前回の記事でアップした国道18号線にある「ニューミサ」で野菜炒め定食を食べたあとは、ある場所に向かって車を走らせました。

 この場所なのですが、ここは昭和53年(1978年)5月18日午前6時20分頃発生した白田切(しろたぎり)川土石流災害により当時の国鉄信越本線が被災した場所です。

 土石流は新潟県中頸城郡妙高村(当時)の赤倉山中腹で発生し、融雪水とともに赤倉温泉を襲い、山麓の国道18号線と信越本線を破壊しました。
 信越本線の橋梁は流されて妙高高原~関山間が長期にわたって不通となりました。

 当時中学三年生だった私は夏休みに長野県側にある親戚宅へ向かう時に特急「白山」に上野駅から乗車したことを覚えています。
 この特急列車は当時上野~金沢間に信越本線長野経由で3往復運転されていて、上越線長岡経由の特急「はくたか」とともに東京と北陸を結ぶ特急列車でした。
 この被災により「白山」は1往復が「はくたか」同様に上越線経由となり、1往復が上野~長野間の区間運転(運転区間からする実態は「あさま」ですが、なぜかそのまま「白山」として運転されました)、残る1往復は長期運休となったように記憶しています。
 長野までの区間運転となった1往復が妙高高原まで延長運転されたのか、運休となっていた1往復が夏休みなどの繁忙期には運転されたのかは記憶に定かではありませんが、妙高高原行となった列車もあって、私はこの妙高高原行「白山」に乗って妙高高原駅まで乗車したのでした。編成は非貫通型の489系300番台・700番台が両端だったことは覚えています。

 画像に写る妙高山は中腹から上は雲に隠れてしまっているのが残念です。そして白田切川を跨ぐトラス橋が架かっていますが、これは岩手県の大船渡線北上川に架橋するために既に現地に運ばれていたものが被災した信越本線の現場と大きさなどが一致するため急遽転用されたものです。

 先日はこの橋梁を渡るえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの列車を撮影しました。

 その前に列車の通過時刻まで少し時間があったので妙高高原駅に行きました。

 国鉄時代、JR東日本時代からあまり変わらない駅舎ですが、現在は第三セクターとなっている長野以北の旧信越本線において「つまらない駅舎」に分類されると言ったら失礼か…いかにも国鉄的な駅舎ではあります。牟礼駅や黒姫駅、二本木駅と比較してしまうと凡庸に見えてしまいます。

 私が少年だった頃は、夏休みやスキーシーズンにはとても賑わい、この駅始発の特急列車や急行列車の自由席の座席を確保するために長蛇の列が出来ていたのは遠い過去となり、今では閑散としてしまっています。

 とはいえ、そこはリゾート地の玄関口であり、このあたりでは一番大きな駅舎でした。

 画像奥の3番線に停車中の直江津行普通列車。この列車が白田切川を渡るシーンを後で撮影します。

 改札脇の案内が目に入ってしまいました。
「なつかしの特別急行列車シリーズ」なんて書かれているものですから、足が勝手に窓口へ向かって歩きだしたかと思うと、手が勝手にズボンのポケットから財布を取り出し、口が勝手に「なつかしの特別急行列車シリーズ切符、第一弾と第二弾両方ともくださ~い🎵」と…。

 第一弾は「あさま」「はくたか」「かがやき」「北越」で、「はくたか」「北越」は489系ボンネットタイプですね。
 こうしてみると「北越」を除く3列車が現在の北陸新幹線の列車名となっています。
 それぞれの列車のプロフィールの説明が裏面に書かれています。

 第二弾は「白山」「みのり」「白鳥」「雷鳥」で、こちらはすべてお蔵入りしてしまった列車名です。「白鳥」はその歴史の中では485系特急型電車の時代が長かったのですが、初期の80系特急型気動車時代の写真です。
「白山」はよく利用した列車で親しみがありますが、JR西日本持ちとなった489系に施された「白山色」は非貫通型はまだ我慢できましたが、ボンネット型は「厚化粧」感満載といった感じでした。
「みのり」はわずか5年という短命な特急列車でしたが、この列車の代わりに登場した快速「くびき野」は車両はそのまま485系を使用し、停車駅もほぼ特急列車並みの少なさで何度も利用させていただきました。そして北陸新幹線金沢開業により快速「くびき野」は廃止され、再び特急化されて「しらゆき」となって車両もE653系になりました。
「雷鳥」は北陸本線の代表格でした。大阪~金沢・富山間の列車だったのですが、大阪~新潟間を走る「北越」を「雷鳥」に統合、「北越」は北陸都市間特急に性格を変えて福井・金沢~新潟間の列車となりました。

 かつて新潟県内を走っていた特急列車シリーズの切符…衝動買いしてしまいましたなぁ。
 大阪~新潟間を結んだ寝台特急「つるぎ」という列車もありましたが、これを第一弾に入れて「北越」を第二弾に入れておけば第一弾はすべて北陸新幹線の列車名となっていたのに…というところがちょっと残念ではあります。
 第三弾があるとすれば「北越」「しらゆき」、そしてトキてつ沿線とはあまり関係ないけれど「いなほ」「とき」も新潟県繋がりで…などと期待してしまいます。それとも寝台特急シリーズとして「トワイライトエクスプレス」「日本海」「北陸」「つるぎ」が登場するのでしょうか?

 さて、話を戻して白田切川へ戻ります。

 画像左側の先で線路はカーブしているので妙高高原駅を発車した列車が左手後方にやってくるのが見えたらまもなく列車がやってきます。
 2両編成の普通列車がトラス橋を渡っていきます。

 信越本線だった時代、それも189系特急「あさま」や489系特急「白山」、169系急行「妙高」などが走っていた国鉄時代になぜここで撮影しなかったのか悔やまれます。