走行することはできないのです。
 常磐線の快速電車と呼ばれる上野東京ライン~取手行電車はエメラルドグリーンの帯を巻いた松戸車両センター所属のE231系直流電車が使用されていますが、この電車が取手から先へ行けないのはそのためです。
 同じく上野東京ライン~取手間を快速運転して土浦や水戸方面へ向かう普通列車はすべて茨城県の勝田車両センター所属のE531系交直両用電車で運転されています。特急列車も同様で、E657系ももちろん交直両用電車です。
 国鉄時代の車両形式についての原則が一部についてはJR四国を除いて現在も継承されており、百の位の数字は1~3が直流電車、4~6が交直両用電車、そして7~8が交流電車となっています。
 交直両用電車はパンタグラフ付近の屋上にたくさんの機器を搭載しており、ここで交流電源を直流電源に変換して動力装置に電流を送るいわば「走る変電所」…たくさんの碍子を装着している姿は重厚で個人的には好きな姿です。

 長い10両編成でカーブを通過するので躍動感が感じられるのが曲線での画像の楽しさではあります。

 367Mが通過して間髪入れず現れたのは…。
 76M 勝田発品川行特急「ときわ76号」
 水戸駅のひとつ仙台寄りの勝田駅始発の特急列車です。
 とはいえ「ときわ」はかつて国鉄時代に上野から勝田・高萩・平(現・いわき)を結んでいた急行列車の列車名でした。
 長くお蔵入りしていた列車名が復活、停車駅がかつての急行列車並みに多いタイプの列車名として運転されています。朝晩の一部列車を除いて土浦駅も通過する上野~水戸間ノンストップの「ひたち」に対して、柏・土浦・石岡・友部などにもこまめに停車します。
 ちなみに勝田駅は国鉄時代の特急「ひたち」は停車しませんでしたが、急行列車の特急格上げによる急行列車の廃止などもあって停車する列車が増え、現在では水戸・勝田と全列車が続けて停車するようになっています。

 今はさすがに絶滅寸前となった国鉄特急型電車を追うわけにもなかなかいかず、JR世代の特急型電車も既に主流は2世代目に変わりつつあります。

 しかし、地方の都市間特急列車が短編成なのが多くなってしまったのに対して東京の中央本線や常磐線の特急列車は10両編成前後の長い編成(これでも国鉄特急全盛期の12両編成や13両編成にグリーン車2両と食堂車を組み込んだ堂々たる編成に比べると格落ち感は否めませんが…)が曲線をやってくる姿はやはり凛々しく見えます。




 このあと、再び偕楽園を見物してバスで水戸駅に向かいました。

 東京ではステップ付きバスを見かけることが無くなって久しいですが、関東でも茨城県や栃木県、群馬県あたりではまだたくさん走っています。
 水戸駅北口に戻ってきました。

 ホームに残るE653系を模したNewDaysの売店。
 かつて「フレッシュひたち」で活躍したE653系は基本7両編成が羽越本線の特急「いなほ」用1000番台に、付属4両編成が信越本線の特急「しらゆき」用2000番台に改造されて陽光眩しい常磐線から風雪厳しい日本海縦貫線に活躍の場を移していますが、国鉄特急色風にカラー変更された1000番台1編成が古巣の勝田車両センターに里帰りして首都圏を中心に臨時列車として走っています。