セブンの女 15 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

この物語は『半フィクション』です
どれが現実でどこが妄想なのかは
読み手であるあなたが決めてください
この物語は1994年から1995年の
あもんの記憶の中の情報です
現在の情報とは相違がありますので
ご理解ご了承お願いします


あもんと京ちゃんとコージはキグナス石油で話していた
『おい、あもん、バッドボーイズってマンガがあるじゃろ』
『その作者ってお前の実家近くの出身じゃないんか?』
『ああ~そうじゃで~会うたことは無いけど同じ中学の先輩じゃけん』
『ほうか~じゃぁ~ありゃ~実話か?』
『ストーリーはどうか知らんけど、ちょくちょく出てくる店や中学校は本当で!』
『あれ読んどったら、ぶち、なつかしいわ~』

BADBOYSとは広島暴走族の漫画であり
広島弁のセリフで描かれている漫画は珍しかった
それに加え、あもん達は当時の懐かしい思い出がよみがえり
誰もが熟読していた漫画であった
それが今や映画化されるまでの全国区となっている
“仁義なき戦い”と“BADBOYS”で有名な広島
広島らしいと言えば広島らしいかもしれない





『それよりコージよ!あのお前に挑んでいるRX7は最近どうや?』
あもんはコージに聞いた
『おう、あいつも徐々に早くなっとるけん、ワシも負けられん思うて』
『いまではあいつ良いライバルになっとるわ』
『そういや~コージは族の頭やっとる時の顔になってきたの~』
『族を辞めてサラリーマンやっとる時はほんまに腑抜けだっけ~の~』

京ちゃんがコージに言った
『うるさいわい!あの頃はワシもいろいろあったんじゃ』
『じゃけど、ワシにはサラリーマンは性に合わんことがよう分かった』
『やっぱワシは天辺を目指しとる時が一番かっこええんじゃ』
『あははは自分で言うなや!』

あもんと京ちゃんは同時に突っ込んだ
コージはRX7が現れてから益々峠攻めに没頭するようになり
最近は県外からも挑戦者が来るほどまで腕を上げていた
あもんはその様子を見ることは無かった
なぜならあもんも益々旅に没頭するようになったのだ
スミ子との関係も変わりなく続いていた
あもんは今の環境で十分楽しく満足だった
しかし、スミ子は自ら環境を変えることとなったのだ




『あっくん、ウチね~スナック辞めて車屋さんで働くことにしたの』
『えっ!』

スミ子の話にあもんは驚いた
『それって、俺のせい?』
『いやいや違うの~ウチ、昔から車に興味があったけん』
『スナックは知り合いに紹介されたけん入っただけじゃけん』
『別に嫌なことがあったわけじゃないんよ。あっくんに気を使ったわけじゃないし』
『ただね…本当はね…』
『ん、何?』
















『あっくんと毎晩、会いとうなったんよ』


この時のスミ子はモジモジしていた
サバサバタイプであるスミ子は告白の時もスパッと言った
しかし今のスミ子は少女が初恋をしたような表情をしている
あもんは綺麗系であるスミ子を可愛いと思った
『うん、そう思うたら、そうすりゃええ』
あもんは照れながらそれだけしか言えなかった


車屋に勤め出したスミ子は毎日夜7時には家に帰っていた
あもんもキグナス石油でのバイトは8時に終わっていたため
この頃からあもんはスミ子の家に直行するようになった
一人暮らしであるあもんは毎日のようにスミ子の家に帰り
晩御飯を頂いてお風呂に入り泊っていくという生活が続いた


スミ子の家族はあもんを快く出迎えてくれた
スミ子は3人姉妹であって末っ子であり
3人姉妹とも実家におり母も加えて4人暮しであった
父親が高校の時に事故で他界し母は女手ひとつで3姉妹を育てていった
だからこの家には男っ気が無かった
そこにあもんが加わっても
スミ子家は自然にあもんを迎えてくれた
あもんの態度がそうさせたのかどうか分からないが
客という扱いはあまりされずスミ子の家に行くと『おかえり~』と言って迎えてくれ

『ごはんできたよ~』と普通に呼びに来る
母はあもんを息子のように扱い姉たちは弟のように扱った
ある時あもんがスミ子の部屋を開けると
下着姿の姉ちゃんが『おかえり~』と言いながらスーパーファミコンをしていた
至って普通に挨拶されたのであもんも思わず普通に挨拶をしてしまった
ひとつ上の姉ちゃんはスミ子に以上に全身がふくよかであるといことがその時、分かってしまった
『マリオカート勝負しようよ』
姉ちゃんは下着姿のまま、あもんに勝負を挑んだ


しばらくして一番上の姉ちゃんが帰ってきた
姉ちゃんももちろんふくよかであったがスミ子以上に女性らしかった
姉ちゃんはあもんに気付くとストレートで長い髪をかきわけ
『あっ、あっくん、来てたんだ~』とウフフと笑った
『おっ、お前があもんか!』
姉ちゃんの後ろで低い声がした
見るとパーマをかけたサングラスの男が顔を覗かせていた
彼はシンジさんと言い姉ちゃんの彼氏だった
剃り込み跡が煌々と光りサングラスの奥には鋭い眼があった
背は小さいがどこかオーラを感じるような迫力があり
良く見ると片足が義足のような歩き方をしていた

シンジさんはあもんに話しかけた
『スミ子からよう聞いとるで~なるほど~ええ男じゃの~』
『今度、お前とじっくり話したいと思っとたんじゃ』
『のう!あもん、今度飲みに行くで!』
『はい』

あもんはシンジさんの迫力に負け思わず返事をしてしまった



夜が更けあもんとスミ子はベッドの中にいた
『ねぇねぇ、あっくん、上の部屋が姉ちゃんの部屋なんじゃけど』
『深夜になったら音がするんよ』
『うちん家、ボロじゃけん、よう聞こえるんよ』
『しっ!ほら!始まったよ』

確かにスミ子の家は防音の無い古い家であった
シンジさんの迫力は深夜中スミ子の家で響いていた




次の朝早くシンジさんはあもんとスミ子を起こした
『ええか~あもん、この家は古いけんの~音が良く聞こえるけん、静かにやれよ!』
『はい。それは昨晩、よく分かりました』
『おっ、そうか~そうか~あははははは』

スミ子の家は若いあもんにとって刺激的な家であった


数日後、シンジさんはあもんの前に現れた
『おぅ、あもん、ちょっと顔かせや』
そう言ったシンジさんはあもんの前をガニマタで歩き始めた
あもんはシンジさんと飲みに出かけた

続く