あもんの旅人よ | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

僕の通勤路が君達の通学路となっていて
今から始まる授業に君達はウキウキしたり
モジモジしたり
バカ言って笑い合う友達や
目をそむけたい友達もいて
それでも、毎日何かを学んで
そのうえ、毎日何かを悩んで
笑えるだけが学生生活では無いと分かっているけど
やっぱり、楽しみたくて

そんな君達とすれ違い
あもんは駅につき電車に乗った

しばらくして、あもんの前に座った君は
さっきすれ違った制服を着ていた

なぜ?もう帰る?



髪が乱れていた君はグスンと言い
まばたきしながら何かに耐えていた

スマホで音楽を聴きつつ鏡を見つめ
君は涙をポロリと落とした

なぜ?泣いている?

目の前で泣く君に
うなずいてあげられなくて
なぐさめてあげられなくて
抱きしめてあげられなくて
背中押してあげられなくて
元気?と言えなくて
エールを贈れなくて
何も伝えられなくて
あもんも俯くだけで




なぜ?あもんはここにいるの?

あもんは鼻をグスンと言わせながら
次の駅で改札口をくぐった

迎えてくれたのは大きな太陽だった
小さく美味しそうな雲の合間から
ニコちゃん顔の太陽があもんに伝えた

『元気玉を放ちなさい…』






『とどけ元気玉』

元気のない あなたよ
目を閉じ
空を仰げ
両手を掲げ
深呼吸
そして 想えよ
いま 思い浮かべたひとを

元気いっぱいの 君よ
頂に立ち
遥かを望み
両足で踏ん張り
大きく息を吸え
そして 叫べ
いま 思い浮かべたひとへ

君からあなたへ
とどく 元気玉


あなたと君は
出会ったことのない
おそらく出会うことのない
ひと と ひと
だけど 想いが
熱くて 清いからこそ
とどく 元気玉

顔が見えなくてもいい
声が聞こえなくてもいい
いとおしみ
尊び
敬う ことが
ひと から ひと へ
とどく 元気玉

誰だって 落ち込むんだ
誰だって 励ますことができるんだ

僕からもとどけるよ
僕の元気玉

あもん詩集~ティーンに捧げる宝物~より