前回は北しなの線の牟礼駅ホームで立たされていた天狗さん親子をアップしましたが、もう少し父子の会話を盗み聞きしてみましょう…ということで3年前の冬にアップした記事のリブログです。


 こちらは雪景色ではなく雨模様の牟礼駅。
 いつ撮影したか忘れましたが、冬ではないことは確かです。


 過去の私のブログにはこの天狗さん父子の他、象さん父子も登場するのですが、どちらの父ちゃん母ちゃんに頭が上がらないところに私との共通点と親近感を感じてしまうのです。

 牟礼駅にいた天狗さん父子と違ってこちらは駅からは遠く、黒姫駅から歩くと1時間以上かかると思います。国道18号線の野尻湖近くをいつも散歩しています。
 なぜここを散歩しているのかというと、大昔地球が厳寒期だった頃、この一帯にはナウマン象やオオツノシカといった大型動物が生息しており、それらの化石や原人の石器などが多く発掘されていたからです。その頃は背景に見える黒姫山をはじめ妙高山や斑尾、飯縄、戸隠といった北信五岳も活発に火山活動を続けていたのでしょう。
 この画像を撮影した私の背後に野尻湖があるのですが、複雑な線を描く湖岸と妙高や黒姫といった山との組み合わせは深田久弥をしてその著書「日本百名山」の中で「妙高山あっての野尻湖」と言わしめたほどに欠かせない風景となっています。
 北信五岳のうち妙高山だけは新潟県側に位置する山ですが、この妙高山は新潟県側の火打山、焼山とともに頸城三山にも数えられています。
 その秀麗な姿は隣に並ぶ丸みを帯びた黒姫山と好対照であり、妙高山は越後富士、黒姫山は信濃富士とも称されています。
 また、このあたりからは火打山はあまり見えないのですが、場所を変えると黒姫山や妙高山の間から姿を覗かせる雪化粧した姿はその貫禄と美しさに目を奪われます。
 深田久弥は「日本百名山」の中で火打山のことを彼の故郷である石川県の名峰・白山同様に「冬山といっても崖などには雪が積もらず、黒く山肌が露出している部分があるのが普通だが、白山と火打山だけはすべてが白く雪化粧して美しい」と絶賛しています。

 現在ではほとんどの部分が第三セクターとなった長野県内の信越本線ですが、国鉄時代からJR東日本時代には多くの特急列車や急行列車が上野駅からやってきていました。それらの多くは列車名に山の名前が付けられていて、「あさま」「白山」「妙高」「とがくし」「赤倉」といった列車が走っていました。

 妙高山をバックにやってくる「妙高」号。
 左側に裾を伸ばしているのが黒姫山です。
 初夏…遅い春が訪れるこの季節は信越国境が春の女神の魔法によって一気に美しく生命の息吹きを始める季節でもあります。