哀悼 佐々木昭一郎氏 | 甘ずっぱい蜜の部屋

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今年は 例年になく惜別のニュースが多い気がする。

 

特に

小澤征爾氏 (2024年2月6 没) 享年88才

フジコ・ヘミング氏 (2024年4月21日 没) 享年92才

 

は、とうとう この日が来てしまったか・・・

と、何とも言えない喪失感がハンパなかった。

 

お年を召されているとはいえ、世界を飛び回って いつまでも活躍していって下さるんじゃないか、って思っていたから。

 

そして、昨日 また・・・

 

佐々木昭一郎さん死去 元NHKディレクター

 

6月14日にお亡くなりになっていたそう。

 

遠い昔、

 

たまたま つけたTV(当時はまだブラウン管)の、ドラマなのかドキュメンタリーなのか 曖昧な、でも 東欧と思われる 欧州の美しい農村風景が広がる画面に吸い込まれるように魅入ってしまっていた。

 

これが、佐々木氏の代表作 リバー三部作のひとつ
 

春・音の光』(リバー)

 

日本人調律師・栄子 という女性と、スロバキアの人々との素朴で温かな交流。

 

主演された 中尾幸世さん、美しいという表現では 全く物足らないほど、強烈な輝きを放った方。

 

夢の中で見たようなおぼろげな情景で、これといった ドラマチックなストーリーではなかったような気がするけど、ずっと頭・・・ というより 胸の奥から離れなかった。

 

このドラマの全編に流れる チャイコフスキーの 『弦楽セレナーデ』  冒頭のメロディーが、それはそれは 壮大で スラブ的な郷愁をそそられて、まるで 心の琴線をかき鳴らされるかのようで、この映像詩にぴったりだった。

 

見た当初は 曲名が分からなくて、いろんな人に聞きまくったけど、誰も私の鼻歌では理解してもらえず・・・

 

インターネットなんて無縁の時代だったし。

 

諦めて 忘れてしまってから 数年後、これも たまたま見ていた NHKのクラシック音楽の番組で、なぜか マエストロが指揮棒を振り上げた瞬間、何かが 始まるような予感がしてドキドキしてきて、流れてきた曲が『弦楽セレナーデ』 だった。

 

ああ、この曲だっ!! チャイコフスキー だったんだっ!!!

と、鳥肌が立った。

 

さらに また、後から知ったけど この曲は ジョージ・バランシンのバレエ 『セレナーデ』 にも振り付けられていた。

 

忘れえぬドラマ、チャイコフスキー、バレエ・・・

と、私の人生に深く食い込んでいるピースが ぴたりとはまったような感覚。

 

少女時代の 宝物のような映像を製作して下さった、佐々木氏。

 

大切にしてきたオルゴールが壊れてしまって、永久に奏でることがなくなってしまたかのよう。

 

ココロにぽっかり穴が開いた感覚。

 

ご冥福をお祈りします。菊

 

NHKで 追悼番組として 再放送してくれないかなぁ・・・

 

春・音の光

川(リバー)・スロバキア編 - 春・音の光 - 微音空間 中尾幸世

 

樋口尚文 銀幕の個性派たち

中尾幸世、テレビ史に刻まれし伝説のヒロイン

 

映画館で《佐々木昭一郎というジャンル》 池田博明

 

佐々木昭一郎のテレビドラマ全作品解題・そして新作『ミンヨン 倍音の法則』